人材育成の方針を考える王道の手順

人材育成コンサルタントで
思考力トレーナーの永江です。

人材育成を行おうとするときに、王道といえるような段取りがあります。それに従いさえすればいいというわけではありませんが、基本のパターンとして知っておくといいでしょう。その王道の、施策立案の段取りとは。

現在の人材育成レベルをチェック、確認する

人材育成の施策を考えるときに、最初にすべきは現状の把握です。今、自社の業務を行っている中で対象となる人たちがどうであるかの確認です。スタッフ全体としてどうなのかという観点も必要ですし、もちろん、一人ひとりの社員がどうであるかの観点も大切です。

一人ひとりの社員について、その人の強みと弱みを見てみましょう。ふだん漫然とスタッフの評価をしていると、ただその人の全体として「優秀だ」とか「イマイチだ」とか曖昧な味方をしているかもしれません。そうではなくて、具体的に会社の事業に貢献している点とそうでない点を洗い出します。また、ただ一人の評価社による判断だけではなく、できれば多角的な目線を入れて強みと弱みを見ていきましょう。

現状の把握をする際に、自社の全体的な方針や戦略もあわせて再確認しておきましょう。それによって次のすステップである「成長後の姿」がかわってきます。また、個々人の強みや弱みも会社の方向性に合っているかどうかで考えるべきです。

社員、スタッフがそれぞれ、今どうであるかの現状確認と、会社の方針や戦略の現状確認をあわせてやるのが第一段階です。

どういう社員になってほしいかを定義、明文化する

現状確認の次にやるのは、社員がどうなってほしいかという未来像の設定です。これについても、もちろん、会社の全体としての方針がかかわってきます。経営戦略や経営方針、それらを確認して、未来像を考えます。

それぞれの社員やスタッフにどういう成長をしてほしいのかは、3年、あるいは5年くらいのスパンで考えるといいかもしれません。1年では具体的な成長を確認しにくいし、10年だと、それまでの間に方針などの変更が必要になる可能性もあります。一般論としてこの期間設定がよいと言い切れるものでもないのですが、会社として適切な期間を検討しましょう。

そして、「こうなってほしい」という未来像は、個人々々に対してあるていど具体的に明示します。具体性がないと本人の目標設定がしにくいし、施策の評価もしにくいです。だから、本人との面談もしながら、成長の先に考えられる人物像を明文化することが大切です。

どういう社員になってほしいのかは、会社の方針などに合わせつつ、個別具体的に明示しましょう。

ギャップを埋めるために必要な施策を具体的に

現状の把握ができて、未来像の設定もできたら、そこにギャップがあるはずです。ギャップが見えてきたならば、ギャップを埋めるための方策を考えましょう。その方策こそが人材育成の施策となります。必要なスキルは何か、それを身につけるためのトレーニングの方法は何か、やり方や指導者の設定などを考えます。

ここまでも「明確化」「具体化」の必要性に触れていますが、育成や教育の施策ももちろん具体的でなければいけません。誰が、何を、いつ、どこで、どのようにするのか、誰が見てもわかるような形が理想です。

かりに、「顧客からのヒアリング能力を高めてほしい」と考えているスタッフがいるとします。そのスタッフに「ヒアリング力を高めよ」とだけ伝えてもわかりにくいです。たとえば「ヒアリング後に内容をレポートで提出する」という設定をし、そのレポートが上司から見て評価に値するかどうかチェックする。その評価もできるだけ具体的にする。そういう工夫や取り組みも必要になるかと思います。

ギャップを埋めるために何をするのか、評価する人、育成の対象者、意識にズレがないようにしながら具体的にしていきましょう。

PDCAサイクルをまわして継続的に改善をする

どんなに手間をかけて検討した施策であっても、実施後にうまくいかなかったと評価せざるをえない結果になる可能性はあります。むしろ、どこかしらに改善点が残るのは当然のことだと考えましょう。そして、適宜、改善点を見つけて修正をしていきます。

PDCAサイクルとは、計画、実行、確認、改善、という4つのフェーズを何度もまわしていくことです。繰り返していくなかで全体として良くなるように行動を続けます。人材育成の取り組みは、1度や2度の施策ですぐに効果が出るものではありません。そのことも、肝に銘じておかなくてはいけないことのひとつです。

ここで紹介している王道としての育成の段取りも、PDCAサイクルの中で、しだいに良い結果に近づけていくものだと考えます。

 

自社の人材育成レベルチェック(簡易版)

 
 

人材に関する問題や、考えることの課題を解決するためのメールマガジン

 

起業しようとする人へ、家計簿的な考え方は捨てましょう

人事系コンサルタントの永江です。
今日は人事の話じゃなくて、会計のお話。それも、これから起業をしようと考えている人へのメッセージです。
すでに会社を経営している人はまったく不要になる話のはずで、ざっくりいうと「キャッシュフローを考えよ」ということです。経営を実際にしてみると分かるはずなのですが、「やりたいことで独立開業!」と考える人に欠けがちな思考があるのです。

お金の出入りにおけるタイムラグ

事業をやるうえでのお金の出入りには、タイムラグが発生します。買ったけれども後で払うとか、売り上げたけれども後でもらうとかですね。これをちゃんと考えておかないと、払うべきときに払う現金が足りないとか、商品は出ていったのにその分の現金が入っていないとか、いろいろ残念なことになるかもしれません。ちなみに、タイムラグはマイナスのこともあり、つまり、先にお金をもらっておいて、後でサービスを提供するというやり方も考えられます。

「どうせ払わなならんものだから払ってしまえ」という誤り

実は私の母親は、家計を預かる主婦として、「どうせ払わなならんものだから、とっとと払ってしまえ」という考えの持ち主でした。つまり、たとえばローンの支払いがあったとして、いくらか現金に余裕があったら、予定より先に払ってしまって残債を減らすことを好むんです。子どもの習い事の月謝も、「どうせ払う」といって早め早めに払います。でも、この考えは家計なら良いのですが、事業経営としてはあまり良くないです。手持ちに現金がせっかくあるのに、支払ってしまったら無くなります。売上があったのにまだお金をもらっていないということもあるから、「どうせ払うから、とっとと払え」は決して正しいことではありません。

売上から経費を引いて利益が出ればそれでいいというわけではない

売上金額があって、そこから諸々の経費を引くと利益になります。この利益を大きくすると自分が潤います。これは基本中の基本で、誰でも分かっているのですが、それだけでは事業はうまくやっていけません。前述していますが、売れてもまだお金をもらえないということがあります。月末締めで、翌月末の受取りになるなんてザラな話。商品やサービスを提供してから2ヶ月ちかくもお金をもらえないこともあるということです。

要は、売れたあとにお金をもらうまで、商品は無いわ、お金も無いわ、で何もない状態になるということです。しかも会計上はこの時点で利益が発生していますから、利益があるのにお金がないという状態が発生します。家計簿的な、あるいはお小遣い帳のような考え方しか持っていない人はこの部分が理解できません。分からない人は簿記から勉強してください。これは実際に起きうることですから。

もらうのは早く、支払うのは遅く

手元に少しでも長く多く現金があれば、いざというときに対応できます。ここぞというタイミングで投資すべき事案があればそれも可能になります。突然のトラブルにも対応しやすくなります。それを実現するためには、「もらうのは早く、支払うのは遅く」です。売上に対して受取るお金は早いに越したことはありません。なんなら前受けで処理したいです。逆に、経費や借金の支払いはなるべく遅くするのがいいです。払うべきものが残っているが気持ち悪いという感覚は分かるのですが、家計簿的なその考え方を捨てたほうが良いかもしれません。

朝の時間を活用することを人材育成にも当てはめてみる【零細企業の人材育成】

人事系コンサルタントの永江です。
私は朝がけっこう早いです。
これは、特にそうするようなきっかけがあったわけではなくて、子どもの頃から自然とそうなっていました。
たまたまそうだっただけではあるのですが、良かったと思うことがいっぱいあります。

朝の時間帯を活用した理由

朝というのは、基本的には、寝て、起きたあとのしばらくの時間です。だから、脳も体も休息をしたあとであり、なにかやるにしても集中しやすく効率も良いです。また、朝日を浴びることで身体的な良い影響もあるようで、ちゃんと朝は起きて、意味のある活動をするのにとても向いている時間帯というこです。

「朝が弱い」のウソ

まあ、ウソとまで言うと言い過ぎだとは思いますが……。「朝が弱い」とか「朝が苦手」といって、しかもそれを言い訳のように使う人を私は信用しません。なぜなら、その人も、他の人と同じように24時間の枠の中で生活をしているからです。精神状態などの理由で夜に寝付けないこともあるとは思いますが、やっぱり、基本的に、「朝が弱い」というのは、正しくもない言い訳にしかならないと思います。

朝にできる人材育成のヒント

さてさて、人材育成にあてはめて考えます。育成の対象となるスタッフにとっても、とうぜん、朝の時間帯は価値あるものです。昼ごはんを食べたあとに眠くなる時間帯よりも、だんだん疲れてきた夕方の時間帯よりも、しゃきっと集中して物事に取り組めるのが朝の時間帯です。だから、アタマを使って自分で考えなくてはいけないことや、集中して取り組むべきことを朝の時間にさせるようにします。

一方で、あまり考えなくてもいいルーティン作業や、あーもこーもなくやらざるを得ないのでやってしまう作業などは、午後からの時間帯でやってもらいます。もちろん、取引先との約束などがあってそのとおりにいかないこともあると思いますが、基本的な原則としてそういう時間の使い方をオススメします。

効率良い時間の使い方をクセ付ける

エネルギーがより必要なことを朝の時間帯にさせるようにして、時間を効率よく使うクセを身につけさせます。そうすれば、その人の成長速度はそうじゃないときより速くなるし、会社に対する貢献度合いも高まります。もちろんそれは会社にとっても良いことなので、やらない理由がありません。

効率良い時間の使い方をするクセをつけさせて、どんどん成長してもらって、会社の利益に貢献してもらいましょう。

 


 



人材育成とモチベーションと、気持ちの高揚の話【零細企業の人材育成】

人事系コンサルタントの永江です。
育成の対象となる従業員のモチベーションは高いに越したことはありません。ただし、モチベーションが高いと勘違いされる別の状態には注意です。

モチベーションってなんだろう?

まずモチベーションという言葉の意味を確認します。モチベーションとは、何らかの言動の動機であったり、目的意識であったり、「しよう」とする意欲のことです。今やっている勉強や仕事や作業の目的を知り、その意義を理解し、「だから、やろう」と思えていれば、集中して、質の良い行動につながりやすいです。だから、人材育成においては、対象となる人のモチベーションを高めようという話になってくるわけです。

モチベーションと勘違いされやすい「気持ちの高揚」

一方で、モチベーションが高い状態だと勘違いされやすい場面があって、それは気持ちが高揚してハイになっている状態です。「テンションが高い」といわれるものがそれに近くて、なんとなく気持ちが盛り上がっているだけです。「おすすめできない系の自己啓発セミナー」などは、参加者がこうなっている場合が多いです。

単なる気持ちの高揚は本来のモチベーションと違って、いちど冷めると戻すための労力を必要とします。本当のモチベーションは、しっかりした動機づけや目的意識なので、簡単に下がってしまうことはないはずなのに。

教育や育成の場面で重要な本来のモチベーション

教育や育成の場面では、対象となる人がしっかりした目的意識を持っていると学習効果が高まります。逆に「ただ言われたから」という乗りで研修に参加しても、時間を激しく浪費するだけで意味がありません。目的意識を持って、動機づけがしっかりした状態が本来の意味でのモチベーションが高い状態なので、意味ある研修にするためには非常に重要なものになります。

企業さんで研修を実施させていただくとき、このあたりに注意をしています。特に若い社員さんなんかはエネルギーがあるので、「テンションが高い状態」になりやすいです。それ自体は悪くないのですが、単に気持ちが高揚しているだけにならないように考えています。ちゃんと目的があって、それを理解して、動機づけがしっかりしている状態で研修が進むように工夫をしています。

 

価格を決定する要素

人事系コンサルタントの永江です。
基本的に私は人事に関連することについてのコンサルティングを行いますが、とはいえ、経営コンサルタントの端くれです。マーケティング的な要素についてもご相談いただくことがあり、価格決定に関するものはそのうちのひとつです。

業界の相場から価格を決める

体感的にはこの決め方をされている人がいちばんに多いような気がします。特に、個人で開業する人は、地域にある同業やライバル店舗の値段を調べて、そのデータを基準にして考えられるケースが多いです。ただ、この考え方は自社(自分)の事情をあまり考慮しないものなので注意しなければいけません。これをやる人は、同時に売上高や利益のシミュレーションをしっかりしていないイメージもあって、「参考ていどにする」のが良いと思っています。

自社のコストと欲しい利益から考える

自社がその商品やサービスを提供するのに必要なコストを算出し、欲しいと考える1商品(サービス)あたりの利益を乗せて価格を決定する方法もあります。おそらくこの考え方で値段を決める人は、日あたり、週あたり、月あたり、でのシミュレーションをあるていどはしているでしょう。注意点としては、欲しい利益のなかに「自分の人件費」を入れているかどうかが考えられます。うっかりこれを入れ忘れると、ボランティアに近いような営業成績になってしまいます。あとから値引きするのは簡単なので、しっかり利益を設定しておくのがオススメです。

お客さんの期待値から考える

この考え方はターゲティングがしっかりできていないと無理なように思います。ターゲティングがしっかりしていれば、ターゲット層となる人たちがどれくらいのお財布を持っていて、それくらいの支払い能力があって、その人たちにとっての相場観や、何を期待して、どうなることを求めているかを考えられます。そこで考えられる金額をベースに、提供できる商品やサービスの最大限で価格を決めます。ちゃんと利益を残すためには、この考え方も取り入れるのが良いと思います。

 

他にも価格決定の考え方はあるのですが、けっきょくは、どれかひとつの考え方だけでは決定しないというのが良いと思います。ちゃんといろいろな要素を並べて、多面的に考えないといけません。時間をかければいいというものでもないですが、安易な設定をしてしまうことには注意しましょう。

人事制度の構築はチームでやる【零細企業の人事】

人事系コンサルタントの永江です。
今日は、人事制度の構築に関するお話です。

作業量としては社長ひとりで出来そうに思える

小さな会社の場合は、経営者である社長の目が全体に行き届きやすいです。規模が小さいですから。あるとき人事制度をちゃんと構築しようと考えたとしてもやっぱりそうで、どんな人材要件がって、現にどのような人材がいて、今後はどう成長してほしいのか、ということが分かりやすいです。そして、制度を作っていく過程もあるていど見えるので、社長ひとりで出来そうに思えるとしても不思議なことではないです。

ひとりの視点や考えで作ると……

しかし、社長ひとりの視点や考えで人事制度を構築すると、「意外とわかっていなかった」となることがあります。規模も小さいし部下のことも知っているし、自分がわかっていることで考えていけばいいように思えて、実はそうではなかったということです。人間ひとりの考えにはどうしても限界があるということです。

小さな会社であってもチームで人事制度を構築する

社長がひとりでやるには限界があるから、小さな会社、零細企業であっても、人事制度の構築はチームでやるのがよいです。社員全員と話し合いながらでもいいし、我々のようなコンサルタントを入れてもいいです。その体制はケースバイケースですが、とにかくチームでやるのが良いです。

チームで作っていくといっても、社長とその他の人の権限がフラットでなくてもよいです。むしろ最終決断は社長の仕事ですから、そこは譲らない考えも必要かもしれません。チームでやるメリットは思い込みや偏見を排除しやすいということにあります。他者の意見も耳に入れつつ、チームとしてアイデアを練り上げていって、最後は経営者による判断とする。そんな流れがうまく出来ると良いのではないでしょうか。

ビジネス的な情報伝達で大切な いくつかの要素

人事系コンサルタントの永江です。
今回はコミュニケーションについてのお話

要素の不足によるコミュニケーションの不出来

コミュニケーションというものは意外と難しいものです。思った意図で伝わらないこと、「そういう意味じゃなかったのに!」と思わされること、勘違い、誤解、いろいろと問題が起きます。日常のなんでもない会話でもそれは起こりえるし、ビジネスにおける情報伝達でも同様です。そして、ビジネス的な情報の伝達では、要素の不足によってミス・コミュニケーションとなることがしばしばあります。

要素の不足とは、伝えるべきいくつかの事柄のうちのいくつかについて伝達もれとなることです。たとえば話の全体として顧客からのクレームを伝えるとします。そのときに、クレームの内容は伝えたけれども、どんな顧客からのクレームなのかという情報を伝えなかった。しかし、ばっちりターゲット層に重なる人からのクレームである場合と、かなり外れた人からの場合では、ビジネス上での対応は違ったものになるはずです。伝えるべき要素に不足があると、その後の思考が正しくできないという結果につながりかねません。

伝達要素のうちでビジネスで有益なもの

ビジネス=仕事における情報伝達では、伝えるべき大切な要素として次のような事柄を考えておくとよいです。それは、1.全体的な累計、2.事柄の主体者、3.事柄の対象者または対象物、4.全体としての背景、5.理由や原因、6.時系列における具体的な進行や流れ、7.結果や結論または要約。日常会話でこれらを漏れなくしようとすると面倒くさそうな会話になってしまいますが、ビジネスにおいては漏れがないことは大切です。誤解なく、その後の思考が比較的に正しく行われるようにするためにこれらの要素は重要です。

情報伝達に漏れをなくして論理的な思考につなげる

上記の要素についての考え方は、ビジネスを科学的に進めるために有効です。科学的であるということは論理的であるということでもあります。感性でビジネスを進めて成功できる人にはなくてもよい考え方かもしれませんが、多くの人は論理性という共通言語によって成功の再現性が高められます。この辺のことはまた別の機会で触れたいと思いますが、ビジネスにおける成功のために論理性は重要であり、論理性のある思考のために情報に不足があっては好ましくないということです。情報伝達に漏れをなくして、論理的な思考ができるようにしていきましょう。

 


 



経営に役立つ数学の考え方

人事系コンサルタントで思考力トレーナーの永江です。
私がコンサルタントとしてお手伝いするジャンルは人事に関係することです。とはいえ、経営そのものと切り離すことはできないし、経営は数字を切り離すことができません。ということで、今回は、経営に役立つ数学の考え方についてです。

基本的な計算は絶対に必要

まず、足す、引く、掛ける、割る、という四則演算は絶対に必要です。電卓やコンピュータで計算ができる現代であっても、基本的な計算はできなくてはいけません。計算することそのものもそうですが、なにか事にあたるときに、自分で計算式を作る能力も必要です。だから、足すことの意味、引くことの意味、掛けることの意味、割ることの意味、それらを正しく認識し、それぞれの違いも分かっていないといけません。

また、掛け算や割り算は、結果の概数を感覚的に捉えられるとなお良いです。「一ヶ月でこれくらいだから、これが一年すると……」というのは掛け算ですし、「これだけの業務を7人でやるとどれくらいの時間が……」というのは割り算です。これを電卓で出してから数字を見て考えるよりも、なんとなく概数の感覚で捉えられると素早い判断にもつながります。

因果関係を含めた論理的な説明力および読解力

数学の証明問題などは、論理的にものごとを説明するための練習だと考えられます。基本となる定義や定理があって、それをもとにするから、どうなるということを書いていきます。因果関係がしっかりしていることと、それによって説明できるということが必要です。

一方で、問題そのものが(わざと)わかりにくく書かれていることもあります。そういう場合は頑張って読み解く必要があります。読み解くときにも、とうぜん、書いてあることを論理的に理解していかなくてはいけないので、読解力につながります。わかりやすい文章を書くことは重要なのですが、難解な事象にあたってそれを論理的に紐解くことは経営をしていれば頻出事項ともいえます。そういう意味で、数学の中にある、論理的な説明をすることや読解をすることは経営に必須だといえます。

 


 



人が足りないのか、仕事に無駄があるのか【零細企業の人事】

人事系コンサルタントの永江です。
北陸地方は人手不足が顕著で、有効求人倍率も全国平均を上回っているそうです。企業の人事担当さんのニーズとしても人材育成よりも、まず採用を優先するという傾向があるそうです。

人員不足を感じるとき

今いるスタッフで10の仕事をしているとして、そこにプラス2の仕事のオファーがあったら、1.2倍くらいなら残業でなんとかしようとするかもしれません。でも、プラス5、プラス7と増えていきそうに思えたら人員の補充、つまり採用を考えると思います。単純に、人数によってまかなえる仕事量に対して、受注の見込みが大きくなってきたら人員の補充を考えるでしょう。

あるいは、事業の拡大を想定したら、とうぜん今のスタッフでは不足するでしょうから、育成期間のことも考えてあらかじめ人員を増やしておくということも考えられます。この場合は、当面の人員不足というより、未来においては今のままでは不足するという予測からくる対応です。

本当に人が不足しているのか、仕事に無駄はないのか

人員の不足を感じたときに、人材の採用で対応しようとするのは自然なことです。でも、どんなに急いでも人員の充足には週単位、場合によっては月単位の期間が必要です。どうせそれくらいの時間がかかるのなら、その間に、仕事に無駄はないのかという検証をしてみることをお勧めします。

現場でいつも頑張っている自覚のある人は、仕事に無駄がないかと問われると「そんなことありません!」と強く反発するかもしれません。でも、仕事の無駄というのは、その仕事の近くにいる人の「感覚」では測りづらいものなのです。自分自身の感覚では一生懸命にやっているつもりだから無駄なんて考えられない。こういう考えは当然といえば当然です。

仕事の効率性は客観的に数値化する

生産性や効率性については、経営分析の中でいろいろな指標が登場します。そのいずれもが、客観的であり数値化された指標を活用するよう教えてくれます。一人あたりの付加価値の創造度合いや、チーム単位での生産能力など、単位やカテゴリ設定でいろいろ考えられます。

経営の中で人に対する部分は数値で表せない要素もありますが、こと仕事に無駄がないかどうかという部分は、逆にドライに客観的にし考えたほうが良いです。そうしないと、「がんばっているよ!」という非常に感覚的な一言にじゃまをされて正しい状況判断ができません。数値化をする。そのために客観的な方法をとる。

 

仕事の効率や生産性を明確にすることは、最終的には一人ひとりの従業員がゆとりを持って働くことにもつなげられます。別に効率の悪さをあげつらって糾弾するのが目的ではありません。新しい人を採用するとそれなりに現場にも負荷がかかるし、もしかしたら会社全体の人件費割当を考えると既存スタッフの給料にも悪い影響があるかもしれません。

採用を止めるのがいいとまではいえませんが、採用を考えるときに、同時に、仕事の無駄についてもちょっと考えてみてはいかがでしょうか。

経営で考えるファシリテーションその3 言葉の定義を広げたり狭めたり

経営で考えるファシリテーションの3回め記事では、「ファシリテーション」という言葉の定義について、それを広げたり狭めたりするというお話をしたいと思います。

広い意味でのファシリテーション

まず、広い意味での定義としては、「良くすること」とか「うまくいくように取り計らうこと」というものがあります。つまり、今でこそ会議や話し合いの場で使われる技法として語られることが多くなったファシリテーションですが、もともとは場を限定せずに、単に「うまくできるようにしていく」kとを指す言葉だったのです。
そして、経営というものを考えるときに、あたりまえですが「会議」だけをやっていればいいわけではありません。現場で働くスタッフが最適な動きをするように取り計らうこともファシリテーションですし、キャッシュの流れが機能するように考えたり行動したりすることもファシリテーションです。ヒト・モノ・カネとよく言いますが、近年ではこれに加えて情報も使います。それらすべての経営資源を「うまくいくように」取り計らうことすべてが、経営のファシリテーションだと考えられます。

狭い意味でのファシリテーション

一方で、狭い定義でのファシリテーションを経営に当てはめれば、たとえば役員会議や現場会議、ちょっとした打ち合わせの場面などで「話し合いのファシリテーション」が有効に働くはずです。会議ファシリテーションでは参加者が気兼ねなく発言したり、お互いの意見を尊重しあうなかで合意を目指すということが求められます。経営者がそれを主導するということもアリですが、その能力に長けた人をその任に充てるという行為そのものも、経営のファシリテーションとして考えられそうです。
そもそも一人では出来ないことをするために組織があります。社長さんが一人で出来る範囲の事業ではないから人を雇っているわけで、その人たちの頭脳も活用しないテはありません。ほとんどの場合、どんなに優秀な一人であっても他人の意見を取り入れることによって一人のときよりも良い考えが出る可能性が上がりますから。そういう意味で、意見を出してもらって活用していくために狭い定義のファシリテーションも必要です。

どのくらいの広さで考えるのが適切なのかはTPO

経営のためのファシリテーションということを考えると、広い意味でのものも、狭い意味でのものも必要だし、有効だし、ぜひ考えていきたいものです。だから、その場に応じた広さ狭さでファシリテーションの定義を考えればいいと思います。もととも「良くする」というようなニュアンスで考える言葉ですから、あまり定義に固執するのもちがうのかもしれません。人材をより活用するために「どうするとよいか」と考え「良いと思われること」を実行し、組織が「良い方向に向かう」ための言動すべてがファシリテーションだと私は考えています。