経営に役立つ数学の考え方

人事系コンサルタントで思考力トレーナーの永江です。
私がコンサルタントとしてお手伝いするジャンルは人事に関係することです。とはいえ、経営そのものと切り離すことはできないし、経営は数字を切り離すことができません。ということで、今回は、経営に役立つ数学の考え方についてです。

基本的な計算は絶対に必要

まず、足す、引く、掛ける、割る、という四則演算は絶対に必要です。電卓やコンピュータで計算ができる現代であっても、基本的な計算はできなくてはいけません。計算することそのものもそうですが、なにか事にあたるときに、自分で計算式を作る能力も必要です。だから、足すことの意味、引くことの意味、掛けることの意味、割ることの意味、それらを正しく認識し、それぞれの違いも分かっていないといけません。

また、掛け算や割り算は、結果の概数を感覚的に捉えられるとなお良いです。「一ヶ月でこれくらいだから、これが一年すると……」というのは掛け算ですし、「これだけの業務を7人でやるとどれくらいの時間が……」というのは割り算です。これを電卓で出してから数字を見て考えるよりも、なんとなく概数の感覚で捉えられると素早い判断にもつながります。

因果関係を含めた論理的な説明力および読解力

数学の証明問題などは、論理的にものごとを説明するための練習だと考えられます。基本となる定義や定理があって、それをもとにするから、どうなるということを書いていきます。因果関係がしっかりしていることと、それによって説明できるということが必要です。

一方で、問題そのものが(わざと)わかりにくく書かれていることもあります。そういう場合は頑張って読み解く必要があります。読み解くときにも、とうぜん、書いてあることを論理的に理解していかなくてはいけないので、読解力につながります。わかりやすい文章を書くことは重要なのですが、難解な事象にあたってそれを論理的に紐解くことは経営をしていれば頻出事項ともいえます。そういう意味で、数学の中にある、論理的な説明をすることや読解をすることは経営に必須だといえます。

 


 



人が足りないのか、仕事に無駄があるのか【零細企業の人事】

人事系コンサルタントの永江です。
北陸地方は人手不足が顕著で、有効求人倍率も全国平均を上回っているそうです。企業の人事担当さんのニーズとしても人材育成よりも、まず採用を優先するという傾向があるそうです。

人員不足を感じるとき

今いるスタッフで10の仕事をしているとして、そこにプラス2の仕事のオファーがあったら、1.2倍くらいなら残業でなんとかしようとするかもしれません。でも、プラス5、プラス7と増えていきそうに思えたら人員の補充、つまり採用を考えると思います。単純に、人数によってまかなえる仕事量に対して、受注の見込みが大きくなってきたら人員の補充を考えるでしょう。

あるいは、事業の拡大を想定したら、とうぜん今のスタッフでは不足するでしょうから、育成期間のことも考えてあらかじめ人員を増やしておくということも考えられます。この場合は、当面の人員不足というより、未来においては今のままでは不足するという予測からくる対応です。

本当に人が不足しているのか、仕事に無駄はないのか

人員の不足を感じたときに、人材の採用で対応しようとするのは自然なことです。でも、どんなに急いでも人員の充足には週単位、場合によっては月単位の期間が必要です。どうせそれくらいの時間がかかるのなら、その間に、仕事に無駄はないのかという検証をしてみることをお勧めします。

現場でいつも頑張っている自覚のある人は、仕事に無駄がないかと問われると「そんなことありません!」と強く反発するかもしれません。でも、仕事の無駄というのは、その仕事の近くにいる人の「感覚」では測りづらいものなのです。自分自身の感覚では一生懸命にやっているつもりだから無駄なんて考えられない。こういう考えは当然といえば当然です。

仕事の効率性は客観的に数値化する

生産性や効率性については、経営分析の中でいろいろな指標が登場します。そのいずれもが、客観的であり数値化された指標を活用するよう教えてくれます。一人あたりの付加価値の創造度合いや、チーム単位での生産能力など、単位やカテゴリ設定でいろいろ考えられます。

経営の中で人に対する部分は数値で表せない要素もありますが、こと仕事に無駄がないかどうかという部分は、逆にドライに客観的にし考えたほうが良いです。そうしないと、「がんばっているよ!」という非常に感覚的な一言にじゃまをされて正しい状況判断ができません。数値化をする。そのために客観的な方法をとる。

 

仕事の効率や生産性を明確にすることは、最終的には一人ひとりの従業員がゆとりを持って働くことにもつなげられます。別に効率の悪さをあげつらって糾弾するのが目的ではありません。新しい人を採用するとそれなりに現場にも負荷がかかるし、もしかしたら会社全体の人件費割当を考えると既存スタッフの給料にも悪い影響があるかもしれません。

採用を止めるのがいいとまではいえませんが、採用を考えるときに、同時に、仕事の無駄についてもちょっと考えてみてはいかがでしょうか。

経営で考えるファシリテーションその3 言葉の定義を広げたり狭めたり

経営で考えるファシリテーションの3回め記事では、「ファシリテーション」という言葉の定義について、それを広げたり狭めたりするというお話をしたいと思います。

広い意味でのファシリテーション

まず、広い意味での定義としては、「良くすること」とか「うまくいくように取り計らうこと」というものがあります。つまり、今でこそ会議や話し合いの場で使われる技法として語られることが多くなったファシリテーションですが、もともとは場を限定せずに、単に「うまくできるようにしていく」kとを指す言葉だったのです。
そして、経営というものを考えるときに、あたりまえですが「会議」だけをやっていればいいわけではありません。現場で働くスタッフが最適な動きをするように取り計らうこともファシリテーションですし、キャッシュの流れが機能するように考えたり行動したりすることもファシリテーションです。ヒト・モノ・カネとよく言いますが、近年ではこれに加えて情報も使います。それらすべての経営資源を「うまくいくように」取り計らうことすべてが、経営のファシリテーションだと考えられます。

狭い意味でのファシリテーション

一方で、狭い定義でのファシリテーションを経営に当てはめれば、たとえば役員会議や現場会議、ちょっとした打ち合わせの場面などで「話し合いのファシリテーション」が有効に働くはずです。会議ファシリテーションでは参加者が気兼ねなく発言したり、お互いの意見を尊重しあうなかで合意を目指すということが求められます。経営者がそれを主導するということもアリですが、その能力に長けた人をその任に充てるという行為そのものも、経営のファシリテーションとして考えられそうです。
そもそも一人では出来ないことをするために組織があります。社長さんが一人で出来る範囲の事業ではないから人を雇っているわけで、その人たちの頭脳も活用しないテはありません。ほとんどの場合、どんなに優秀な一人であっても他人の意見を取り入れることによって一人のときよりも良い考えが出る可能性が上がりますから。そういう意味で、意見を出してもらって活用していくために狭い定義のファシリテーションも必要です。

どのくらいの広さで考えるのが適切なのかはTPO

経営のためのファシリテーションということを考えると、広い意味でのものも、狭い意味でのものも必要だし、有効だし、ぜひ考えていきたいものです。だから、その場に応じた広さ狭さでファシリテーションの定義を考えればいいと思います。もととも「良くする」というようなニュアンスで考える言葉ですから、あまり定義に固執するのもちがうのかもしれません。人材をより活用するために「どうするとよいか」と考え「良いと思われること」を実行し、組織が「良い方向に向かう」ための言動すべてがファシリテーションだと私は考えています。

経営で考えるファシリテーションその1 意思決定はロジカルであるべき

人事系コンサルタントの永江です。

先日、経営コンサルタントの集まりに参加して、ファシリテーションについて学びなおす機会がありました。
そこで、この機会に自分の中で考える「経営におけるファシリテーション」についてまとめておきたいと思います。

今回は、その1。
意思決定はロジカルであるべき、というお話です。

会議ファシリテーションの進行手順

まず、一般的に言われるファシリテーションとは、会議や話し合いの進行について考えるもので、その中には理想的とされる進行の手順があります。
それは、下記のようなものです。

  1. 話し合いをしやすくするためのアイスブレイク
  2. アイデアを出すための発散のフェーズ
  3. 意思決定をするための収束のフェーズ
  4. 最終確認をして意思を統一する

大雑把にまとめるとこんな感じです。

つまり、
まず最初に、これから行われる話し合いにおいて、参加するみんなが持っている考えや意見を出し合い、建設的な議論をできるような「場づくり」をするところから始め、発散・収束と、段階的に進めるわけです。
良くない会議の例として挙げられるのは、限られた人が一方的に自分の意見を押し付けるだけのものや、出てくるアイデアをことごとくその場で潰していくようなものです。

こういう良くない会議の例についての対策は、多くの人がファシリテーションの説明で書かれています。ちょっと検索をするだけでたくさん見つかると思うので、そちらを参考にしてください。
会議ファシリテーションの基本的な形は上記のようなものであるということです。

収束のときに注意するのが論理性

今回、あらためてファシリテーションについて学びなおしたときに、私が非常に気になったのが収束のフェーズをどう考えるのかということです。

最終的に目指すのは、特に経営の中で考えるファシリテーションであれば、みんなが納得感を持って会議を終え、決まったことに対してモチベーション高く実行していくことです。
誰かの意見をイヤイヤ実行していくのでは良くないと思います。

参加者のモチベーションを高めるには納得感が大切で、そのためにアイスブレイクから始まるそれぞれの段階があります。

ということは、もちろん、収束の段階でも納得感を得ることを意識しなければならず、そのためには何が必要なのかを考えなければいけません。
私が考えるには、絶対的に必要で有効なのが論理性です。

「論理じゃない、感性だ」という人も世の中には居ますが、完全に論理的であって、なおかつそれが分かりやすく説明されていれば、少なくとも同じ言語を使ってコミュニケートする人どうしてあれば納得感は得られます。納得感が得られないとすれば、論理が成立していないか、論理的な説明ができていないか、説明が難しくてわかりにくいか、そんなようなところじゃないでしょうか。

一方で、収束の段階で多数決を選択する話し合いもありますが、私はこれには反対です。語弊があるかもしれませんが、間違った考えを持った人が多くいると全体が間違った方向に進むのが多数決という方法です。だから多数決で会議を収束させるのは好ましいとはいえません。もちろん、議論が出尽くした後で、そもそも絶対的な判断基準がないような事柄であれば多数決も選択肢の1つではありますが。

繰り返しますが、本当に論理がしっかりと成立していて、それを分かりやすく説明できていれば、会議に参加している人は納得してくれます。そして、その納得感をもって実行するからモチベーションも低くはなりにくいはずです。

経営の中でファシリテーションを考えるときに1つの重要なポイントとして、意思決定はロジカルであるべきだと考えます。