中小零細の人材育成、事例探しよりも枠組み(フレーム)を意識する

人材育成コンサルタントで
思考力トレーナーの永江です。

人材育成について、他者の事例から学ぶことについて考えてみます。

変化の時代、自分で考えて動けるように

変化の時代だと言われて久しく、もはや、変化が速いというよりも、常に何もかもが変化しています。それはクリエイティビティなイメージの職種だけではなく、たとえば事務職などのような管理部門においても同様です。以前は定形で進めた仕事はパソコンがやるようになり、教わったことをそのままできる業務はどんどん減ります。

私が感じていることは、都市部と地方との格差です。その格差は変化に対しての感覚についてであり、特に現場で活躍してほしいはずの現場の社員たちにおいてです。地方においては、いまだに、「仕事は教わってできるようになるもの」という感性の人が多いように感じます。それで苦労している経営者や管理職の方々も少なくないのではないかと推察します。

どのような職種であっても、自分で考えて動ける人材でなければ企業で価値を見いだせません。だから社員の育成は、そのスキルの観点も持っているのが望ましいです。自分で考えるチカラや、自分で考える思考性を育てていくことを考えましょう。

ちなみに、自分で考えられる社員育成をしたいと考えるなら、それをどうしたら実現できるのかを社長が「自ら考える」ことも大切です。

変化の時代のOJTとOffJT

OJTとは、オン・ザ・ジョブ・トレーニングのことで、実際の仕事をしながら教育をしていく手法です。それに対して、OffJTは、オフ・ザ・ジョブ・トレーニングのことで、研修室で行うセミナーのような形式で教育が行われるやり方です。

とうぜんですが、どちらが正しいというわけではなく、それぞれの長所を生かして適切に組み合わせるのが望ましいです。それ自体は昔から変わらない考え方ですが、今の時代に適した組み合わせというものが考えられるのでしょうか?

変化の時代。この言葉ももはや陳腐化してしまった感じがしますが、とにかく、少し前の定義が次の瞬間に使えなくなることは実際に多いです。仕事のやり方を、昨日と今日とでガラッと帰ることもあるかもしれません。会社内での研修や指導も、このことをふまえて考えると良いかもしれませんね。

つまり、OJTとOffJTをどう組み合わせるかということの前に、どちらについてもフレキシブルな発想を指導の現場が持っているかどうかです。研修や指導というものは、どうしても「こうしなさい」「この方法が良いです」という伝え方になりがちです。教わるほうも、そう言われるつもりで参加することが多いです。でも、だからこそ、そこで伝える内容そのものが、次の瞬間に適切なのかどうかを、指導側が常に考えるようにしたいものです。

変化の時代に、自分で考える育成をする指導者は、自分こそが「自分で考えて動く」ことの見本にならなければいけません。

他社の方法から学ぶ?

おおよそ何についても、他者の良いところを真似て、学ぶという方法は有効です。とうぜん社員の育成手法についても同様で、それは多くの企業で行われていることかと思います。ある会社が実行して効果を得た育成の手法や研修を、自社の同じような職種に対して適用してみる、ということです。

実はこれは、ちょっと注意が必要です。注意しなければいけない理由のひとつは、ビジネス環境の変化が速いということです。同じような業種で、比較的に近い職種で効果があるなら、うちのほうでも効果が期待できる。そう思っているうちに環境が変化して、ミスマッチになってしまう可能性があります。タイミングを逸しないようにスピーディさも重要になるかもしれません。

また、もうひとつ、注意しなくてはいけない理由があります。それは、そもそも社会の多様性や個々の相違点というものが複雑になっているということです。一見して同じような職種に見えても、それぞれの会社の事情によって内情に違いがあったりします。細かな違いがたくさん発生するように、社会は思いがけないほどの多様性を持ってしまっています。だから、育成の手法を事例などから真似るにしても、自社との違いがそれなりにあるという前提で、カスタマイズしていくことを検討してください。

他者の方法から学べることは多いと思います。ただし、そのまま真似をするだけでは問題があるかもしれないと思っておくほうが良いようです。

社員育成の枠組みを学ぶ

他者の手法をそもまま真似ることのリスクを考えつつ、枠組みについても出来るならば学べると良いです。人材を育てることの枠組みとは、その会社でどのような段取りや手法で、育成サイクルを回しているかということです。これを学べるとしたら価値は高く、研修そのもののやり方を真似するよりもはるかに重要性が高いです。

枠組みということはフレームワークとして研修を回していく手法になります。たとえば、この5つに分けて考えるという方法が考えられます。

1.育成戦略を定める

2.戦略に沿った手法を検討する

3.検討された指導や研修を実施する

4.実施した内容をチェックし評価する

5.改善点を検討して戦略から見直す

要は、PDCAサイクルの中でステップを刻んで考えやすくするわけです。ただし、段階を設定する方法や段取りの作り方には各社の事情や個性が出てきます。だから、枠組みを学ぶにしても「そのまま真似する」のは良くない場合もあるかもしれません。

ただ、研修の内容そのものとか、指導の方法の具体的なことなどよりも、枠組みにはあるていどの汎用性があります。その汎用性を捕まえれば、その分は自社にそのまま取り入れても大きな失敗にはなりにくいです。それがフレームワークとしての、人材育成の枠組みの考え方です。

ただ単に育成のやり方の事例を真似るのではなく、汎用的に活用できる「育成の枠組み」を学べるように意識しましょう。

中小零細の人材育成、事例探しよりも枠組み(フレーム)を意識する

中小零細企業の人材育成を検討するときに、事例を探して学ぶことも大切です。でも、枠組み(フレーム)を意識して、そこを汲み取るような取り入れかたを目指しましょう。

 

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人材育成を考えるなら、まず現状の確認を

人材育成コンサルタントで
思考力トレーナーの永江です。

 人材育成を考える人は、その人物が将来にどうなってほしいかをイメージすると思います。そして、それを未来の成長像として考え、実現するように育成を進めます。

 会社で、あるいは学校で、人を育成するときに、まず最初にすると良いのは何でしょうか?

人材育成でやることを分解してみる

 まず、人材育成と一言でいっても、その中で発生するタスクが多いので分解してみます。真っ先に思い浮かぶのは直接的な指導の場面です。会社なら先輩からの指導、上司からの指導、研修やセミナーの実施などがあります。OJTも、OfJTもいろいろ、さらに分解できそうですね。

 それから、成長した先にどうなっていてほしいかという、未来像の設定も大切です。それが無いとOJTの方針も定まらないし、研修なんて実施のしようがありません。「やりさえすれば、何でもいい」という教育担当者をたまに見かけますが、あれはいけません。「どうなってほしいのか」をちゃんと定義して、それを本人たちにも伝えるほうがいいですね。

 また、教育や指導を行うにあたって、対象となるスタッフや社員の現状を把握しておくことも非常に重要です。そして、実はこれが最初にやるべきことだと私は考えて言います。その理由とは?

人材の現状把握を最初にやるとよい理由

 なぜ、現状の把握を最初にやるとよいのでしょうか。むしろ未来像の設定を先に組織としてやるべきだと言われるかもしれません。たしかに、未来にどう成長してほしいのかという事柄があり、そのイメージと現状とのギャップを、いま実施すべき施策で埋めようとするのが合理的に思えます。ただ、それだと、未来像が固定的になってしまう恐れがあるのです。

 未来にこうなっていてほしい!といっても、それは、誰にでも当てはまるものではないかもしれません。人によって、そのイメージはすごく遠くに感じられるかもしれません。遠すぎるイメージは学びのモチベーションを上げにくいことがあります。だから、現状がどうなのかと確認して把握する。そして、それに応じて、どうなっていてほしいのかという未来の姿を設定するのです。

 もちろん、大いなる目標として、ドーンと掲げて、全体で共有する理想像はあるかもしれません。でも、教育や指導を実際に有効なものにするには、その人の状況、レベルや能力にあわせて、ほどほどの高さに見るもののほうが効果的です。そのほうが「ここを目指すんだぞ!」と伝えやすいし、それを受けての取り組みがしやすいです。だから、ぜひ、人材育成に取り組む際には、まず、対象となる人のさまざまな状況の確認をして、把握するところから初めてください。

最初にやるけれども、それだけではない

 育成したい存在の現状把握を最初にすると良いのですが、それは、その最初のときだけではありません。他の事柄、つまり未来像の設定や、指導そのものの実施についても同じですが、これらは必ずPDCAサイクルに乗せて運用します。最初に確認したこと、決めたことをいつまでもずっとそのままにはしないように気をつけましょう。

 現状を把握をして、未来像を定め、そして有効な教育施策を考えて実行していく。それが一周まわったら、またその時点での現状を把握します。これは同じことを再びやるようで面倒に感じられるかもしれません。でも、要は、「指導したけでど、それでどうだった?」というフィードバックのようなものです。やったことがどうだったのかの確認は必要ですよね?だから、それをするのです。

 なにごともそうですが、特に人材育成は、ずっと継続するものとして考えるのがいいです。だから、本当の意味で「最初に」となるのは、PDCAサイクルのただ1回だけになるかもしれません。ただし、そこでひとつのマイルストーン的なポイントとして意識して、確認するとよいです。そういう意味では、常に「最初」に現状把握を置いておくと、考えやすいかもしれません。

お試しあれ。

 

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年上の部下との接し方【零細企業の人事】

人事系コンサルタントの永江です。
今日は、年上の部下スタッフとの接し方についてです。

ベンチャー社長はだいたい若い

そうじゃない人ももちろんいらっしゃいますが、ベンチャー社長は比較的にお若い人が多いです。なにせ、法的に必要な書類を作れる年齢になれば理論上は起業ができますから、10代の社長も実際にいらっしゃいます。いろいろと起業の障壁が低くなったという事情もあって、ベンチャー社長はだいたい若い人が多いです。

年下の部下と接するときの心構え

社長が若ければ、雇い入れた部下スタッフ従業員が年下である可能性も高くなります。もちろん、若いメンバーでやっていこうという方針もありますが、年長者の経験値も捨てがたいという場面もあるでしょう。そのときに、年上の人物を部下として扱うのが下手な社長さんがたまにいらっしゃいます。

なにが下手かというよりも、接するときの心構えをお伝えすると端的だと思います。それは、もう本当に単純なことなのですが、年上なのだから、ちゃんと敬って、目上の人として接するようにするということです。「それだと指示や指導がやりにくい」と言われそうですが、「敬う」という心構えから考えるとそのご意見への解答が分かってきます。

年上部下への指示や指導

年上の部下に対しては、指示ではなく「こうしてほしい、ああしてほしい」という自分の希望として、依頼をするという気持ちで伝えるのが良いと思います。また、指導すべき場面においては、「良い変化をうながそう」とするのが良いです。「それはちょっと……」とも言われそうですが、これで対応が分かって接しやすくなったという人は、私がこの件をお伝えした人の大部分を占めます。

 

けっきょく、相手も人間であって、好むと好まざるとにかかわらずプライドのようなものを持っています。そこをいたずらに刺激しても何も良いことは無いし、だからこそ、年上の部下の扱いに困っている人は困っているのです。日本においてはまだやっぱり年齢の序列というものが強く意識されます。だから、「部下に対しては上からものをいう」という感覚は捨てて、「年長者は尊重する」という意識で接しないとうまくいかないことが多いです。

もちろん、部下のほうも年長だからってえばっていたらダメで、つまりは、お互いに尊重しあうような関係であると良いということです。そして、そう書いてしまうと、それは年齢とか序列とか関係ないことになってくるんでしょうね。

 

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研修を実施するタイミング【零細企業の人材育成】

人事系コンサルタントの永江です。
従業員、スタッフに対しての研修を実施するタイミングは、どういうときが良いのでしょうか。

入社時に行う研修

まず、時期として間違いないのは入社時に行うものです。新入社員研修と呼ばれるもので、その業界が初めてなら業界のことから、そうでない場合でも会社の事情やいろいろな必要事項を理解してもらいます。特に新卒新入社員の場合には、社会人としての心構えのようなところから研修がスタートするケースもあります。タイミングを考えるのが難しくないいちばんのものではないでしょうか。

管理職研修、管理職準備研修

これもあまりタイミングが難しくない部類に入ります。そろそろ管理職にしようと考える中堅社員、管理職となる直前や直後、このあたりならまさにそのときに研修ができればいちばん良いです。多少はズレることも考えられますが、なるべくそのタイミングということで、考え方は難しくありません。

タイミングが難しい研修は?

何かが始まるときは、始めようとするときはタイミングとして考え方が難しくないのですが、どのタイミングが良いか考えにくいケースもあります。それは、たとえば、中堅どころの社員に、もうひとつ成長をしてほしいと考えているような場合です。普段の仕事ぶりに不満はないから「もっと成長してほしいから」といってもピンと来ないかもしれません。でも、将来を考えたら今はまだ不足を感じるので、やっぱり研修は実施したい。

他にも、「まさに今でしょう」というのが分かりにくいタイミングがあって、そういうときには、「急がないしな」などと先延ばしになることもあるかもしれません。そのうちに機会を逃して成長が遅れるともったいないですね。現任の管理職研修で、そういう課題をもった企業さんも実際にいらっしゃいます。

思い立ったが吉日

タイミングがはかりにくいときには、まずは、その研修の必要な度合いと、重要度を確認しましょう。緊急度はそれほど高くないはずですが、重要度は意外と高いかもしれません。重要度が高い場合には、「思い立ったが吉日」と考えてよいかもしれません。そして、重要であり、どうせやるなら、というふうに考えられるなら早めに実施することをお勧めします。遅れた分だけ、成長の機会も遅くなり、それは会社にとっての見えにくい損失となります。

 


 



朝の時間を活用することを人材育成にも当てはめてみる【零細企業の人材育成】

人事系コンサルタントの永江です。
私は朝がけっこう早いです。
これは、特にそうするようなきっかけがあったわけではなくて、子どもの頃から自然とそうなっていました。
たまたまそうだっただけではあるのですが、良かったと思うことがいっぱいあります。

朝の時間帯を活用した理由

朝というのは、基本的には、寝て、起きたあとのしばらくの時間です。だから、脳も体も休息をしたあとであり、なにかやるにしても集中しやすく効率も良いです。また、朝日を浴びることで身体的な良い影響もあるようで、ちゃんと朝は起きて、意味のある活動をするのにとても向いている時間帯というこです。

「朝が弱い」のウソ

まあ、ウソとまで言うと言い過ぎだとは思いますが……。「朝が弱い」とか「朝が苦手」といって、しかもそれを言い訳のように使う人を私は信用しません。なぜなら、その人も、他の人と同じように24時間の枠の中で生活をしているからです。精神状態などの理由で夜に寝付けないこともあるとは思いますが、やっぱり、基本的に、「朝が弱い」というのは、正しくもない言い訳にしかならないと思います。

朝にできる人材育成のヒント

さてさて、人材育成にあてはめて考えます。育成の対象となるスタッフにとっても、とうぜん、朝の時間帯は価値あるものです。昼ごはんを食べたあとに眠くなる時間帯よりも、だんだん疲れてきた夕方の時間帯よりも、しゃきっと集中して物事に取り組めるのが朝の時間帯です。だから、アタマを使って自分で考えなくてはいけないことや、集中して取り組むべきことを朝の時間にさせるようにします。

一方で、あまり考えなくてもいいルーティン作業や、あーもこーもなくやらざるを得ないのでやってしまう作業などは、午後からの時間帯でやってもらいます。もちろん、取引先との約束などがあってそのとおりにいかないこともあると思いますが、基本的な原則としてそういう時間の使い方をオススメします。

効率良い時間の使い方をクセ付ける

エネルギーがより必要なことを朝の時間帯にさせるようにして、時間を効率よく使うクセを身につけさせます。そうすれば、その人の成長速度はそうじゃないときより速くなるし、会社に対する貢献度合いも高まります。もちろんそれは会社にとっても良いことなので、やらない理由がありません。

効率良い時間の使い方をするクセをつけさせて、どんどん成長してもらって、会社の利益に貢献してもらいましょう。

 


 



思考を上手にするための3要素

思考力トレーナーの永江です。
自分のアタマでちゃんと考えられる人を増やしたい!

ということで、思考を上手にするための3要素についてお話をします。

考えようとする意思

まず最初に必要なのは、意思です。自分でちゃんと、しっかりと、自分のアタマで考えようとする気持ちです。これが無い人は、分からないことがあったり難しい問いに出会ったりすると、すぐに人を頼ります。それはそれで可愛らしく感じるシーンもあるのですが、少なくとも「考えられるよう」にはなっていきません。まず意思を持つことから始まります。

考えるための基礎となる知識

次に必要なものは考えるための基礎となる知識です。たとえば、「数」というものについて考える数学の世界では、最低限の数の定義と仕組み、そして演算のルールなどを知らないと前に進めません。だから、数学を学ぶための入口として、小学校で算数を習います。そこには数学的なことを考える基礎となる知識を身につけ、少しずつ考えることを進めていきます。

基礎となる知識が必要なのは経営やマーケティングなどについても同じです。たとえば最低限の会計のルールを知らないと、企業経営を正しく思考することはできません。単なるお金の四則演算ではないということを、ちゃんとやっている人なら知っています。おおよそなんの分野であっても基礎の知識は必要となるので、これがあってから3つめの要素を使っていくことになります。

うまく考えるための技術

3つめの要素が、いわゆる「思考法」などのエリアになってくると思います。上手に脳みそを働かせて、効率よく、問題解決に近づくための思考技術です。技術のためには道具がセットになっていることもあって、フレームワーク思考などはそれに該当すると思います。どれほど上質な素材であっても技術が稚拙だと悲しい結果になりなるので、やはり思考の技術も持っているのが良いのです。

 

単に技術だけを学んでも、基本的なことを知らないと、おかしな思考になってしまいます。そして、意思がなければそもそも考えようともしません。意思があり、知識がある状態で、技術を駆使する。そうすると、上手な思考ができるようになります。

 


 



しだいに感覚のレベルを上げて成長していく

思考力トレーナーの永江です。
なにかの分野で成長していくときのお話。

たとえば自転車に乗れるようになるときの感覚

たとえば、はじめは自転車に乗れなかった人が、練習をして乗れるようになるとき。乗れないときはバランスをとること等いろいろなことを難しいと感じています。それが、なにかのタイミングでバランスがとれると、難しいという感覚は薄れて、「いける」という感覚を持つようになります。

さらにスピードを上げることができるようになると、バランスをとって速く進むことに慣れていきます。そしてあるときに気づくかもしれません。自転車に乗れなかったときの感覚と、乗れるようになってからの感覚が大きくちがっていることに。乗れる感覚を身に着けてしまうと、乗れることが当たり前のようにも思えてきます。

感覚が変わったときに意識しておく

おおよそ何の分野であっても、ある状態からひとつ上の状態に成長したときに感覚の変化はあると思います。そのときに、ステップアップしたあとの感覚の状態を意識してみることをお勧めします。できなかったことができるようになった感覚。前の自分とは違うという感覚です。

変わったあとの感覚を意識すると、できる自分が当たり前のように感じられます。それは、次の成長段階に進んだということであり、さらなる向上につながる新しい階段をのぼり始めたということになります。無意識でも悪いわけではないのですが、成長が感じられれば気分もよくなり意欲も増します。何かが出来るようになったときの感覚を意識して、そのレベルと段々と上げていくことで成長を実感していきましょう。

 


 



何かを得ようとするなら、何かについての覚悟が必要になる

思考力トレーナーの永江です。
今日のお話は、「覚悟も持たずに◯◯するな」というテーマでお送りします。
ただし、ほんのひとにぎりの「天才」のある人は該当しないかもしれません。

覚悟という言葉の定義

まず「覚悟」という言葉の定義を確認しておきます。言葉の定義、というか、言葉から感じるニュアンスは人によって異なり、そこにズレがあると話の内容もズレた受け取られ方をしますので。

この記事でいう「覚悟」とは、「もしかしたら不利益または不快であると予想される事柄を、あらかじめ知っておいて、受け入れること」とします。ジュースを買ったらお金が減るけど、今はジュースを飲みたいから、お金が減ることをあらかじめ分かったうえで受け入れる。これは、お金が減るということに対しての覚悟を持っているということです。

ちゃんと努力をする覚悟

ネットの記事で見かけたので真偽は未確認ですが、卓球の水谷選手がおっしゃっていたそうです。「どうしたら卓球がうまくなりますか」という質問をされるのがイヤだと。おそらく、この質問をされるのがイヤになる経緯があったのでしょうね。何度も何度も訊かれたんだと思います。そして、その質問の裏にある真意が「簡単に卓球が上手になるコツを教えてよ」ということにあると気づいたんでしょうね。そして、そんな近道なんて無いということをご自身が知っていらっしゃるので、その質問がイヤになっていったんだと推察します。

私はパソコンのキーボードでのタイピングが人より速いです。もちろん私よりさらに速い人もたくさん居ますが、平均よりは随分と速いという自信があります。だからたまに訊かれるんですね。「どうやったら速くタイピングができるようになりますか?」と。いちおうコツ(?)として指使いを自己流にせずセオリーどおりにやるというのがありますが、それより大切なのは、セオリーを守ったうえですごくたくさん練習することです。簡単にできるようになるコツなんてなくて、とにかくたくさん練習するしかありません。それがイヤなら、タイピングが速くなることは諦めるしかありません。

何かについて上手になるには、そのための努力をたくさんする覚悟が必要です。考え方はシンプルであっても、その道は決してイージーではありません。ちゃんとしっかりと努力する覚悟がないなら、それほど上手にはなれないということを知っておきましょう。

なにかを捨てる覚悟

我々のような凡人=普通の人は、いろいろな制約の中で行きています。時間は有限だし、能力面で出来ることは限られているし、なんでも自由にできるわけではありません。あ、お金も限りありますよね。そうすると、今の生活を変えて新しい何かを得ようと思ったら、捨てる覚悟が必要になります。

たとえば、フルタイムで働くサラリーマン。さらに残業もして忙しいです。でも、その分だけ給料は良いとします。自由に使える時間がほしい。もっと休息をしっかりとりたい。そうするためには、働く時間を減らすことが必要で、残業代が減るとか、転職をして給料が下がるとか、覚悟をしないといけないかもしれません。逆に年収アップの転職をしようと、資格やその他の勉強をするのもいいですが、そのためには一時的にさらに寝る時間を削ってでも勉強するという覚悟が必要だったりもします。ゆっくりした将来の時間を得るために一時的であっても何かを捨てる覚悟ですね。収入を捨てるか、一時的な時間を捨てるか。

たとえば、専業主婦の人。あるときふと参加したセミナーに参加して、素敵な講師の先生にあこがれを持った。私も同じようになりたい!でも、その先生に相談したら、SNSで顔出しをしたほうがいいと言われた。私はネットに顔出しなんてしたくない。今までの平穏な生活を維持したまま、先生のようにあこがれられる存在になりたい……。
ネットにおける顔出し効果の大小は置いておいて、人前に出る仕事がしたいのに、顔が広まるのはイヤだとか、おそらく両立しませんよね。片方を諦めるしかありません。

プロが持つべき責任と覚悟

趣味でやっている卓球やパソコンならば、覚悟がなくて、それで諦めるのもいいと思います。でも、プロとしてお金をもらう以上は諦めたらいけないことがあるはずです。それは、仕事によって違ってくるけど、少なくとも労働集約型のお仕事をしているのであれば、自分の時間を差し出す覚悟は必要ですよね。サラリーマンならなおさらです。たとえば私たちのような仕事であれば対人的な覚悟がいろいろと必要です。100%ではないとしても、相手の都合にあるていどは合わせる覚悟。お伝えすることに関して勉強や学習をする覚悟。場にふさわしい服装を整える覚悟。マルエーで買い物をしているときに「◯◯先生!」と声をかけられる覚悟、とか。

お金をいただいてやる以上は、そこに責任がともないます。少なくともいただくお金と等価の価値を相手に提供する義務が発生します。そのことを受け入れるというのもある意味ではひとつの覚悟といえるでしょう。「わたし、そこまで出来ないわ」というのであれば、お金をいただくのをやめて、プロの舞台には上がらないようにすべきです。

物事には陰陽のバランスがあるのです

タイピングが速くなるために私と同じだけの努力が必要とはかぎりません。顔出しをしなくても人気講師になれる方法もおそらくはあるでしょう。でも、今とちがう自分になるとか、今は持っていない何かを持つようようなるとか、何がしかの変化を求めるのであれば、その分、別のところで何かの変化を生みます。物事には陰と陽があって、それは必ずしも悪いことと良いこととの対比ではないかもしれないけれども、他をまったく変えずに、欲しいところだけ変えるというのは普通は無理なんだと思います。だから、何かがどうかなる覚悟は、それがなければ諦めるしかないということはあるのだろうなと思います。

あっちを立てると、こっちが立たない。もどかしいけど、世の中は、何かのプラスと、別の何かのマイナスで成り立っているのです。

 


 



褒めることの重要性についてあらためて考えてみる

人事系コンサルタントの永江です。
今の私は「部下」という存在を直接に持っていないのですが、かつて会社に勤めて管理職だった時代には部下が居ました。そして、そこでは失敗をしたことも……。

褒めることなく、たまの失敗に厳しく叱る

ある部下スタッフに対してのこと。ふだんは淡々と業務をこなしていて、大きなミスもなく、今思えば本当によくできた部下でした。その部下が、あるときに、ちょっとしたミスをしてしまい、そのために他部署に迷惑をかけるということが起きました。自部署の中ですむことではなかったので問題が大きいと考え、私はその部下を叱りました。

まだまだ私も未熟でしたし、管理職としては本当に反省すべきですが、ふだんの淡々とこなしている素晴らしい仕事ぶりを褒めることがありませんでした。できて当然とでも思っていたのでしょうかね。そして、ちゃんとしっかり仕事をしていることを褒めることなく、叱るときには厳しくやってしまいました。

叱るなとは言わないが、それよりたくさん褒めよう

「叱るより、褒めよ」という言い方をよく耳します。今ならウェブ上の記事などで「目」にします。これはおそらくバランスをとるための言い方なのであって、まったく叱らなくてよいということはないのだろうと思っています。でも、私たちは、ふだんのしっかり行われた業務よりも、たった一回のミスにどうしても大きく反応してしまいます。そうすると生まれるのが、「ちっとも褒めないけど、小さなミスでもすぐに叱る上司」です。

仮に50対50のバランスでいいとしても、意識としては90対10くらいで褒めることを多くするようにしなければ、おそらく正しいバランスにはならないと思います。それは、先に述べたように、どうしてもミスに対してのほうが大きく反応してしまうからです。だから、もう、めんどうくさいと思われるほど、たくさん褒めるように意識を持っておくのが良いのではないでしょうか。

 


 



ロジカルシンキングにおけるひとつの課題「つなげること(統合)」

思考力トレーナーの永江です。
今日は、私がロジカルシンキングの講座やセミナーをやるようになってから、実はずっと、課題として思っていることについて。

分解し、分類するところからはじめる論理的な思考

ロジカルシンキングをやろうとするときに、対象となる事柄は複雑にからまった多様な要素からできています。あなたのまわりにある解決したい課題を想像してみたら分かると思います。その課題に関係する事柄をどんどん細かくしていくと、すごくたくさんの要素から出来ています。たとえばある店舗の営業成績が伸びないとする。その店舗の人員における情報だけでも膨大なものになります。誰が、どのような役割で、と紙に書き出していくとして、その「誰」や「役割」という要素も、もっともっと細かくできます。「誰」についてであれば「年齢」「性別」のような単純なものから、さらに段階的にいくつも細かくできそうな「経歴」「スキル」という要素も持っていますから。

考える対象をどんどん細かく要素分解していったあとで、次の作業としては分類を行います。この分類は、よくMECEといわれる「漏れなくダブリなく」を目指すべきなどと紹介されています。ただ私の考えでは、「漏れ」がなければよくて、「ダブリ」は絶対に避けるべきとまではいえないです。むしろ、つぎの作業段階を考えるには、あるていどの「ダブリ」があったほうが都合よいとも思えます。とにかく、分解したものを、なにかの共通点にもとづいて分類していきます。その分類はときに階層的になります。

分類後の重要な課題が「つなげること(統合)」

あるとき私は、理想的なロジカルシンキングの過程は「分解と再構築だ」と考えました。せっかく良い考えに思い至ったのですが、実はとっくの昔に他の誰かが考えられていたそうです。本を読んだら早かったんでしょうね。

それはさておき、ロジカルシンキングの最初の段階として要素を細かく分解します。実作業としてはホワイトボードや付箋に書き出すことになるでしょう。そして、それらを分類した後があって、ここから重要です。分類しただけではダメです。分類された別の要素どうしをつなげることを考えなければいけないのです。それは統合ともいえます。

つなげるというのは、たとえばどういうことでしょうか。売上の課題として挙げられた別の要素として、スタッフの中に20代の女性、営業に強い地元出身の有能スタッフがいるとします。また別の要素として、地元民に愛されつづけている商材の可能性がアイデアとしてあるとします。そのときに、ある一人のスタッフの特性要素を、新しい商品のアイデアと結びつけて考えるのが「つなげる(統合)」ということです。ここの部分が実はずっと課題なのです。つまり、「はい、わかった。なるほど、できそう。」などと簡単に言えない作業だし、いろいろ説明しても「これなら出来そう」と思ってもらえない思考工程だし、つまり、それ自体がもう難しいんです。

地元出身のスタッフが新しい商品について、という事例は比較的に簡単に思いつきそうです。でも、そもそも非常に多岐にわたる要素をもった事柄を再構築するわけです。無限ともいえそうな組み合わせのパターンが考えられます。その無限ともいえるパターンの中から、筋が通っていて目的に合致していて、良い思考結果が得られると期待できることを選別していくわけです。これは、なんとなく出来ない人にとってはけっこう難しいものだと思います。

意識して修練を重ねるしかない

この話は、何かが出来るようになるということの本質なのかもしれません。方法論や手法やツールでは解決できない問題です。「つなげる(統合)」という作業をしっかりとしていくということ。センスが必要です。センスは、生まれつきに自然に持っていなければ、修練やトレーニングで身につけるしかありません。ただ、センスが身につくと格段に能力が向上します。これだけ書いておいて申し訳ないですが、いまそのセンスを持っていない人は、意識して修練を重ねましょう。