中小零細の人材育成、事例探しよりも枠組み(フレーム)を意識する

人材育成コンサルタントで
思考力トレーナーの永江です。

人材育成について、他者の事例から学ぶことについて考えてみます。

変化の時代、自分で考えて動けるように

変化の時代だと言われて久しく、もはや、変化が速いというよりも、常に何もかもが変化しています。それはクリエイティビティなイメージの職種だけではなく、たとえば事務職などのような管理部門においても同様です。以前は定形で進めた仕事はパソコンがやるようになり、教わったことをそのままできる業務はどんどん減ります。

私が感じていることは、都市部と地方との格差です。その格差は変化に対しての感覚についてであり、特に現場で活躍してほしいはずの現場の社員たちにおいてです。地方においては、いまだに、「仕事は教わってできるようになるもの」という感性の人が多いように感じます。それで苦労している経営者や管理職の方々も少なくないのではないかと推察します。

どのような職種であっても、自分で考えて動ける人材でなければ企業で価値を見いだせません。だから社員の育成は、そのスキルの観点も持っているのが望ましいです。自分で考えるチカラや、自分で考える思考性を育てていくことを考えましょう。

ちなみに、自分で考えられる社員育成をしたいと考えるなら、それをどうしたら実現できるのかを社長が「自ら考える」ことも大切です。

変化の時代のOJTとOffJT

OJTとは、オン・ザ・ジョブ・トレーニングのことで、実際の仕事をしながら教育をしていく手法です。それに対して、OffJTは、オフ・ザ・ジョブ・トレーニングのことで、研修室で行うセミナーのような形式で教育が行われるやり方です。

とうぜんですが、どちらが正しいというわけではなく、それぞれの長所を生かして適切に組み合わせるのが望ましいです。それ自体は昔から変わらない考え方ですが、今の時代に適した組み合わせというものが考えられるのでしょうか?

変化の時代。この言葉ももはや陳腐化してしまった感じがしますが、とにかく、少し前の定義が次の瞬間に使えなくなることは実際に多いです。仕事のやり方を、昨日と今日とでガラッと帰ることもあるかもしれません。会社内での研修や指導も、このことをふまえて考えると良いかもしれませんね。

つまり、OJTとOffJTをどう組み合わせるかということの前に、どちらについてもフレキシブルな発想を指導の現場が持っているかどうかです。研修や指導というものは、どうしても「こうしなさい」「この方法が良いです」という伝え方になりがちです。教わるほうも、そう言われるつもりで参加することが多いです。でも、だからこそ、そこで伝える内容そのものが、次の瞬間に適切なのかどうかを、指導側が常に考えるようにしたいものです。

変化の時代に、自分で考える育成をする指導者は、自分こそが「自分で考えて動く」ことの見本にならなければいけません。

他社の方法から学ぶ?

おおよそ何についても、他者の良いところを真似て、学ぶという方法は有効です。とうぜん社員の育成手法についても同様で、それは多くの企業で行われていることかと思います。ある会社が実行して効果を得た育成の手法や研修を、自社の同じような職種に対して適用してみる、ということです。

実はこれは、ちょっと注意が必要です。注意しなければいけない理由のひとつは、ビジネス環境の変化が速いということです。同じような業種で、比較的に近い職種で効果があるなら、うちのほうでも効果が期待できる。そう思っているうちに環境が変化して、ミスマッチになってしまう可能性があります。タイミングを逸しないようにスピーディさも重要になるかもしれません。

また、もうひとつ、注意しなくてはいけない理由があります。それは、そもそも社会の多様性や個々の相違点というものが複雑になっているということです。一見して同じような職種に見えても、それぞれの会社の事情によって内情に違いがあったりします。細かな違いがたくさん発生するように、社会は思いがけないほどの多様性を持ってしまっています。だから、育成の手法を事例などから真似るにしても、自社との違いがそれなりにあるという前提で、カスタマイズしていくことを検討してください。

他者の方法から学べることは多いと思います。ただし、そのまま真似をするだけでは問題があるかもしれないと思っておくほうが良いようです。

社員育成の枠組みを学ぶ

他者の手法をそもまま真似ることのリスクを考えつつ、枠組みについても出来るならば学べると良いです。人材を育てることの枠組みとは、その会社でどのような段取りや手法で、育成サイクルを回しているかということです。これを学べるとしたら価値は高く、研修そのもののやり方を真似するよりもはるかに重要性が高いです。

枠組みということはフレームワークとして研修を回していく手法になります。たとえば、この5つに分けて考えるという方法が考えられます。

1.育成戦略を定める

2.戦略に沿った手法を検討する

3.検討された指導や研修を実施する

4.実施した内容をチェックし評価する

5.改善点を検討して戦略から見直す

要は、PDCAサイクルの中でステップを刻んで考えやすくするわけです。ただし、段階を設定する方法や段取りの作り方には各社の事情や個性が出てきます。だから、枠組みを学ぶにしても「そのまま真似する」のは良くない場合もあるかもしれません。

ただ、研修の内容そのものとか、指導の方法の具体的なことなどよりも、枠組みにはあるていどの汎用性があります。その汎用性を捕まえれば、その分は自社にそのまま取り入れても大きな失敗にはなりにくいです。それがフレームワークとしての、人材育成の枠組みの考え方です。

ただ単に育成のやり方の事例を真似るのではなく、汎用的に活用できる「育成の枠組み」を学べるように意識しましょう。

中小零細の人材育成、事例探しよりも枠組み(フレーム)を意識する

中小零細企業の人材育成を検討するときに、事例を探して学ぶことも大切です。でも、枠組み(フレーム)を意識して、そこを汲み取るような取り入れかたを目指しましょう。

 

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