「ダメ」と言うより「こうしよう」と言う【零細企業の人材育成】

人事系コンサルタントの永江です。
思考力トレーナーとしての活動もあって、「人に指導すること」についても毎日のように考えています。

「ダメ」と叱るのが良くないが……

誰かと話しているときに、ふとした話の流れで「叱る」とか「説教をする」とか、そこまで厳しい感じじゃなくても「指導する」というときの話になることがあります。そして、「ダメ」という言い方で叱ると叱られた人は「自分自身を否定された気がする」から良くない、ということを言ったりします。ほとんどの人は「そうだね」と納得してくれるか、「なるほど、そういうものか」と理解を示してくれるかです。

でも、たとえばそのあとで、「よし、私も注意してみよう」と思ってくれる人であっても、さらにその少し後には「あなた、△△しちゃってダメじゃない」と子供を叱っていたりします。おそらく無意識なのでしょう。おもわず「ダメ」という言い方が出てしまいます。

アタマで分かることと、実践できることは、また別もの

アタマはでは分かっていることも、とっさのときに実践できるかというとまた別です。私自身もそういうことはあると思います。なにせ、「思わずやっている」から気づいていないはずです。我々はこのことを肝に銘じておくべきなのではないかなぁと考えています。

特に、他人の考えを耳にして「なるほど」と思えたことは要注意で、もともと自分の中から出てきたことではないので、しょせんは上っ面だけの理解です。だから、事にあたったときにシュッとうまくそれをできません。本当にそのことに納得できて、それをするのが良いと思ったら、明確な意識をもって自分を顧みて、変えていくようにしないといけないのかもしれませんね。

部下や後輩に注意を与えるとき、良くない行動に対して「△△はダメ」というよりも、良い行動を示して「◯◯していたらよかったね」と言うのがよいです。ちなみに、言い方はスパッといちどだけ。繰り返したりせずにいちどだけ言います。伝わったかどうか気になっても、短時間で言い切ります。

人間というものは、たとえ行動そのものを否定されただけであっても、まるで自分自身が否定されたかのように感じてしまいます。「単にひとつのミスを注意しただけなのに、ひどく落ち込まれた」と困った表情でおっしゃる経営者さんは少なくありません。このことを回避できる否定の言い回しはなかなか難しいので、それよりも、良い行動を示してあげて、それをしていこうと促しましょう。やらないほうがよい行動を言葉で示すことで、その行動がイメージされて脳に刷り込まれるということもあるかもしれませんからね。指導は、否定ではなく、模範となるイメージを与えるのが良いです。