何について成長してもらうかを特定する【零細企業の人材育成】

人材育成コンサルタントの永江です。

なぜ私が人材育成コンサルタントとして零細企業を対象としているのかというと、小さな会社の中には育成を担当する係になる人が居ないことが多いからです。また、多くの零細企業の社長さんは、一部の業種をのぞいては教育や育成について苦手とする人が多いということもあります。事業の内容としている分野にはものすごい能力をお持ちだけれども人を育てる経験には貧しい。そんな人が多いような気がします。

ということで、ここでは零細企業の人材育成を考えるときの「何について成長してもらうかを特定する」ということについて考えてみましょう。

最初に人材要件ありき

零細企業は採用を感がるときに人材要件をあまり綿密に考えないことが多いです。あなたの会社ではどうでしょうか。現場の仕事と社長が非常に近いので、わざわざ人材要件を明らかにしなくても「知っている」からそうなるのではないかと思います。「わざわざ考えなくても、どんな人材が我が社にふさわしいか分かっている」ということです。でも、ここに注意しなくていけない点があります。

この件についてかぎらず、人は自分のアタマのなかにあることをきちんと整頓して理解していないことが多いです。だからこそ、よく仕事の仕方の話として「見える化」という言葉が出てくるのです。自己分析の場面でも、討論をする場面での、あらゆるところで文字や図表などにして「見える化」をするのが良いです。そして、その「見える化」によって、社長さんのアタマのなかにある人材要件を明らかにしてください。それがスタッフの育成や教育を考えるスタートです。

人材要件の中で何を伸ばすか

人材要件が明らかになり、その要件にピッタリはまる人が採用できればよいですが、現実にはなかなか難しいと思います。また、当初は満足できていたけれども、日々の仕事の中で「もっと成長していほしい」と考えるようになることもあるはずです。そのときに考えることはどの能力を伸ばしてもらうのが優先されるかということです。

人材要件を明らかにしたら、おそらくそれは複数の項目になっているはずです。そのすべてについて成長してくれるのがいいのですが、まずは「今」どれを優先したいかを考えてください。優先順位は時期によってちがうかもしれないし、外的な要因によって変化する可能性もあります。だから決めたらぜったいに変更しないというものではなくて、「まず、今なら、どれ」と考えてください。

伸ばすものは1時期について1つ

従業員の教育を考えるときに、1つの時期にあれこれといくつもの能力やスキルを伸ばさせようとするのは良くないように思います。たとえば学校の勉強のように数学と英語を同時期に学ぶのはいいです。ただ、実際の現場で役立つスキルというのは、いったんひとつに絞って考えるのがいいです。それはなぜでしょうか。

零細企業の社員教育は、おそらくOJTになることが多いはず。毎日の仕事をしながらその中で何かについて今より良くなることを目指します。通常の仕事をしながらということは、いったんそこまでに覚えたり出来るようになったりしたことをアウトプットしながらということになりますが、これをやりながら新しく自分の成長のたかに意識を持つことは簡単ではないでしょう。ほとんどの場合で「あれもこれも」は失敗します。意識は少なめのことに向けさせて、「まず1つ」という感じで絞って指導すると成長の有無や度合いの確認もしやすいのでお勧めします。

待つことも社長の仕事

せっかちな社長さんは、従業員を教育するための取り組みを始めると、早く結果を欲しがります。気持ちは分かるのですが、内容によってはそう簡単ではない場合も少なくありません。たとえば家電品のような機械を操作するスキルは短時間で身につけられます。しかし、パソコンのタイピングのようなスキルは成長のための時間が非常に長くかかります。そういうときに急いでも無理があるということです。

あるいは同じことを身につけるにしても人によって必要な時間や期間が異なります。社長が思っていたより早いこともあれば遅いこともあります。私は、社長が持つべき覚悟のひとつに、この「成長を待つ」ということも含まれると考えています。どんな人間もあるていどの成長はするのだけれど、それには一定の時間が必要。待つことも社長の仕事だと考えて、慌てることなく、成長を促す施策を実行しましょう。

業務効率を改善する「手戻り」のチェック

思考力トレーナーで、人材育成に関するコンサルタントをやっている永江です。

前職で人事部長をやっていたことを活かし、
人事に特化した経営コンサルタント業務をやっています。

その中で、ときどき、業務効率についての相談を受けることがあります。

話の端緒としては
「部下の手際が悪い」 とか
「もっと手早く仕事をこなせるようになってほしい」 といったように
「教育・育成」に視点を置いた内容だったりします。

もちろん、部下と呼ばれるその人が成長して、
仕事が早くなってくれることも必要なのですが、
話を聞いていると、必ずしもそればかりではないことがあります。

 

手戻りという言葉があります。

仕事全般について使われる場面で考えると、
ある業務を行ったあとに、なんらかの理由でそれがやり直しになることです。
仕事がまた手に戻ってくるから手戻りなんですね。

先のご相談の例でいうと、
その部下の仕事が遅い状況として、
この手戻り、つまり、仕事のやり直しが多いということです。

やり直しとなることが多いから、結果として完了するまでに時間がかかる。

 

そして、さらに話を聞いてみると、
どうやら、上司からの指示がうまくその真意まで伝わっていないようでした。
そのために、
「そういうつもりで言ったんじゃない」 とか
「そこはもうちょっと、こうしてほしかった」 となっているのです。

「このロゴは青系統で作って」と指示したけど、
薄いパステル調の青がよかった。
それなのに部下は濃い青を使ってきた。

「グラフを使って報告書を作って」と指示したけど、
自分が思っていたのは折れ線グラフで、
部下が作った棒グラフではイメージが違う。

ちょっと極端な例ですが、そんな感じです。

 

手戻りが多くなると業務効率が悪くなります。
特定の人についてそれが多いとなれば、
その人の評価が下がるのは仕方ないのかもしれません。

けれども、
上の例を読んでいただいて気づいていただけると思いますが、
そもそも指示が不十分なために手戻りが多いのかもしれません。

他の人ならなんとなく察することができるとしても
指示を出す側の人間がそれを良しとしてはいけないのではないでしょうか。

 

しっかりした指示を出し、
丁寧なコミュニケーションを心がけ、
業務効率低下の原因となる手戻りを減らすように考えてみましょう。

 

==========
人事に特化した経営コンサルタント業務
↑こちらのページでご案内をしています。

「人」にフォーカスして業務改善が考えられます。
==========