経営者の感情労働について考える【零細企業の人材育成】

人事系コンサルタントの永江です。
感情労働という言葉があります。昔から言われる「肉体労働」と「頭脳労働」に次ぐ3つめの労働としての比較的あたらしい考え方です。そして、人材育成を考える社長さんに、知っておいていただくと良いのではないかと考えています。

感情労働とは

まず、感情労働とは、感情によってこなしていく仕事といえます。たとえば、カウンセリングとかがそうですが、自分の感情、少なくとも表に見えるものはコントロールしなくてはいけません。そして、表に見える表情やしぐさにおいて職務上で有効でないものを出さないようにするためい、自分の感情そのものもコントロールしたほうがよい仕事ということになります。

感情労働が求められる仕事の種類としては、カウンセラーのほうかに、各種の接客業や講師業、コールセンターのお仕事、士業のお仕事などがあります。他者と接して双方が気分よく事を運ぶ必要があるのなら、けっこういろんな業種が当てはまると思います。たとえば一般事務職のなかにも感情労働はたくさんありそうですし、ITエンジニアも感情労働を求められる場面はけっこうありそうです。

経営者=社長の感情労働

感情をコントロールして相手に良い接し方をするのであれば、それは経営者が部下スタッフに対する場面でも考えられそうです。部下のミスを咎めるときにどうするか。部下の成功を認めて褒めるようなときにどうするか。いずれも社長さんの感情が表に出そうなところですが、どうするのが良いでしょうか。

感情をコントロールするといっても、かならずしも抑制するのが良いというわけではありません。もしかしたら、場合によって、心からの喜びや怒りや悲しみを相手に伝えることが有効な場面もあるかもしれませんから。ダメなケースを考えるといいのかもしれませんが、感情をコントロールできないことによって、相手にも良くない結果になり、自身や会社にとって良くない結果にもなることを避けたいです。

感情に任せて反応するのではなく、冷静に事象を受けとめて、どのように相手に接するのが良いか考えて、必要であれば厳しく接するし、必要であれば自分の感情を表現します。表情の作り方や声色のコントロールもうまく出来ればいいと思います。脊髄反射的に、感情にまかせて何かを言っているように部下に捉えられないことがポイントではないでしょうか。

落ち着いて一緒に成長を考える

部下の成長を願うのは当然のことですが、社長のそういう考えをスタッフが理解してくれるためにはなんらかのメッセージが必要です。それは言葉によるものだけではなく、制度設計や報酬の与え方なども考えられます。いろいろ考えたらいいのですが、接し方が感情まかせのキーキーした感じでは伝わらないと思います。冷静に、思慮深く考えて、一緒に従業員の成長を考えていけるようなスタンスが良いのではないかと思います。

社長は言葉をケチらない【零細企業の人材育成】

人事系コンサルタントの永江です。
今日は、零細企業の社長が社内のスタッフ向けに「言葉をケチってはいけない」ということについてお話をします。

言語化するのが面倒くさい?

ある社長さんは、従業員と実際に会ってお話をする機会が少ない事情があったために、チャットワークを社内コミュニケーションに活用しています。人数の少ない会社ですから、全体としてのグループチャットと、個人どうしのチャット、この2本だてで活用されています。もちろん、全体に共有すべきことと、他の人には知らせずにひとりひとりと個別のお話をするための使い分けです。

お話をうかがっていると、どうも、チャットで文字を打つのが面倒くさいようです。タイピングの速さは人並みよりちょっと遅いくらいで、そこはいいのですが、伝える文章を考えるのに時間がかかるようです。いわく「電話でしゃべって伝えるほうが速い」とのこと。でも、そもそも時間を合わせて話しにくい社内事情があって始めたことです。なんとか、面倒くさいという思いを振り払って続けていらっしゃるとのことです。

社長が言葉をケチらないということ

たしかに、慣れていなければ、アタマの中にあることを言語化するのは労力を使います。疲労感もあるかもしれません。面倒くさいと思うのも無理はありません。でも、この社長さん、それでも有用なことだから、自分が面倒くさがったりしないで続けるのだとおっしゃっています。月並みで申し訳ない表現になりますが、偉いと思います。

この社長さんが考えていることは、言葉をケチらないということです。面倒くさいので言葉を省略したくなることがあるけれども、それだと誤解を生む可能性が大きくなる。あるいは、勘違いで間違った指示の受け方をされてしまうかもしれない。それでは結果的に余計な手間や時間がかかるし、意味がない。そうならないように、ご自身は言葉を丁寧に考えて丁寧に書いているそうです。

言葉を上手に省略すると、表現は抽象的になります。抽象的になると全体像を共有するには良いのですが、受け手に誤解が生じる可能性が大きくなります。そうならないように、抽象的にまとめた表現と、具体的で詳細な表現は併用するのが良いです。一方で、零細企業の社長さんは忙しいことが多いから、なるべく時間を省略したくなって、言葉をケチってしまう可能性も高いです。

従業員の手間は会社にとってコストです。だからなるべくこれを軽減したいところですね。でも、社長の手間は、場合によっては投資と考えられるかもしれません。もちろん従業員の給料・賃金も投資になりえるのですが、経営者自身が自分の行動を投資とするのは、自分のことだから心がけしだいでできるはず。スタッフに何かを伝えるときに、言葉を惜しんでケチるのではなく、丁寧に言葉を紡いで、しっかり情報伝達をしましょう。もちろん、正しい日本語を使うようにしなくてはいけません。

小さな会社でも人事制度は必要【零細企業の人材育成】

人事系コンサルタントの永江です。
今日のお話は、小さな零細企業にも人事制度、とくに評価や教育に関する制度が必要なのかどうかという内容です。
結論を先にいえば、小さな会社にも人事制度はあったほうが良いです。

人事制度の本質は個人と組織の成長にある

組織というのは成長を目指すようにしないと持続すらしなくて衰退します。継続するためには成長を考えるのが良くて、そのために従業員の成長は不可欠です。人事制度というものは何のためにあるのかというと、スタッフ個人を成長させ、それによって会社そのものが成長するためです。これは規模の大小に関わらずいえることだと思います。

個人と組織が成長しさえすれば制度は不要ということにもなりそうですが、制度なしで運用するのはおそらくうまくいきません。なぜかというと、人は自分が思っているほどにちゃんとはしていなくて、社長が考える「成長のための施策」「評価する方法」というのも同じだからです。

評価や教育には納得感が必要

ちゃんと制度化していない方法でスタッフを評価しようとすると、どうしてもどこかに不満が出てきます。「自分は自分なりに頑張っているのに評価してもらえない」とか「社長は自分の何が足りないと思っているのか分からない」とか、そんな思いを持たれて良いことなんてありません。だから制度をつくっていく中で従業員に求める要件を明文化していき、何に頑張ればいいのかを分かるようにするんです。

明文化して分かりやすくするのは評価だけでなく教育についてもです。スタッフの成長に資するもの、なおかつ会社の利益につながるものであれば積極的に会社の費用として支出をし、労働の時間として評価してあげます。そうすれば「これが会社にとって、自分にとって必要なのだ」と分かるようになり、社長の方針や考えと部下の成長の方向性を整えられます。

会社の大小は関係ない

おそらく、大きな会社であればあるほど人事制度はしっかりと構築されていることでしょう。逆に小さな零細企業だとそこまで手が回らないという理由などから人事制度がないことが多いです。たしかに目の前の発注に対応して、営業もして、となれば忙しくてたいへんです。でも、忙しいからこそ、あるいは実は、小さな会社だからこそ人事関連のことは制度化したほうが良いのです。

あなたが零細企業の社長さんで、社員の成長が会社の成長につながるとお考えならば、ちょっと考えてみましょう。あなたは、指導や教育をすることが得意ですか?得意であればそれでいいです。でも、特定の分野で起業した人じゃなければ指導や教育はあまり得意ではないはずです。だから、そこは制度化して、制度が指導や教育をしてくれるようにしておくのです。

会社のルールは会社から従業員へのメッセージになりえます。こういう働き方をしてほしい、こういう行動を仕事の中でしてほしい、そういうメッセージがルールには込められます。このことは人事制度についても同様で、上手にやっている会社は制度の中で自然に社員が成長します。大きな会社に人事制度がちゃんとあるのは規模が大きいからではありません。それが上手な方法だと知っているから制度を作っているのです。その上手な方法を小さな会社だからといって使わないのはもったいない。あなたの会社でも、ぜひ、人事制度の構築を検討してみてください。

社長がみずから動く【零細企業が人材を確保するために】

人事系コンサルタントの永江です。
零細企業が人材を確保するためにどうすると良いのか。
今日は社長の行動についてです。

採用活動を人任せにしない

零細企業の社長さんと一括りにしても、その得意とするところや苦手とするところ、人柄などはさまざまです。だから、とうぜんですが、自分でやる仕事と他人に任せる仕事もさまざま。そして、人に任せる仕事の中でも、自社のスタッフに任せる場合と外注する場合などに分かれたりします。会社にとって本当に欲しいと思える人材を確保することを考えると、採用は人に任せないほうがよいでしょう。

規模が小さな零細企業では、社長の考えや理念が大切です。大企業では大切じゃないみたいな書き方ですが、従業員に与えるインパクトが大きくて、したがって事業そのものに与える効果の比率が大きいというふうに理解してください。ちょっとブレたときの悪影響。きちんと浸透しているときの好影響。それらが出やすいということです。

採用活動を他人に任せると、理念や考え方のアピールが弱まります。また、せっかくのチャンスとなる「社長さんが直接に話してくれた」と思ってもらう機会を逸することになります。もったいないです。小さな会社の社長さんは忙しい人が多いですが、採用活動は自分でやるのが良いと思います。

具体的に何をするか

人材確保のために、何を人に任せず自分でやるべきか。たとえば情報発信の内容を作ることがあります。仮に採用に関するメッセージページをウェブ上に作るとします。HTMLコーディングやページデザインなどは人に任せてよいです。さらに、文章の最終的な作成も任せてもよいです。でも、そのページで何を訴えるのかという内容そのものは社長が自分で作るべきです。そうしないと伝えたいことのニュアンスがズレてしまう可能性があります。

他には、興味をもってくれた求職者の人に直接に会うということです。会社説明や面接などは社長が自分でやりましょう。もちろん他のスタッフを同席させるのはかまいません。説明会では社長が自分の口で会社の魅力を語り、面接では社長みずから気になることを質問し、採用するかどうかの判断をします。

他にも社長が自分でやるのがよいことは考えられますが、情報発信をすることと、求職者への接触は非常に大切だと思います。

社長の魅力を磨く

なんだかんだいって零細企業では、就職活動している人がその会社に入ろうと思うかどうかについて、社長が持っている人間的な魅力は大きく影響します。つまり良い採用をするためには社長が魅力的であることは武器になります。一方で、私の体感では、ここについて自信を持っていない社長さんがけっこう多い。本当はすごく魅力的な人なのに自信を持てないという社長さんもいらっしゃいます。

自信過剰になって驕ったりするのは良くないですが、客観的に評価できる自分の魅力を知っておくことは大切です。そのために、ふだんから親交のある人に自身の魅力を教えてもらうとよいです。なんだか気恥ずかしい思いがするでしょうが、これはぜひ、やってみていただきたい。そうして、そこをブラッシュアップしつつ、表に出していくようにしましょう。

もともと持っている魅力があるとして、それそのもの、あるいは他のことについて自己研鑽をすることも大切です。人間的な魅力というのは完成形がありませんから、ある意味では死ぬまで成長途中です。そもそも人間的な魅力は高いに越したことがありませんから、ぜひ、毎日の仕事や暮らしの中で意識をしてみてください。

小手先のテクニックでは無理

人材の確保をしっかりしようとしたら、小手先のテクニックではおそらく無理です。お金をかけないような努力はできますが、手間を省くことを考えると難しくなります。だから、社長が自分で手間ひまをかける。安易に他人に任せないようにしましょう。

上手な学び方、上手な勉強のしかた

思考力トレーナーで人事コンサルタントの永江です。
先日、ある企業さんで、ある資格試験についての勉強方法をお伝えしてきました。
社員の何人かにその資格習得のための勉強をさせたいのだけれども、どの人もけっこう忙しく働いてもらっている。
だから効率よく勉強してもらうためのヒントをもらえないか、というのが社長さんからのリクエストでした。

全体像や構造を理解して勉強する

下手な勉強方法のひとつとして考えられるのが、とにかくテキストの前から順番に読んでいくというやり方です。上手な勉強方法でも実際の時系列ではそうなることが多いのですが、テキスト本文に入っていく前にやっておくと良いことがあります。それは、これから学ぶ事柄の全体像を把握して、その資格に必要な理論や情報の体系がどういう構造をしているのか知っておくことです。

全体像がわかった状態で学びを進めると、「ああ、この部分は、全体の中でこういう意味があるのだな」とか、「これは、少し前に勉強したあのことと、こういうふうに関係しているのだな」とか、情報の連携をしていけるようになります。情報はひとつひとつの単体で記憶しようとするよりも、つながりでインプットしたほうが覚えられます。だから、全体像があって、その中の各パーツとして細かな情報を入れていくのがいいです。

目次を活用しよう

全体像の把握や理解、構造をわかっておくために有効なのが目次です。以前は私も目次をすっとばして本文に入っていましたが、今はそんなことはありません。何か目的があって実用書やビジネス書を読むときには、かならず目次に目を通してから中身に入っていきます。

目次には、2〜3段階くらいの見出しがあります。その見出しを順に追っていけば、全体としてどういう主張や内容があるのか、それを構成するためのパーツとしてどういう情報があるのかが分かります。そうしてから本文を読んでいくと、全体の中のひとつひとつのパーツとして個々の情報の理解がしやすいです。

個々の要素と全体の例(簿記の勉強)

個々の要素があって全体が構成されている。それを分かって勉強するとよいという例として、簿記についてお話をします。ひとことで簿記の勉強をするといっても、いくつかの事柄と、たくさんの言葉の意味を覚えなくてはいけません。そして電卓を叩いて計算をする能力も必要になります。日商簿記3級の勉強をしようとすると、全体の構成として以下のように考えられます。

  • 会計の流れを知る
  • 貸借(左右の振分け)のルールを知る
  • 勘定科目の分類と名前を覚える
  • 正確な計算能力を身につける

教える人によって構造化の仕方はちがうと思いますが、おおよそこんな感じになっています。このことを知ったうえで「あ、自分は、いま左右の振分けについて勉強しているな」とか、「正しく間違わないように計算する練習をしよう」とか、考えられるとよいです。

中高生以上にはオススメ

ただ、こういう勉強のしかた、学び方が、どのような人にも向いているわけではありません。小学生くらいのお子さんの場合は、全体を分かってから個々の勉強をするためのベースとなる知識がまだ不足しています。特に低学年だとそれが明らかなので、いわゆる「詰め込み型」の勉強方法も必要になってきます。一時期、この「詰め込み型」の勉強が世の中で批判を浴びましたが、小さい頃には絶対に必要だと思います。

中学生から高校生くらいになってくれば基礎的な知識や考え方も身につくので、だんだんと、全体理解から始める勉強の仕方が向いているようになります。まっとうな学習をして普通の社会的知識を身に着けていれば、大人になったらもう間違いなくこれです。いまになって思えば、中学校のときの勉強や大学受験のための勉強も、こういうやり方をしておけばよかったと思います。そうすれば、もうちょっと……。

学校の先生は、今やっていることが何につながるのか教えてくれません。特に高校の先生は、その教科そのものが好きだった人が多いから、それが何にどうつながっていくのか発展していくのかに興味がないんですね。そういう意味では、学校の先生以外の大人と接するのは子供にとって重要なことなのではないでしょうか。

具体的な能力と抽象的な能力【零細企業の人材育成】

人材育成コンサルタントの永江です。
小さな会社で人材を育成するためのお手伝いをしています。

具体的な能力と抽象的な能力

これは私が勝手に使っている言い方なのですが、仕事に必要な能力を大きく2つにわけて、具体的な能力と抽象的な能力と呼んでいます。他のところでは通用しない言い方だと思うので、ここにかぎった言葉の定義として考えてください。具体的な能力とは、その業種のその職種に必要なスキルや知識のことです。たとえば、経理事務職の人にとっての簿記の知識やPCを使った入力作業のスピードなどです。これに対して抽象的な能力とは業種や職種にかぎらず有効なスキルなどのことで、たとえば論理的に考える力や、人づきあいの上手さなどです。

ただ、ある職種にとって具体的な能力であっても、実はそれが他でも有効な抽象的な能力となることもあります。逆に、一般的には抽象的な能力となることであっても、ある特定の職種をその職種たらしめる具体的な能力になることもあります。つまり、何が具体で何が抽象かというのは場合によってかわってくるし、それぞれに具体的に分類がされるようなものではないということです。

たとえば介護福祉事業所の具体的な能力

介護福祉事業書を例にして考えると、具体的な能力とは介護に直接的に役立つスキルになります。たとえば、ベッドに寝ている利用者さんの体の向きをかえる動作、その能力。高齢者介護を仕事としてやっていくために必要な高齢者の体についての知識。こういうものは介護福祉事業所において求められる具体的な能力です。

具体的な能力は直接的にその仕事に必要な能力なので、それがなければ始まらないし、職業訓練や資格試験などで中心的な項目として挙げられます。そして、なぜそれが必要なのかが誰にでも分かりやすいものとなります。

たとえば介護福祉事業所の中傷的な能力

反対に抽象的な能力はその仕事じゃなくても有効な能力であり、場合によっては、なぜその仕事に必要なのか分かりにくかったり、なくてもその仕事じたいは成り立つようなものです。でも、あるに越したことはない、という感じです。

たとえば介護福祉事業所において、論理的な思考は抽象的な能力になります。介護のノウハウを完璧に記憶して、動作としても実行できる能力があれば、職場で論理的な思考を発揮する場面がないかもしれません。でも、あるに越したことはありません。ちゃんとノウハウをマスターしていれば、なくても介護の仕事じたいは成り立つかもしれません。でも、あるに越したことはありません。

抽象的な能力を伸ばす必要があるかどうか

いわゆる即戦力としての成長を期待するならば、ぜひとも具体的な能力を成長させるべきだと思います。それが仕事の質や効果に現れやすいものですからね。介護の腕前がアップすれば、介護の仕事の質が上がったことと同意のはずです。

では、直接的に役に立つわけではない抽象的な能力は、伸ばす必要がないのかというとそうでもないと思います。パッと考えると役に立つのかどうか分かりにくい能力であっても、多くは間接的に仕事の役に立ちます。そして、抽象的な能力が高い人ほど、応用的に仕事の質を高められるし、これまでになかった角度から仕事を見つめられるように感じます。特に、停滞感のある職場では、抽象的な能力が現状を高いするために役に立つ可能性が相対的に高いのではないでしょうか。

緊急性が低いけど重要なのが抽象的な能力

優先度を考えるフレームワークの中で、「緊急度が高いけれど重要度が低い」という項目と、「緊急度が低いけれど重要度が高い」という項目の比較の話が出てきます。緊急度の高さに目が行ってしまってそっちを先にやりがちだけど、重要なことは緊急度が低くても先にとりかかるべきであるという考え方です。抽象的な能力といっているものの中には、緊急性が低いのに意外と重要性の高いものが潜んでいます。どれがそれに該当するのかはケース・バイ・ケースですが、重要度の高い抽象的な能力を見落とさないようにしてください。

教育係は誰にする?【零細企業の人材育成】

人材育成コンサルタントの永江です。

零細企業であればあまり頻度は高くないはずですが新規で人を採用することがあります。とうぜん、そのときには誰かがその新人さんを教育しなければなりません。あるていどの人員の規模がある会社ならば明確な教育係をつけることが多いようですが、零細企業では難しいことが多いです。単純に、教育・指導に人員を割く余裕がないということですね。

心構えについて社長が指導する

零細企業では新人教育がOJT的に現場で行われることが多いはず。それはそれで問題ないのですが、心構えについては社長が直接に指導するのが良いです。理由は簡単で、人数が少ないから。人数が少ないのだから下手に間接的に心構えを説くよりも、社長が直接に伝えるほうが社内でブレが生じなくて良いです。いくら少ない人数であっても、間に人が入ると、特に抽象的な概念については、悪い意味での「伝言ゲーム」になりかねませんから。

社員が持つべき心構えというのは、その会社の理念や方針に基づくものになるはず。そして零細企業ならそれは基本的に社長の考えや信念によって成立するはず。だから、それについては社長が自分で伝えるのがよくて、新人さんにかぎらず、誰に対しても社長が語るのがよいと思います。

技術や知識について社長が教える

さらに、技術や知識についても社長が教えるとよいケースがあります。それは、社長がその会社でいちばんの技術者である場合。零細企業だとそういうケースも珍しくなく、一人ひとりの社員に対して社長が直接の指導をします。先輩社員に対してそうしてきたように、新人さんにもそうします。

ただ、このケースだと社長の負荷が高くなりすぎる恐れもあります。社長がいちばんの技術者であれば、まだ現場で活躍をしているのでしょう。そうすると、労働者としての社長と、指導者としての社長、両方の役割を果たさなくてはいけないからです。本来なら経営者の仕事は経営であって、現場は徐々に従業員に任せるのた理想です。でも、現場から仕事を始めてきた社長さんにとっては、なかなか難しいものですね。でも、将来のことをちゃんと考えるなら、社長は社長の仕事に専念すべきです。

他のスタッフが教育担当となる

自分がいちばん分かっている、できている、そんな自覚のある社長さんは、現場の仕事も新人教育も自分でやりたがります。だから他のスタッフを教育担当にしても、うまく指導できているか気になってしかたないかもしれません。さらに、「指導のしかたが良くない」と言ってついには口を出してしまうかも。

学ぶことの全般に言えることですが、人に説明したりするアウトプットは、説明する人自身にとって学習効果を高めます。だから、教育係になっている先輩社員にとっても、新人さんに何かを教えるのは勉強になるのです。せっかくの学びの機会を奪うのも良くないですから、指導を任せたのならしっかり任せきりましょう。

教育を外注する

指導内容によっては、教育を外注することも検討できます。自社の中にしかない技術やノウハウなら別ですが、そうでなければ外の機関にお任せするのもいいかもしれません。よくあるケースだと、ビジネスマナーのようなものや、業界として一般的に必要となる知識などを外注します。複数の企業の新人さんが一緒に参加できるセミナーや講座もあるので、零細企業にとっても負担がそれほど高くならずに教育の機会を設けられます。

教育を外注するときの注意点としては、社長の考え方や理念に合致した内容になっているかどうかです。複数の企業が参加する場合だとカスタマイズが難しいですから、事前になるべく詳しく内容を確認できたらいいですね。とはいえ、外部の人間と接してなんとなく指導を受けることも刺激になってよいという考えもあるので、そういう目的であればあまり慎重になる必要もないでしょう。

けっきょくケースバイケース

ここまで書いておいてアレですが……。零細企業において教育担当をどうするのかは、けっきょくケース・バイ・ケースです。社長の個性や考え方。既存の従業員がどうなのか。会社として必要な教育内容はどうなのか。規模が小さい企業だからと一括りにするのは難しいです。だから、その新人さんがどういう人なのか、仕事人としてどういうレベルなのか、どういう教育が必要なのか。よく考えて教育担当をどうするのか検討しましょう。以前にやったことがうまくいったとしても次はそれが適切とは限りません。以前の好例を踏襲してうまくいく可能性は、零細企業の場合は比較的に低いです。だから、あるていどの柔軟性を持って、従業員教育を考えていくのが良いと思います。

何について成長してもらうかを特定する【零細企業の人材育成】

人材育成コンサルタントの永江です。

なぜ私が人材育成コンサルタントとして零細企業を対象としているのかというと、小さな会社の中には育成を担当する係になる人が居ないことが多いからです。また、多くの零細企業の社長さんは、一部の業種をのぞいては教育や育成について苦手とする人が多いということもあります。事業の内容としている分野にはものすごい能力をお持ちだけれども人を育てる経験には貧しい。そんな人が多いような気がします。

ということで、ここでは零細企業の人材育成を考えるときの「何について成長してもらうかを特定する」ということについて考えてみましょう。

最初に人材要件ありき

零細企業は採用を感がるときに人材要件をあまり綿密に考えないことが多いです。あなたの会社ではどうでしょうか。現場の仕事と社長が非常に近いので、わざわざ人材要件を明らかにしなくても「知っている」からそうなるのではないかと思います。「わざわざ考えなくても、どんな人材が我が社にふさわしいか分かっている」ということです。でも、ここに注意しなくていけない点があります。

この件についてかぎらず、人は自分のアタマのなかにあることをきちんと整頓して理解していないことが多いです。だからこそ、よく仕事の仕方の話として「見える化」という言葉が出てくるのです。自己分析の場面でも、討論をする場面での、あらゆるところで文字や図表などにして「見える化」をするのが良いです。そして、その「見える化」によって、社長さんのアタマのなかにある人材要件を明らかにしてください。それがスタッフの育成や教育を考えるスタートです。

人材要件の中で何を伸ばすか

人材要件が明らかになり、その要件にピッタリはまる人が採用できればよいですが、現実にはなかなか難しいと思います。また、当初は満足できていたけれども、日々の仕事の中で「もっと成長していほしい」と考えるようになることもあるはずです。そのときに考えることはどの能力を伸ばしてもらうのが優先されるかということです。

人材要件を明らかにしたら、おそらくそれは複数の項目になっているはずです。そのすべてについて成長してくれるのがいいのですが、まずは「今」どれを優先したいかを考えてください。優先順位は時期によってちがうかもしれないし、外的な要因によって変化する可能性もあります。だから決めたらぜったいに変更しないというものではなくて、「まず、今なら、どれ」と考えてください。

伸ばすものは1時期について1つ

従業員の教育を考えるときに、1つの時期にあれこれといくつもの能力やスキルを伸ばさせようとするのは良くないように思います。たとえば学校の勉強のように数学と英語を同時期に学ぶのはいいです。ただ、実際の現場で役立つスキルというのは、いったんひとつに絞って考えるのがいいです。それはなぜでしょうか。

零細企業の社員教育は、おそらくOJTになることが多いはず。毎日の仕事をしながらその中で何かについて今より良くなることを目指します。通常の仕事をしながらということは、いったんそこまでに覚えたり出来るようになったりしたことをアウトプットしながらということになりますが、これをやりながら新しく自分の成長のたかに意識を持つことは簡単ではないでしょう。ほとんどの場合で「あれもこれも」は失敗します。意識は少なめのことに向けさせて、「まず1つ」という感じで絞って指導すると成長の有無や度合いの確認もしやすいのでお勧めします。

待つことも社長の仕事

せっかちな社長さんは、従業員を教育するための取り組みを始めると、早く結果を欲しがります。気持ちは分かるのですが、内容によってはそう簡単ではない場合も少なくありません。たとえば家電品のような機械を操作するスキルは短時間で身につけられます。しかし、パソコンのタイピングのようなスキルは成長のための時間が非常に長くかかります。そういうときに急いでも無理があるということです。

あるいは同じことを身につけるにしても人によって必要な時間や期間が異なります。社長が思っていたより早いこともあれば遅いこともあります。私は、社長が持つべき覚悟のひとつに、この「成長を待つ」ということも含まれると考えています。どんな人間もあるていどの成長はするのだけれど、それには一定の時間が必要。待つことも社長の仕事だと考えて、慌てることなく、成長を促す施策を実行しましょう。

育成もちゃんと考える【零細企業が人材を確保するために】

石川県を基盤にして零細企業の支援をしている永江です。
零細企業の社長さんが人材確保を考えるときのヒントとして、今日は「育成することも考えよう」というお話をさせていただきます。人材確保というと採用に目が行きがちな人があるていどいらっしゃって、実際に私から「そうではないよ」というお話をさせていただくこともあります。

即戦力はコスト高

正直いってしまうと即戦力となるスタッフを中途採用で雇用しようと思うと、なかなかにコスト高になってしまいます。採用のための手間もかかるし、それなりの給料も設定しなければなりません。もちろん育成なんてしている暇がないということもあるでしょうが、出せる費用にもやっぱり限度があると思います。

経験があったり知識や技術があったりするとすぐに働き手として役に立ちます。でも、その「すぐ」のためにいくらでもお金を用意できるわけではないならそのコストについてちょっと考えたほうがいいかもしれません。それよりも、未経験であっても社長の価値観に共感できる人材を採用して、しっかり育成したほうがけっきょくは手間もお金もかからないかもしれません。

採用時には伸びしろを見たい

そうすと、他の記事にも書いたことですが、採用時には価値観が基準になってきます。そしてもうひとつ可能であれば評価したいのが「伸びしろ」というものについてです。つまり、その人を育成していったらどれくらいのレベルのスタッフになるのかということです。今の能力ではなく、未来の能力を推定して採用を考えるということになります。

これは実際には簡単ではないと思います。何十人あるいは何百人と接してきた人事マンでも難しい評価だし、まして零細企業の社長さんがその判断力を養う機会が多くあるわけでもありません。しかし、そうはいっても大事なことなので、まずはいったん採用活動の心構えとして「伸びしろを見る」ということを考えてください。

放置しないで従業員教育を考える

小さな会社の社長さんは、ふだんからなかなか忙しくて従業員教育に携わる暇がないことが多いと思います。そのため、仕事のやりかたをあるていど理解させたらあとは放置で自然に成長するのを待つことも多いのではないでしょうか。これだとなかなか従業員が成長しないのであまりお勧めはいたしません。

ちゃんとした研修を受けさせるとかトレーニングの時間を設定するとかまではしなくても良いです。とにかく放置をしないこと。たとえば、1週間の課題をあたえてそれを仕事の中でのチャレンジとする。週末に必ずその出来ぐあいをチェックする。これだけでも教育効果はしっかりあります。放置をしない。そして従業員教育は、まず考えるということ。これも人材確保のひとつの方法として使ってください。

ウェブの施策【零細企業が人材を確保するために】

人事コンサルタントの永江です。
零細企業が人材を確保するためにできる施策について、今回は、人材確保の観点からウェブをどう活用するのかということを考えます。

まず大切な最初のポイントは、ウェブを使わないという選択肢はないということです。零細企業の社長さんは忙しくて、事業内容や仕事の内容からウェブから縁遠い人も少なくないと思います。電話とFAXで仕事はできるし、インターネットもたまに見るくらいで充分という方も多いはず。でも、今の時代に人材をしっかり確保しようと考えたらウェブは必須と思ってください。

落としどころはホームページ

やれFacebookだ、やれInstagramだ、と、いわゆるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用が盛んです。仲間内での連絡であれば、もはやE-メールすら古いものになりつつあります。ウェブを活用して云々というと、これらSNSの活用方法に目が行きがちな人もいるのではないでしょうか。でも、ウェブ活用で人材確保を考えるときに、最初にとりくんで構築していただきたいのは、独自ドメインのホームページです。

独自ドメインというのはインターネット上の住所のようなものを自社で持つということです。いまご覧いただいているウェブページなら「manabuki.com」というのが独自ドメインです。有名なところでは、「yahoo.co.jp」というのが日本のヤフー!のドメインですし、「toyota.jp」はトヨタのドメインです。

この独自ドメインは年間費用にして数百円ていどから持てるもので、インターネット上にしっかりと自社の「居場所」を確保することになります。たとえば学生さんがちょっと興味を持った企業を調べようとするとネット検索をするのは当たり前になっているので、そのときに「ちゃんとした会社」と思われやすくなるというメリットがあります。たとえば誰かにある飲食店を勧められたときに、そのお店の名前でネット検索をしたとします。お店の情報が、食べログとか、Hot Pepperとか、そういうところにしか掲載されていないよりも、ちゃんと自分のお店の独自ドメインで自社のホームページを持っているほうが、しっかりした経営・運営をしているような感じがするものです。それと同じで、インターネットで会社の情報を見てもらうなら独自ドメインのホームページを持ちましょう。

社長さんの思うとおりに情報を扱えるのが独自ドメインのホームページですが、これを持つのが難しいというイメージはまだ残っています。でも実際はそうではなくて、非常に簡単に自社のホームページが持てるようになりました。ほんとに便利な世の中になったものです。最低限の会社情報を掲載するだけなら、初心者でも半日もあれば大丈夫です。インターネットを使ってあなたの会社を調べた人が、最終的にたどりついて、なんなら問合せしてくれる窓口になるものとしてホームページを持ちましょう。

網を広げるのがブログ

ブログというのはネット上にある日記のようなものです。最初にちょっとやり方を覚えれば、簡単に会社に関する情報の記事をネット上に存在させることができます。そして、基本的にブログは1記事につき1つのウェブページとなります。たとえば1日に1記事を投稿したとすると、1年間で365のウェブページが追加されることになります。この数がインターネットの世界では有効になってくるのです。

将来あなたの会社に入社してくれるかもしれない人はネット検索で自分が興味を持っているキーワードについて調べています。会社の事業に関連ある言葉、福利厚生に関係ある言葉、所在地に関係ある言葉、いろいろな言葉で検索します。そのときに、インターネット上にページが多くあるほうが見つけてもらいやすくなります。イメージとしては、まさにインターネット上に網をしかける感じで、それをどんどん広げていくのがブログの役割ということです。そして、そのブログが独自ドメインの中にあれば、「なんとなくちゃんとしていそう」というイメージと、「見つけてもらいやすい」というメリットが同時に得られるようになります。

SNSでファンを醸成する

ファンといっても、熱烈な追っかけみたいなものではありません。そういうふうになってもらってもいいのですが、もうっちょっと軽い感じで、「なんとなくあの会社が気になる」という程度でいいです。私の経験と、私のまわりにいるたくさんの知り合いの経験から考えると、SNSで日頃のさまざまな行動を発信していると、自然と人柄を想像してもらえるようになります。それが悪いイメージのものだと良くないのは当然ですが、社長の人柄がネット上に印象として表現されていくということです。

ネット上に存在する社長の人柄のイメージは正確である必要はありません。もちろん正確なほうがいいのですが、狙って正確にするのも人によっては難しいです。それよりも、ちゃんと実在する人間として社長の人柄を「なんとなく」感じてもらって、「あの人、知っている」という状態になってもらうのがいいです。同じ情報であっても受け取り方は人それぞれで違いますから、どう受け取られるかは相手に委ねます。とにかく、「知らない人」から「知っている人」になって、ライトな「ファン」を醸成するのにSNSを使いましょう。

テクニックよりも心構え

ウェブ活用を有効に行っていくためのテクニックはいろいろとあります。私が使っているものもあれば、まだ知らずに活用できていないものもあると思います。でも、大切なのはそういったテクニックを知っていることではなくて、ウェブ活用で必要な心構えを持っているかどうかです。最初に書いたように、零細企業の社長が人材確保を考えたらウェブ活用は必須です。これが基本となる心構え。そして、どうせ社長として外部の人間に会ったりもするのだから、ネット上に顔出しをしていく覚悟を持つということも大切です。そういったもろもろの心構えがなければテクニックも無駄になってしまいます。ウェブ活用して人材確保をする零細企業社長としての心構えが、知識や技術よりも大切です。