しだいに感覚のレベルを上げて成長していく

思考力トレーナーの永江です。
なにかの分野で成長していくときのお話。

たとえば自転車に乗れるようになるときの感覚

たとえば、はじめは自転車に乗れなかった人が、練習をして乗れるようになるとき。乗れないときはバランスをとること等いろいろなことを難しいと感じています。それが、なにかのタイミングでバランスがとれると、難しいという感覚は薄れて、「いける」という感覚を持つようになります。

さらにスピードを上げることができるようになると、バランスをとって速く進むことに慣れていきます。そしてあるときに気づくかもしれません。自転車に乗れなかったときの感覚と、乗れるようになってからの感覚が大きくちがっていることに。乗れる感覚を身に着けてしまうと、乗れることが当たり前のようにも思えてきます。

感覚が変わったときに意識しておく

おおよそ何の分野であっても、ある状態からひとつ上の状態に成長したときに感覚の変化はあると思います。そのときに、ステップアップしたあとの感覚の状態を意識してみることをお勧めします。できなかったことができるようになった感覚。前の自分とは違うという感覚です。

変わったあとの感覚を意識すると、できる自分が当たり前のように感じられます。それは、次の成長段階に進んだということであり、さらなる向上につながる新しい階段をのぼり始めたということになります。無意識でも悪いわけではないのですが、成長が感じられれば気分もよくなり意欲も増します。何かが出来るようになったときの感覚を意識して、そのレベルと段々と上げていくことで成長を実感していきましょう。

 


 



OJTのときに考えるOffJT的な考え方【零細企業の人材育成】

人事系コンサルタントの永江です。
小さな会社では、OffJTを行うのが難しくて、育成はOJTのみということも珍しくありません。

OJTとOffJT

OJTとは、On the Job Training の頭文字をとったもので、仕事の現場で行われる訓練=トレーニングのことです。まだ習熟の途中であっても実際にやるべき業務に従事させ、それによって知識や技術を身につけさせます。一方のOffJTとは、Off the Job Training の略で、現場の業務とは別の機会をもうけて教育や訓練を行います。

OJTとOffJTは、どちらが良いというものではありません。理想的な運用としては、その場、そのとき、対象となる従業員のスキルや将来性など、いろいろなことを複合的に考えて適切な手法を使い分けます。比較的に失敗のゆるされる業務ならいきなりOJTで指導するのもアリですが、絶対に失敗してはいけない業務はOffJTでよく練習や訓練をしてから本番に臨みます。また、現場から離れた環境で研修を行うことによって知識面での学習効果を高めるという狙いでOffJTを行うこともあります。

OJTに頼りがちになるときの注意

どちらのトレーニング手法もそれぞれに有効性があるのですが、小さな会社はなかなかOffJTの機会を業務時間中に設定出来ないことが多いです。そのため指導や教育はOJTで行われることが多く、それ自体は良くないということはありません。ただ、OJTを行うときには注意があって、そのひとつが、指導内容の体系的な考えが忘れ去られがちということです。

物事を知って、理解して、練習して、できるようになって、という習熟には、その効率のために体系立てられた理論があったほうが良いです。そして、それにもとづいて効率的な順番も考えられると良いです。でも、現場の仕事というのはその順番どおりに発生するとは限りません。そして、効率の良くないステップでトレーニングが行われてしまうわけです。

体系的にOJTを考える

訓練は効率よく行われるのがよく、そのほうが対象のスタッフは早く成長します。スタッフが早く成長すればそれは会社の利益になるからそれを目指すために、効率よい訓練をするというのは当然といえば当然ですね。実際に現場で発生する業務によって訓練をするわけですが、ただ漫然と仕事を教えるよりも指導内容の体系というものは考えておいたほうが良いでしょう。

指導する内容を体系立てて考えておくということは、身につけてほしい業務の内容を体系立てて整理しておくということでもあります。業務や作業の内容を分類して、必要な知識やスキルも分類して、行き当たりばったりにならないように整理整頓しておきます。実際の現場では理想的な順番で指導できないことも多いと思いますが、教育係にあたる人が体系の意識を持っているのといないのとではちょっとした指導にも違いが出ます。そのとおりにならなくてもいいので、体系的にOJTを考えておくことをお勧めします。

 


 



シンプルであってもイージーではない

思考力トレーナーの永江です。
セミナー等を開催すると、あるいは開催されているほかのセミナーを拝見して感じること。

イージーを求めてセミナーを渡り歩く

私もたまに見かけるし、同じようにセミナー講師をやっている人からも話をききます。「セミナー・ジプシー」と呼ばれる人たち。いろいろなセミナーを受講して、「なるほど、そうか」「勉強になった」と思って、でも、また別のセミナーに参加する。そして「◯◯だけで△△できる!」という謳い文句に誘われてまた別のセミナーを探していく。で、けっきょく、何も自分の中で変化を起こせずに、とりあえず「学んだ!」という気持ちになるだけでなんとなく満足したような気になっておわり。

こういう人たちって、「簡単に△△ができるようになりたい」と思っていて、その「簡単」というのをイージー(easy)という意味でとらえているんですね。でも、できない何かをできるようになるのに、イージーに済ませられることなんてまずありえないです。

シンプルという意味の簡単さならありえる

でも、一方で、シンプル(simple)という意味での簡単さで何かができるようになるのはありえます。たとえば、私は食事制限をする「だけで」他の生活習慣を変えずにダイエットしました。あるいは、私の生徒さんは、毎日かならずSNSに投稿しつづける「だけで」起業当初のスタートダッシュに成功しました。また、毎日ぜったいに数学の学習時間を1時間以上これまでより増やすという「だけで」成績をアップさせた塾生さんもいます。やっていることは非常にシンプルです。

これらの取り組みはシンプルなので、そういう意味で「簡単」といってもいいかもしれません。一回一回のどれをとっても、別にその人にとっての難しいことをやっていません。やろうと思ったら絶対にできることです。それをきっちり続けることで効果をあげています。そういう意味での簡単さであれば、自分のなかでのなにか大きな変化を起こすこともじゅうぶんに可能です。

魔法みたいにパッと変化を得られるはずがない

セミナー・ジプシーの人たちは、怠け者です。魔法のように、あるとき、あることを知っただけで、パッと突然に素晴らしい自分になれると期待しています。そんなこと絶対にないです。自分が今までも自分とかわって、何か変化を得た存在になるには、やっぱり普通は努力や工夫や、そして継続が必要です。何かの道具を得て急にうまくできるようになることはあっても、でも、その道具も上手に使えるようになるには練習や勉強が必要だったりもします。甘えていないで、ちゃんとしっかり勉強し、工夫し、それを継続して、自分に変化を起こしましょう。

 


 



「自分のアタマで考えられる」ようになるために

思考力トレーナーの永江です。
私は、「自分のアタマで考えよう!」というスローガン(?)を掲げています。
いえ、それほどハッキリとアピールしているわけではないのですが、
そうなるのが良いと思っています。

「考えたらわかるでしょ!」の話

人事の仕事をしていたときに、同僚の管理職の人からあった愚痴。「部下のスタッフが、すぐに『聞いていません。教わっていません。』と言ってくる。でも、それまでに知っていることから考えたらわかるんだよね。」

そうなんですよね。けっこう、こういう人は居ます。すでに持っている材料をもとにして考えたら分かるはずなのに、考える前に「教わっていません」と言ってくる。いわゆる「一から十まで教えないといけない」状態でしょうか。それで、上司としては「考えたらわかるでしょ!」とイライラしてしまうわけです。

どうしたら考えられるようになるのか

そういうのが良くないとはいえ、では、どうやったら、人は自分で積極的に考えるようになるのでしょうか。正直にいうとこれは私のライフワーク的な課題にしようと思っていて、「こうすればバッチリ!」というような明確な答えは今のところ模索中です。でも、あるていど、「こうやったらいいように思うし、実際にそれで成果もある。」と考えられるものもあります。

自分で考えられるようになるための3要素

人が、自分のアタマで考える、そのために必要なのは3つです。1つは考える元になる知識を持つこと。2つめは、考えることそのものの能力や技術を身につけること。そして、3つめは、考えようと意識することです。

持つべき順番でいうと最初は3つめでしょうか。意識をしないと始まりません。あとの2つは同時に身につけていけると思うのですが、記憶している知識を増やし、上手に考えるためのスキルを磨くということになります。パソコンでいうと、ハードディスクの容量を上げてデータをたくさん記録して、CPUやメモリのスペックも上げていくようなイメージです。いずれも人間の能力として考えると一朝一夕にはうまくいきません。継続的なトレーニングが必要です。

能力をアップするために

どうやったら能力がアップするのかというと、それはもう、日々の努力です。努力のしかたは工夫ができます。それにあわせて継続性が求められます。そういうえばこれも3つの要素ですね。自分で考えることの3要素と、その能力のアップをするための3要素。うまく組み合わせて「自分のアタマで考えられる」ようになりましょう。

 


 



成果を出すには素直さが大切

永江です。
加賀市で学習塾をしながら、金沢でも学習塾の講師をやり、思考力トレーナーとして個人むけのコンサルティングもやっています。今日は、その中で感じることについてのお話です。

成果が出やすい人とそうでない人

企業組織をクライアントとするコンサルティングとは違って、学習指導や個人コンサルティングは、まさに個人が相手です。そうすると、私がやっていることの成果は、その個人がどう変化するかに現れます。学力が上がったかどうか。資格試験に合格したかどうか。思い描いたような就職ができたかどうか。収入を増やすことができたかどうか。

いろいろな人の成果の上がりぐあいを比べてみるとやはり傾向が見られます。数値として統計をとっているわけではないですが体感として分かります。基本的に、私がアドバイスをしたことを素直に受け入れる人は成果が出やすく、そうでない人はそれなりです。やっぱり、素直さというものは大切だと思います。

アドバイスを受け入れる素直さとは

素直であるということは、なんでもかんでも言うとおりにするということではありません。コンサルティングを受けたり、学習指導を受けたりする場合であれば、アドバイスを実行せずして否定しないということになります。「◯◯をやってみてはどうですか」と伝えたときに、やる前からそれを否定するのかしないのか。素直な人は、まず、とりあえずやってみる行動力があります。

やらない理由はいくらでも言えるのですが、とにかくやる前から否定する人は成長もしないですね。やってみて、頻度や回数、レベルなどの点で言ったとおりにはできないこともあります。それでも、否定してやらないよりは格段に違いがあります。やってみることではじめて見える景色がありますからね。

そもそも何かの相談ごとに来るとか、コンサルティングを受けるとか、学習塾で勉強をするとか、いずれの場合も課題があるから来ているわけです。課題がある状態を改善するためには、これまでの自分のどこかを変えないといけません。つまり、改善したければ変化が前提となるわけです。

変化が前提なのに、人からの助言を受け入れずに、とにかく言い訳をならべて実行しない。もちろん、私が伝えることが必ず正解とは限りません。私のアドバイスに沿って実行をして、うまくいかない可能性はあります。でも、成果を出す人は、助言どおりにやってうまくいかなくても、まず文句などを言うことはありません。前向きに、次のチャレンジに向かいます。こういう姿勢が、課題を克服する変化につながるのでしょうね。

 


 



困難な問題にぶつかったとき、他者からの支援と自力解決とのバランス

思考力トレーナーの永江です。
考えるチカラを高めるためには、ちょっとした注意や心構えも必要です。

自力で解決できない問題にぶつかったときの違い

学習塾で指導をしていると、生徒さんが自力では解けない問題にぶつかっている様子を見ることがあります。ドリルやワークといった課題で、数学系や物理系理科などでよく見かけます。そういうときに、本人の性格が現れているのでしょうか、講師である私に頼ってくるタイミングに違いがあります。

分からないと感じたとたんにすぐにどうしたらいいか訊いてくる子。あるていどの時間を自力で考えることに充てたあとで、断念して質問をしてくる子。ひたすら自力での解決にこだわって、こちらから手を差し伸べようとしても拒否する子。さまざまです。

極端であることは避けて支援者を頼る

あまり早々にあきらめてしまうのも良くなくて、何かというと他者に頼ってしまうクセがついてしまう可能性があります。愛嬌があったりするとそれはそれで処世術として成立しそうですが、思考力を鍛えることにはつながりません。一方で、いろいろと自力で考えるものの結局は解決できない子の場合は、限られた時間の中での効率的な成長がしにくいといえます。

なにごとも極端であることには注意が必要であるように、この場合も、中間あたりにベストがあるように思います。もちろん、その子の能力や成長の度合いによってその中間点のベストも違ってきますが、とにかく、どちらかの極端を避けたいところです。あるていど考えても解決しないときは、講師=支援者を頼るのが良いです。

適度に考え続けることをヒントによって促す

自力で考えることをほどほどにして、塾であれば講師の私を頼ってもらうのが良いです。しかし、ここで講師=支援者である私のほうにも注意が必要となります。それは、答えや解法をそのまままるごと教えてしまっては思考力=考えるチカラを鍛えることにならないということです。相手の状況なども考慮しながらヒントを与えるていどにします。

ヒントを与えて、また考えてもらう。そのときもそれまでと同様に、あるていど考えても分からなければ次のヒントを出します。そうやって、生徒の様子をみながら、ていどの調整をしながら、常に考えつづけるように促します。

他者からの支援と自力解決とをバランスよく

これは塾での指導にかぎったことではなく、たとえば会社で教育係たる上司が部下に接するときにも考えられます。もちろん、学校で先生が生徒の指導にあたるときにも考えられます。育成ということを目指しているなら、考える機会は存在しつづけさせるのが良いでしょう。

しかし、ちょっと面倒なのが自力解決にこだわるタイプです。この場合はヒントをもらうことを拒否してきます。そういうときに、とにかくヒントを出すからという言い方ではどうどうめぐり。その問題を考えることを一旦停止させて、場合によってはヒントだけなら受け取るほうが自身のためにも、まわりの人のためにも良いのだということを諭すようにするのが良いと思います。

 

適度な自力解決志向と、適度な他者からの支援。
このバランスをとることが思考力アップのひとつのポイントです。

 


 


小さな会社でも人事制度は必要【零細企業の人材育成】

人事系コンサルタントの永江です。
今日のお話は、小さな零細企業にも人事制度、とくに評価や教育に関する制度が必要なのかどうかという内容です。
結論を先にいえば、小さな会社にも人事制度はあったほうが良いです。

人事制度の本質は個人と組織の成長にある

組織というのは成長を目指すようにしないと持続すらしなくて衰退します。継続するためには成長を考えるのが良くて、そのために従業員の成長は不可欠です。人事制度というものは何のためにあるのかというと、スタッフ個人を成長させ、それによって会社そのものが成長するためです。これは規模の大小に関わらずいえることだと思います。

個人と組織が成長しさえすれば制度は不要ということにもなりそうですが、制度なしで運用するのはおそらくうまくいきません。なぜかというと、人は自分が思っているほどにちゃんとはしていなくて、社長が考える「成長のための施策」「評価する方法」というのも同じだからです。

評価や教育には納得感が必要

ちゃんと制度化していない方法でスタッフを評価しようとすると、どうしてもどこかに不満が出てきます。「自分は自分なりに頑張っているのに評価してもらえない」とか「社長は自分の何が足りないと思っているのか分からない」とか、そんな思いを持たれて良いことなんてありません。だから制度をつくっていく中で従業員に求める要件を明文化していき、何に頑張ればいいのかを分かるようにするんです。

明文化して分かりやすくするのは評価だけでなく教育についてもです。スタッフの成長に資するもの、なおかつ会社の利益につながるものであれば積極的に会社の費用として支出をし、労働の時間として評価してあげます。そうすれば「これが会社にとって、自分にとって必要なのだ」と分かるようになり、社長の方針や考えと部下の成長の方向性を整えられます。

会社の大小は関係ない

おそらく、大きな会社であればあるほど人事制度はしっかりと構築されていることでしょう。逆に小さな零細企業だとそこまで手が回らないという理由などから人事制度がないことが多いです。たしかに目の前の発注に対応して、営業もして、となれば忙しくてたいへんです。でも、忙しいからこそ、あるいは実は、小さな会社だからこそ人事関連のことは制度化したほうが良いのです。

あなたが零細企業の社長さんで、社員の成長が会社の成長につながるとお考えならば、ちょっと考えてみましょう。あなたは、指導や教育をすることが得意ですか?得意であればそれでいいです。でも、特定の分野で起業した人じゃなければ指導や教育はあまり得意ではないはずです。だから、そこは制度化して、制度が指導や教育をしてくれるようにしておくのです。

会社のルールは会社から従業員へのメッセージになりえます。こういう働き方をしてほしい、こういう行動を仕事の中でしてほしい、そういうメッセージがルールには込められます。このことは人事制度についても同様で、上手にやっている会社は制度の中で自然に社員が成長します。大きな会社に人事制度がちゃんとあるのは規模が大きいからではありません。それが上手な方法だと知っているから制度を作っているのです。その上手な方法を小さな会社だからといって使わないのはもったいない。あなたの会社でも、ぜひ、人事制度の構築を検討してみてください。

具体的な能力と抽象的な能力【零細企業の人材育成】

人材育成コンサルタントの永江です。
小さな会社で人材を育成するためのお手伝いをしています。

具体的な能力と抽象的な能力

これは私が勝手に使っている言い方なのですが、仕事に必要な能力を大きく2つにわけて、具体的な能力と抽象的な能力と呼んでいます。他のところでは通用しない言い方だと思うので、ここにかぎった言葉の定義として考えてください。具体的な能力とは、その業種のその職種に必要なスキルや知識のことです。たとえば、経理事務職の人にとっての簿記の知識やPCを使った入力作業のスピードなどです。これに対して抽象的な能力とは業種や職種にかぎらず有効なスキルなどのことで、たとえば論理的に考える力や、人づきあいの上手さなどです。

ただ、ある職種にとって具体的な能力であっても、実はそれが他でも有効な抽象的な能力となることもあります。逆に、一般的には抽象的な能力となることであっても、ある特定の職種をその職種たらしめる具体的な能力になることもあります。つまり、何が具体で何が抽象かというのは場合によってかわってくるし、それぞれに具体的に分類がされるようなものではないということです。

たとえば介護福祉事業所の具体的な能力

介護福祉事業書を例にして考えると、具体的な能力とは介護に直接的に役立つスキルになります。たとえば、ベッドに寝ている利用者さんの体の向きをかえる動作、その能力。高齢者介護を仕事としてやっていくために必要な高齢者の体についての知識。こういうものは介護福祉事業所において求められる具体的な能力です。

具体的な能力は直接的にその仕事に必要な能力なので、それがなければ始まらないし、職業訓練や資格試験などで中心的な項目として挙げられます。そして、なぜそれが必要なのかが誰にでも分かりやすいものとなります。

たとえば介護福祉事業所の中傷的な能力

反対に抽象的な能力はその仕事じゃなくても有効な能力であり、場合によっては、なぜその仕事に必要なのか分かりにくかったり、なくてもその仕事じたいは成り立つようなものです。でも、あるに越したことはない、という感じです。

たとえば介護福祉事業所において、論理的な思考は抽象的な能力になります。介護のノウハウを完璧に記憶して、動作としても実行できる能力があれば、職場で論理的な思考を発揮する場面がないかもしれません。でも、あるに越したことはありません。ちゃんとノウハウをマスターしていれば、なくても介護の仕事じたいは成り立つかもしれません。でも、あるに越したことはありません。

抽象的な能力を伸ばす必要があるかどうか

いわゆる即戦力としての成長を期待するならば、ぜひとも具体的な能力を成長させるべきだと思います。それが仕事の質や効果に現れやすいものですからね。介護の腕前がアップすれば、介護の仕事の質が上がったことと同意のはずです。

では、直接的に役に立つわけではない抽象的な能力は、伸ばす必要がないのかというとそうでもないと思います。パッと考えると役に立つのかどうか分かりにくい能力であっても、多くは間接的に仕事の役に立ちます。そして、抽象的な能力が高い人ほど、応用的に仕事の質を高められるし、これまでになかった角度から仕事を見つめられるように感じます。特に、停滞感のある職場では、抽象的な能力が現状を高いするために役に立つ可能性が相対的に高いのではないでしょうか。

緊急性が低いけど重要なのが抽象的な能力

優先度を考えるフレームワークの中で、「緊急度が高いけれど重要度が低い」という項目と、「緊急度が低いけれど重要度が高い」という項目の比較の話が出てきます。緊急度の高さに目が行ってしまってそっちを先にやりがちだけど、重要なことは緊急度が低くても先にとりかかるべきであるという考え方です。抽象的な能力といっているものの中には、緊急性が低いのに意外と重要性の高いものが潜んでいます。どれがそれに該当するのかはケース・バイ・ケースですが、重要度の高い抽象的な能力を見落とさないようにしてください。

教育係は誰にする?【零細企業の人材育成】

人材育成コンサルタントの永江です。

零細企業であればあまり頻度は高くないはずですが新規で人を採用することがあります。とうぜん、そのときには誰かがその新人さんを教育しなければなりません。あるていどの人員の規模がある会社ならば明確な教育係をつけることが多いようですが、零細企業では難しいことが多いです。単純に、教育・指導に人員を割く余裕がないということですね。

心構えについて社長が指導する

零細企業では新人教育がOJT的に現場で行われることが多いはず。それはそれで問題ないのですが、心構えについては社長が直接に指導するのが良いです。理由は簡単で、人数が少ないから。人数が少ないのだから下手に間接的に心構えを説くよりも、社長が直接に伝えるほうが社内でブレが生じなくて良いです。いくら少ない人数であっても、間に人が入ると、特に抽象的な概念については、悪い意味での「伝言ゲーム」になりかねませんから。

社員が持つべき心構えというのは、その会社の理念や方針に基づくものになるはず。そして零細企業ならそれは基本的に社長の考えや信念によって成立するはず。だから、それについては社長が自分で伝えるのがよくて、新人さんにかぎらず、誰に対しても社長が語るのがよいと思います。

技術や知識について社長が教える

さらに、技術や知識についても社長が教えるとよいケースがあります。それは、社長がその会社でいちばんの技術者である場合。零細企業だとそういうケースも珍しくなく、一人ひとりの社員に対して社長が直接の指導をします。先輩社員に対してそうしてきたように、新人さんにもそうします。

ただ、このケースだと社長の負荷が高くなりすぎる恐れもあります。社長がいちばんの技術者であれば、まだ現場で活躍をしているのでしょう。そうすると、労働者としての社長と、指導者としての社長、両方の役割を果たさなくてはいけないからです。本来なら経営者の仕事は経営であって、現場は徐々に従業員に任せるのた理想です。でも、現場から仕事を始めてきた社長さんにとっては、なかなか難しいものですね。でも、将来のことをちゃんと考えるなら、社長は社長の仕事に専念すべきです。

他のスタッフが教育担当となる

自分がいちばん分かっている、できている、そんな自覚のある社長さんは、現場の仕事も新人教育も自分でやりたがります。だから他のスタッフを教育担当にしても、うまく指導できているか気になってしかたないかもしれません。さらに、「指導のしかたが良くない」と言ってついには口を出してしまうかも。

学ぶことの全般に言えることですが、人に説明したりするアウトプットは、説明する人自身にとって学習効果を高めます。だから、教育係になっている先輩社員にとっても、新人さんに何かを教えるのは勉強になるのです。せっかくの学びの機会を奪うのも良くないですから、指導を任せたのならしっかり任せきりましょう。

教育を外注する

指導内容によっては、教育を外注することも検討できます。自社の中にしかない技術やノウハウなら別ですが、そうでなければ外の機関にお任せするのもいいかもしれません。よくあるケースだと、ビジネスマナーのようなものや、業界として一般的に必要となる知識などを外注します。複数の企業の新人さんが一緒に参加できるセミナーや講座もあるので、零細企業にとっても負担がそれほど高くならずに教育の機会を設けられます。

教育を外注するときの注意点としては、社長の考え方や理念に合致した内容になっているかどうかです。複数の企業が参加する場合だとカスタマイズが難しいですから、事前になるべく詳しく内容を確認できたらいいですね。とはいえ、外部の人間と接してなんとなく指導を受けることも刺激になってよいという考えもあるので、そういう目的であればあまり慎重になる必要もないでしょう。

けっきょくケースバイケース

ここまで書いておいてアレですが……。零細企業において教育担当をどうするのかは、けっきょくケース・バイ・ケースです。社長の個性や考え方。既存の従業員がどうなのか。会社として必要な教育内容はどうなのか。規模が小さい企業だからと一括りにするのは難しいです。だから、その新人さんがどういう人なのか、仕事人としてどういうレベルなのか、どういう教育が必要なのか。よく考えて教育担当をどうするのか検討しましょう。以前にやったことがうまくいったとしても次はそれが適切とは限りません。以前の好例を踏襲してうまくいく可能性は、零細企業の場合は比較的に低いです。だから、あるていどの柔軟性を持って、従業員教育を考えていくのが良いと思います。

何について成長してもらうかを特定する【零細企業の人材育成】

人材育成コンサルタントの永江です。

なぜ私が人材育成コンサルタントとして零細企業を対象としているのかというと、小さな会社の中には育成を担当する係になる人が居ないことが多いからです。また、多くの零細企業の社長さんは、一部の業種をのぞいては教育や育成について苦手とする人が多いということもあります。事業の内容としている分野にはものすごい能力をお持ちだけれども人を育てる経験には貧しい。そんな人が多いような気がします。

ということで、ここでは零細企業の人材育成を考えるときの「何について成長してもらうかを特定する」ということについて考えてみましょう。

最初に人材要件ありき

零細企業は採用を感がるときに人材要件をあまり綿密に考えないことが多いです。あなたの会社ではどうでしょうか。現場の仕事と社長が非常に近いので、わざわざ人材要件を明らかにしなくても「知っている」からそうなるのではないかと思います。「わざわざ考えなくても、どんな人材が我が社にふさわしいか分かっている」ということです。でも、ここに注意しなくていけない点があります。

この件についてかぎらず、人は自分のアタマのなかにあることをきちんと整頓して理解していないことが多いです。だからこそ、よく仕事の仕方の話として「見える化」という言葉が出てくるのです。自己分析の場面でも、討論をする場面での、あらゆるところで文字や図表などにして「見える化」をするのが良いです。そして、その「見える化」によって、社長さんのアタマのなかにある人材要件を明らかにしてください。それがスタッフの育成や教育を考えるスタートです。

人材要件の中で何を伸ばすか

人材要件が明らかになり、その要件にピッタリはまる人が採用できればよいですが、現実にはなかなか難しいと思います。また、当初は満足できていたけれども、日々の仕事の中で「もっと成長していほしい」と考えるようになることもあるはずです。そのときに考えることはどの能力を伸ばしてもらうのが優先されるかということです。

人材要件を明らかにしたら、おそらくそれは複数の項目になっているはずです。そのすべてについて成長してくれるのがいいのですが、まずは「今」どれを優先したいかを考えてください。優先順位は時期によってちがうかもしれないし、外的な要因によって変化する可能性もあります。だから決めたらぜったいに変更しないというものではなくて、「まず、今なら、どれ」と考えてください。

伸ばすものは1時期について1つ

従業員の教育を考えるときに、1つの時期にあれこれといくつもの能力やスキルを伸ばさせようとするのは良くないように思います。たとえば学校の勉強のように数学と英語を同時期に学ぶのはいいです。ただ、実際の現場で役立つスキルというのは、いったんひとつに絞って考えるのがいいです。それはなぜでしょうか。

零細企業の社員教育は、おそらくOJTになることが多いはず。毎日の仕事をしながらその中で何かについて今より良くなることを目指します。通常の仕事をしながらということは、いったんそこまでに覚えたり出来るようになったりしたことをアウトプットしながらということになりますが、これをやりながら新しく自分の成長のたかに意識を持つことは簡単ではないでしょう。ほとんどの場合で「あれもこれも」は失敗します。意識は少なめのことに向けさせて、「まず1つ」という感じで絞って指導すると成長の有無や度合いの確認もしやすいのでお勧めします。

待つことも社長の仕事

せっかちな社長さんは、従業員を教育するための取り組みを始めると、早く結果を欲しがります。気持ちは分かるのですが、内容によってはそう簡単ではない場合も少なくありません。たとえば家電品のような機械を操作するスキルは短時間で身につけられます。しかし、パソコンのタイピングのようなスキルは成長のための時間が非常に長くかかります。そういうときに急いでも無理があるということです。

あるいは同じことを身につけるにしても人によって必要な時間や期間が異なります。社長が思っていたより早いこともあれば遅いこともあります。私は、社長が持つべき覚悟のひとつに、この「成長を待つ」ということも含まれると考えています。どんな人間もあるていどの成長はするのだけれど、それには一定の時間が必要。待つことも社長の仕事だと考えて、慌てることなく、成長を促す施策を実行しましょう。