社長は言葉をケチらない【零細企業の人材育成】

人事系コンサルタントの永江です。
今日は、零細企業の社長が社内のスタッフ向けに「言葉をケチってはいけない」ということについてお話をします。

言語化するのが面倒くさい?

ある社長さんは、従業員と実際に会ってお話をする機会が少ない事情があったために、チャットワークを社内コミュニケーションに活用しています。人数の少ない会社ですから、全体としてのグループチャットと、個人どうしのチャット、この2本だてで活用されています。もちろん、全体に共有すべきことと、他の人には知らせずにひとりひとりと個別のお話をするための使い分けです。

お話をうかがっていると、どうも、チャットで文字を打つのが面倒くさいようです。タイピングの速さは人並みよりちょっと遅いくらいで、そこはいいのですが、伝える文章を考えるのに時間がかかるようです。いわく「電話でしゃべって伝えるほうが速い」とのこと。でも、そもそも時間を合わせて話しにくい社内事情があって始めたことです。なんとか、面倒くさいという思いを振り払って続けていらっしゃるとのことです。

社長が言葉をケチらないということ

たしかに、慣れていなければ、アタマの中にあることを言語化するのは労力を使います。疲労感もあるかもしれません。面倒くさいと思うのも無理はありません。でも、この社長さん、それでも有用なことだから、自分が面倒くさがったりしないで続けるのだとおっしゃっています。月並みで申し訳ない表現になりますが、偉いと思います。

この社長さんが考えていることは、言葉をケチらないということです。面倒くさいので言葉を省略したくなることがあるけれども、それだと誤解を生む可能性が大きくなる。あるいは、勘違いで間違った指示の受け方をされてしまうかもしれない。それでは結果的に余計な手間や時間がかかるし、意味がない。そうならないように、ご自身は言葉を丁寧に考えて丁寧に書いているそうです。

言葉を上手に省略すると、表現は抽象的になります。抽象的になると全体像を共有するには良いのですが、受け手に誤解が生じる可能性が大きくなります。そうならないように、抽象的にまとめた表現と、具体的で詳細な表現は併用するのが良いです。一方で、零細企業の社長さんは忙しいことが多いから、なるべく時間を省略したくなって、言葉をケチってしまう可能性も高いです。

従業員の手間は会社にとってコストです。だからなるべくこれを軽減したいところですね。でも、社長の手間は、場合によっては投資と考えられるかもしれません。もちろん従業員の給料・賃金も投資になりえるのですが、経営者自身が自分の行動を投資とするのは、自分のことだから心がけしだいでできるはず。スタッフに何かを伝えるときに、言葉を惜しんでケチるのではなく、丁寧に言葉を紡いで、しっかり情報伝達をしましょう。もちろん、正しい日本語を使うようにしなくてはいけません。

出せないものは出せない【零細企業が人材を確保するために】

人事系コンサルタントの永江です。

零細企業の課題のひとつ、人材を確保するということのために、ちょっと注意をしてほしいこと。
それは、「出せないものは出せない」と割り切ることも必要ということです。

他社より高い給料設定にするかどうか

基本的に給料の設定は高すぎず、低すぎず、が良いです。具体的には、地域の同業他社相場より1割くらい高いのが理想的だと考えます。これはコンサルタントによって数値がちがっていて2割くらいという人もいらっしゃいます。

ただ、そこは会社としての財務力やキャッシュフローの状況がありますから、どうしてもそれ以上に出すのが難しいという場合もあると思います。ただ、相場より下げるようなことはしないほうが吉です。最低でも相場なみ。できればちょっと高いくらいが良いです。

「もっと欲しい」という要求には?

あまり多くあることではないと思うのですが、採用面接のときなどで「給料をもっと上げてほしい」と要求する人がまれにいらっしゃるようです。要求まではいかなくても、「もっと給料がよければ入社するんだけど」と態度に匂わすようなケースもあるそうです。それに応えようとするのかどうか、零細企業の社長さんがちょっと考えてしまうことかもしれません。

こういう要求や要望には応えないほうが良いです。前提として給料の金額設定は交渉対象にしないということがありますが、つまり、出せる金額のちょっと下の設定にして交渉によって上げられるようにするより、出せるいっぱいまでの変更不可な設定にするのが良いということです。

もちろん、入社後に昇給するのがいいので、あくまでも「入社時の金額としていっぱいいっぱい」です。入社後の活躍しだいで上がることがあるけども、入社時は「これ!」として、採用時の要求にはまったく応えなくてよいです。

お金よりも魅力になるものを考える

やっぱり給料などの待遇面では零細企業は不利なことが多いです。だから、お金に強く魅力を感じる人を採用などせずに、会社としての魅力を他のところに求めましょう。

零細企業が求人のときに魅力となるのは、事業の内容や仕事のしかた、社長のパーソナリティなどです。幸いにして、最近の若い人たちの職業選択の傾向としては、仕事そのものの魅力を重視する人たちも少なくないようです。それに社長の人となりがプラスされれば、適切な人材確保も可能です。お金よりも魅力になるものをちゃんと考えて採用活動をしていきましょう。

 

けっきょく、「出せないものは出せない」とする姿勢でいるためには、自信をもってアピールできる強みや魅力を把握しておくことが必要です。入社時の給料設定はガツンと決めたら動かさない。そして、それ以外に会社として持っている魅力を考えましょう。

人が先か、売上が先か【零細企業の人材確保】

人事系コンサルタントの永江です。
零細企業にとっての課題はいろいろあって、従業員を増やすタイミングもそのうちのひとつになることがあります。
会社の成長のために人を増やしたいけれども、売上が増えてくれないと人を増やす原資がない。でも、人が増えないとそもそも売上や利益を増やすための活動ができない。「鶏が先か卵が先か」みたいな話です。

人件費増加のインパクト

零細企業は会計規模が小さいですから、一人の従業員を増やすことによる費用へのインパクトは大きいです。将来の昇給も考えてあげようとするとけっこうアタマの痛い悩みにもなりえます。事業内容によってはパートタイムの雇用で様子を見ながらスタッフを増やすことも考えられますが、それができにくい業種もあるので悩ましいです。

利益が確保できてから人を増やす?

たとえば現在いる社員に残業をたくさんしてもらって利益を作り、その営業成績が安定してきた段階でならスタッフを増やせるかもしれません。その段階で新しい人を採用すれば、残業をたくさんしてくれていたスタッフにもラクをしてもらえるようになるかもしれません。

でも、新人さんが入ってくると教育のための労力が必要になることもあるし、営業成績的にどれくらいの余裕があれば人を入れられるのかという判斷もちょっと難しそうです。利益が確保できてから、営業成績が上の方で安定してから、それから人を増やすという考えだと、意外とそれが達成できずに、ヒィヒィ言い続けることになるかもしれませんよ。

先に人を増やすためには原資が必要

先に事業計画があって人員を増やしてから、それによって営業成績を上げていこうという考えのほうが理想的ではあると思います。実際、近年の「働き方」への世間の意識変化もあって、おそらくそのほうが健全にスタッフも活動してくれる可能性が高いです。ただ、これが出来るためには先に増えてしまう費用をどうするかということを考えなくてはいけません。人を増やすことは、とりあえず人件費が増えることは間違いありませんから。

人を増やせるかどうかというのは、財務状況やキャッシュフローの状況などに影響を受けます。会計=アカウンティングについてきちんと考えなければいけません。零細企業の社長さんの中には会計に弱くて税理士さん頼みになっている人も多いですが、税理士さんは人材確保のことまで考えて帳簿を見てはくれません。そこまで一緒に考えられるコンサルタントを見つけるか、あるいは自分がそこまで考えることに決めるか、そのどちらかになると思います。

小さな会社でも人事制度は必要【零細企業の人材育成】

人事系コンサルタントの永江です。
今日のお話は、小さな零細企業にも人事制度、とくに評価や教育に関する制度が必要なのかどうかという内容です。
結論を先にいえば、小さな会社にも人事制度はあったほうが良いです。

人事制度の本質は個人と組織の成長にある

組織というのは成長を目指すようにしないと持続すらしなくて衰退します。継続するためには成長を考えるのが良くて、そのために従業員の成長は不可欠です。人事制度というものは何のためにあるのかというと、スタッフ個人を成長させ、それによって会社そのものが成長するためです。これは規模の大小に関わらずいえることだと思います。

個人と組織が成長しさえすれば制度は不要ということにもなりそうですが、制度なしで運用するのはおそらくうまくいきません。なぜかというと、人は自分が思っているほどにちゃんとはしていなくて、社長が考える「成長のための施策」「評価する方法」というのも同じだからです。

評価や教育には納得感が必要

ちゃんと制度化していない方法でスタッフを評価しようとすると、どうしてもどこかに不満が出てきます。「自分は自分なりに頑張っているのに評価してもらえない」とか「社長は自分の何が足りないと思っているのか分からない」とか、そんな思いを持たれて良いことなんてありません。だから制度をつくっていく中で従業員に求める要件を明文化していき、何に頑張ればいいのかを分かるようにするんです。

明文化して分かりやすくするのは評価だけでなく教育についてもです。スタッフの成長に資するもの、なおかつ会社の利益につながるものであれば積極的に会社の費用として支出をし、労働の時間として評価してあげます。そうすれば「これが会社にとって、自分にとって必要なのだ」と分かるようになり、社長の方針や考えと部下の成長の方向性を整えられます。

会社の大小は関係ない

おそらく、大きな会社であればあるほど人事制度はしっかりと構築されていることでしょう。逆に小さな零細企業だとそこまで手が回らないという理由などから人事制度がないことが多いです。たしかに目の前の発注に対応して、営業もして、となれば忙しくてたいへんです。でも、忙しいからこそ、あるいは実は、小さな会社だからこそ人事関連のことは制度化したほうが良いのです。

あなたが零細企業の社長さんで、社員の成長が会社の成長につながるとお考えならば、ちょっと考えてみましょう。あなたは、指導や教育をすることが得意ですか?得意であればそれでいいです。でも、特定の分野で起業した人じゃなければ指導や教育はあまり得意ではないはずです。だから、そこは制度化して、制度が指導や教育をしてくれるようにしておくのです。

会社のルールは会社から従業員へのメッセージになりえます。こういう働き方をしてほしい、こういう行動を仕事の中でしてほしい、そういうメッセージがルールには込められます。このことは人事制度についても同様で、上手にやっている会社は制度の中で自然に社員が成長します。大きな会社に人事制度がちゃんとあるのは規模が大きいからではありません。それが上手な方法だと知っているから制度を作っているのです。その上手な方法を小さな会社だからといって使わないのはもったいない。あなたの会社でも、ぜひ、人事制度の構築を検討してみてください。

面接での違和感を放置しない【零細企業が人材を確保するために】

人事系コンサルタントの永江です。
今日は、零細企業の社長さんが採用面接するときのお話についてです。

何がどうかと言われると困るような小さな違和感

人と話しているとなんとなく違和感を感じることがあります。論理がつながっていないけど、明確をそれを指摘できるほどでもない。言っていることが違っているけど、何がどう違うのか分からない。どこにどう違和感を持ってしまったのか分からないからこその違和感なのであって、説明ができたとしてもそれは後になってからだったりします。

採用面接をしていてもそういうことがあって、私が人事部長として面接をしていたときもありました。なんとなく感じる「ダメなんじゃないかなぁ」という思い。でも、他の面接担当者が採用の方向で考えを主張しているのに対して、こちらは言語化した反論ができないでいる。人が議論や検討をするときに言語化できない感覚は主張が弱いので、そのまま採用になることもありました。

違和感を放置してしまったケース

本当に、今になって思えば、あのときに違和感の正体を同席したメンバーにも一緒に考えてもらえばよかったです。採用したあとに分かった違和感の正体は「分かったような返事をしながら、実は分かっていないことが多い。」というものでした。面接のときの受け答えが良かったのですが、実はこちらの話をしっかり理解してのレスポンスではなかったんです。

そこに気づかなかったので、口頭による説明を理解して反応することが必要な部署に配属をしました。そして、その配属がうまくいきませんでした。あのとき感じた違和感を放置してしまったために、何人もの人が少しずつ不幸を抱えました。その後どうなったのかは伏せておきます。

違和感を追求したケース

逆に違和感を持ってそれを追求したケースですが、これは現在のクライアント企業さんでのお話です。社長さんが面接をして、何か違和感を持ったそうです。そして、それが何かを面接の中で自己追求するための質問をいくつかしていきました。違和感の正体は、業務に必要な知識について不十分であったということだそうです。「◯◯はできます」と言って応募してきたのですが、本人が思っているよりも会社が求めるレベルが高かったということです。

会社が求めるレベルと応募者が考えるレベルがズレていたのが原因です。本人はできると思って「大丈夫です」と主張していました。油断するとそのまま採用してしまいそうなケースです。でも、社長はなんとなく持った違和感を追求して、求人票に示した要件の説明がうまくなくて、どんなレベルで知識が必要なのかについて勘違いをさせていたと謝罪をし、その人は不採用となったそうです。

社長は感覚で面接をしてもよい

私は基本的に零細企業の社長であれば感覚で面接をして、感覚で判断をしていいと思っています。小さな会社の舵取りをするときに、社長が持つ感性の影響力が大きい方が良いと考えるからです。たとえばたった数人ていどの組織において、何が正解なのかを判断しづらい問題は、社長の責任で、社長の感性で判断するしかないことが多いからです。

もちろん、感性で判断して会社を傾かせてはいけません。だから、感性とともに理論や理性を加えて判断するのは当然です。でも、理論の及ばない最後の最後の部分で感性を使った判断も良いということです。

だから面接で違和感を感じたら、その違和感を信じて放置しないことも大切なのではないかということです。実際に私が放置した違和感は判断の失敗につながっています。もちろん違和感が杞憂に終わることもあるでしょう。それは違和感の正体を突き止めればいい話です。面接で違和感を感じたら、それは放置しないのが良いかと思います。

社長がみずから動く【零細企業が人材を確保するために】

人事系コンサルタントの永江です。
零細企業が人材を確保するためにどうすると良いのか。
今日は社長の行動についてです。

採用活動を人任せにしない

零細企業の社長さんと一括りにしても、その得意とするところや苦手とするところ、人柄などはさまざまです。だから、とうぜんですが、自分でやる仕事と他人に任せる仕事もさまざま。そして、人に任せる仕事の中でも、自社のスタッフに任せる場合と外注する場合などに分かれたりします。会社にとって本当に欲しいと思える人材を確保することを考えると、採用は人に任せないほうがよいでしょう。

規模が小さな零細企業では、社長の考えや理念が大切です。大企業では大切じゃないみたいな書き方ですが、従業員に与えるインパクトが大きくて、したがって事業そのものに与える効果の比率が大きいというふうに理解してください。ちょっとブレたときの悪影響。きちんと浸透しているときの好影響。それらが出やすいということです。

採用活動を他人に任せると、理念や考え方のアピールが弱まります。また、せっかくのチャンスとなる「社長さんが直接に話してくれた」と思ってもらう機会を逸することになります。もったいないです。小さな会社の社長さんは忙しい人が多いですが、採用活動は自分でやるのが良いと思います。

具体的に何をするか

人材確保のために、何を人に任せず自分でやるべきか。たとえば情報発信の内容を作ることがあります。仮に採用に関するメッセージページをウェブ上に作るとします。HTMLコーディングやページデザインなどは人に任せてよいです。さらに、文章の最終的な作成も任せてもよいです。でも、そのページで何を訴えるのかという内容そのものは社長が自分で作るべきです。そうしないと伝えたいことのニュアンスがズレてしまう可能性があります。

他には、興味をもってくれた求職者の人に直接に会うということです。会社説明や面接などは社長が自分でやりましょう。もちろん他のスタッフを同席させるのはかまいません。説明会では社長が自分の口で会社の魅力を語り、面接では社長みずから気になることを質問し、採用するかどうかの判断をします。

他にも社長が自分でやるのがよいことは考えられますが、情報発信をすることと、求職者への接触は非常に大切だと思います。

社長の魅力を磨く

なんだかんだいって零細企業では、就職活動している人がその会社に入ろうと思うかどうかについて、社長が持っている人間的な魅力は大きく影響します。つまり良い採用をするためには社長が魅力的であることは武器になります。一方で、私の体感では、ここについて自信を持っていない社長さんがけっこう多い。本当はすごく魅力的な人なのに自信を持てないという社長さんもいらっしゃいます。

自信過剰になって驕ったりするのは良くないですが、客観的に評価できる自分の魅力を知っておくことは大切です。そのために、ふだんから親交のある人に自身の魅力を教えてもらうとよいです。なんだか気恥ずかしい思いがするでしょうが、これはぜひ、やってみていただきたい。そうして、そこをブラッシュアップしつつ、表に出していくようにしましょう。

もともと持っている魅力があるとして、それそのもの、あるいは他のことについて自己研鑽をすることも大切です。人間的な魅力というのは完成形がありませんから、ある意味では死ぬまで成長途中です。そもそも人間的な魅力は高いに越したことがありませんから、ぜひ、毎日の仕事や暮らしの中で意識をしてみてください。

小手先のテクニックでは無理

人材の確保をしっかりしようとしたら、小手先のテクニックではおそらく無理です。お金をかけないような努力はできますが、手間を省くことを考えると難しくなります。だから、社長が自分で手間ひまをかける。安易に他人に任せないようにしましょう。

具体的な能力と抽象的な能力【零細企業の人材育成】

人材育成コンサルタントの永江です。
小さな会社で人材を育成するためのお手伝いをしています。

具体的な能力と抽象的な能力

これは私が勝手に使っている言い方なのですが、仕事に必要な能力を大きく2つにわけて、具体的な能力と抽象的な能力と呼んでいます。他のところでは通用しない言い方だと思うので、ここにかぎった言葉の定義として考えてください。具体的な能力とは、その業種のその職種に必要なスキルや知識のことです。たとえば、経理事務職の人にとっての簿記の知識やPCを使った入力作業のスピードなどです。これに対して抽象的な能力とは業種や職種にかぎらず有効なスキルなどのことで、たとえば論理的に考える力や、人づきあいの上手さなどです。

ただ、ある職種にとって具体的な能力であっても、実はそれが他でも有効な抽象的な能力となることもあります。逆に、一般的には抽象的な能力となることであっても、ある特定の職種をその職種たらしめる具体的な能力になることもあります。つまり、何が具体で何が抽象かというのは場合によってかわってくるし、それぞれに具体的に分類がされるようなものではないということです。

たとえば介護福祉事業所の具体的な能力

介護福祉事業書を例にして考えると、具体的な能力とは介護に直接的に役立つスキルになります。たとえば、ベッドに寝ている利用者さんの体の向きをかえる動作、その能力。高齢者介護を仕事としてやっていくために必要な高齢者の体についての知識。こういうものは介護福祉事業所において求められる具体的な能力です。

具体的な能力は直接的にその仕事に必要な能力なので、それがなければ始まらないし、職業訓練や資格試験などで中心的な項目として挙げられます。そして、なぜそれが必要なのかが誰にでも分かりやすいものとなります。

たとえば介護福祉事業所の中傷的な能力

反対に抽象的な能力はその仕事じゃなくても有効な能力であり、場合によっては、なぜその仕事に必要なのか分かりにくかったり、なくてもその仕事じたいは成り立つようなものです。でも、あるに越したことはない、という感じです。

たとえば介護福祉事業所において、論理的な思考は抽象的な能力になります。介護のノウハウを完璧に記憶して、動作としても実行できる能力があれば、職場で論理的な思考を発揮する場面がないかもしれません。でも、あるに越したことはありません。ちゃんとノウハウをマスターしていれば、なくても介護の仕事じたいは成り立つかもしれません。でも、あるに越したことはありません。

抽象的な能力を伸ばす必要があるかどうか

いわゆる即戦力としての成長を期待するならば、ぜひとも具体的な能力を成長させるべきだと思います。それが仕事の質や効果に現れやすいものですからね。介護の腕前がアップすれば、介護の仕事の質が上がったことと同意のはずです。

では、直接的に役に立つわけではない抽象的な能力は、伸ばす必要がないのかというとそうでもないと思います。パッと考えると役に立つのかどうか分かりにくい能力であっても、多くは間接的に仕事の役に立ちます。そして、抽象的な能力が高い人ほど、応用的に仕事の質を高められるし、これまでになかった角度から仕事を見つめられるように感じます。特に、停滞感のある職場では、抽象的な能力が現状を高いするために役に立つ可能性が相対的に高いのではないでしょうか。

緊急性が低いけど重要なのが抽象的な能力

優先度を考えるフレームワークの中で、「緊急度が高いけれど重要度が低い」という項目と、「緊急度が低いけれど重要度が高い」という項目の比較の話が出てきます。緊急度の高さに目が行ってしまってそっちを先にやりがちだけど、重要なことは緊急度が低くても先にとりかかるべきであるという考え方です。抽象的な能力といっているものの中には、緊急性が低いのに意外と重要性の高いものが潜んでいます。どれがそれに該当するのかはケース・バイ・ケースですが、重要度の高い抽象的な能力を見落とさないようにしてください。

零細企業のマーケティング

人事系コンサルタントの永江です。
今日は人材に関係するお話ではなくて、マーケティングについてのお話。

今では「人」に関するお仕事を中心にさせてもらっていますが、実は会社に勤めていたときにはマーケティング部門を管理していた経験があります。その後で人事部長に抜擢していただいたのですが、人事の仕事を勉強しはじめた頃に思ったことは、「人事もけっきょく、マーケティング的な考え方なのだ」というものです。だから、私のアタマの使い方そのものは、人材育成を主業務にしていたとしても、あまり変わっていないのではないかと思います。

零細企業の商品やサービス

オンリーワンの商品やサービスを持っていると、それをどう売っていくかを考えると思います。オンリーワンであることのアピールを世間に対してしていき、見込み客を獲得して、契約にいたるようにお伝えをしていくわけです。

ところで、零細企業のみなさんのところにはオンリーワンな商品やサービスがあるのでしょうか。この評価はなかなか難しくて、あるともいえるし、ないともいえる。私が接してきた企業さんの多くは地域ビジネスであればオンリーワンといえる企業さんが多いです。でも、そのことを社長さん自身が分かっていないことも多くて、そこに残念さを感じることがあります。

顧客を設定しよう

では、そういう零細企業さんがマーケティングを考えるときにどうしたらいいかというと、まずは、自社の顧客が誰なのかを考えるということです。自社の商品を必要とする人や会社、自社のサービスで課題を解決できる人、そういう人たちがいわゆるターゲットになってきます。

売上に課題のある零細企業さんのなかには、この「顧客設定」がしっかりできていない企業さんが見受けられます。なんとなくボヤーッと社長のアタマにあるだけで、たった数人のスタッフにさえ共有できていない。これだとどんな活動によって営業や販売をしていくのかがあやふやになるので、まずは明確に設定しましょう。言語化です。

プロモーションのチャンネルを考える

顧客を明確に設定できたらプロモーションのチャンネルを考えます。プロモーションのチャンネルとは、何をつかって見込み客にアプローチしていくのかという手段です。SNSを使うのか、チラシの折込をするのか、訪問営業をするのか、テレアポという手段をとるのか。

手段を考えるときに、自分自身が、あるいは会社としてやりやすい方法を選択する考え方があります。一方で、顧客の属性を考えて手段を考える必要もあります。どちらかというと後者を中心に考えるのが良いのですが、難しい場合もありますね。そのときにはまた何かの工夫や努力が必要になります。

 


 


教育係は誰にする?【零細企業の人材育成】

人材育成コンサルタントの永江です。

零細企業であればあまり頻度は高くないはずですが新規で人を採用することがあります。とうぜん、そのときには誰かがその新人さんを教育しなければなりません。あるていどの人員の規模がある会社ならば明確な教育係をつけることが多いようですが、零細企業では難しいことが多いです。単純に、教育・指導に人員を割く余裕がないということですね。

心構えについて社長が指導する

零細企業では新人教育がOJT的に現場で行われることが多いはず。それはそれで問題ないのですが、心構えについては社長が直接に指導するのが良いです。理由は簡単で、人数が少ないから。人数が少ないのだから下手に間接的に心構えを説くよりも、社長が直接に伝えるほうが社内でブレが生じなくて良いです。いくら少ない人数であっても、間に人が入ると、特に抽象的な概念については、悪い意味での「伝言ゲーム」になりかねませんから。

社員が持つべき心構えというのは、その会社の理念や方針に基づくものになるはず。そして零細企業ならそれは基本的に社長の考えや信念によって成立するはず。だから、それについては社長が自分で伝えるのがよくて、新人さんにかぎらず、誰に対しても社長が語るのがよいと思います。

技術や知識について社長が教える

さらに、技術や知識についても社長が教えるとよいケースがあります。それは、社長がその会社でいちばんの技術者である場合。零細企業だとそういうケースも珍しくなく、一人ひとりの社員に対して社長が直接の指導をします。先輩社員に対してそうしてきたように、新人さんにもそうします。

ただ、このケースだと社長の負荷が高くなりすぎる恐れもあります。社長がいちばんの技術者であれば、まだ現場で活躍をしているのでしょう。そうすると、労働者としての社長と、指導者としての社長、両方の役割を果たさなくてはいけないからです。本来なら経営者の仕事は経営であって、現場は徐々に従業員に任せるのた理想です。でも、現場から仕事を始めてきた社長さんにとっては、なかなか難しいものですね。でも、将来のことをちゃんと考えるなら、社長は社長の仕事に専念すべきです。

他のスタッフが教育担当となる

自分がいちばん分かっている、できている、そんな自覚のある社長さんは、現場の仕事も新人教育も自分でやりたがります。だから他のスタッフを教育担当にしても、うまく指導できているか気になってしかたないかもしれません。さらに、「指導のしかたが良くない」と言ってついには口を出してしまうかも。

学ぶことの全般に言えることですが、人に説明したりするアウトプットは、説明する人自身にとって学習効果を高めます。だから、教育係になっている先輩社員にとっても、新人さんに何かを教えるのは勉強になるのです。せっかくの学びの機会を奪うのも良くないですから、指導を任せたのならしっかり任せきりましょう。

教育を外注する

指導内容によっては、教育を外注することも検討できます。自社の中にしかない技術やノウハウなら別ですが、そうでなければ外の機関にお任せするのもいいかもしれません。よくあるケースだと、ビジネスマナーのようなものや、業界として一般的に必要となる知識などを外注します。複数の企業の新人さんが一緒に参加できるセミナーや講座もあるので、零細企業にとっても負担がそれほど高くならずに教育の機会を設けられます。

教育を外注するときの注意点としては、社長の考え方や理念に合致した内容になっているかどうかです。複数の企業が参加する場合だとカスタマイズが難しいですから、事前になるべく詳しく内容を確認できたらいいですね。とはいえ、外部の人間と接してなんとなく指導を受けることも刺激になってよいという考えもあるので、そういう目的であればあまり慎重になる必要もないでしょう。

けっきょくケースバイケース

ここまで書いておいてアレですが……。零細企業において教育担当をどうするのかは、けっきょくケース・バイ・ケースです。社長の個性や考え方。既存の従業員がどうなのか。会社として必要な教育内容はどうなのか。規模が小さい企業だからと一括りにするのは難しいです。だから、その新人さんがどういう人なのか、仕事人としてどういうレベルなのか、どういう教育が必要なのか。よく考えて教育担当をどうするのか検討しましょう。以前にやったことがうまくいったとしても次はそれが適切とは限りません。以前の好例を踏襲してうまくいく可能性は、零細企業の場合は比較的に低いです。だから、あるていどの柔軟性を持って、従業員教育を考えていくのが良いと思います。

何について成長してもらうかを特定する【零細企業の人材育成】

人材育成コンサルタントの永江です。

なぜ私が人材育成コンサルタントとして零細企業を対象としているのかというと、小さな会社の中には育成を担当する係になる人が居ないことが多いからです。また、多くの零細企業の社長さんは、一部の業種をのぞいては教育や育成について苦手とする人が多いということもあります。事業の内容としている分野にはものすごい能力をお持ちだけれども人を育てる経験には貧しい。そんな人が多いような気がします。

ということで、ここでは零細企業の人材育成を考えるときの「何について成長してもらうかを特定する」ということについて考えてみましょう。

最初に人材要件ありき

零細企業は採用を感がるときに人材要件をあまり綿密に考えないことが多いです。あなたの会社ではどうでしょうか。現場の仕事と社長が非常に近いので、わざわざ人材要件を明らかにしなくても「知っている」からそうなるのではないかと思います。「わざわざ考えなくても、どんな人材が我が社にふさわしいか分かっている」ということです。でも、ここに注意しなくていけない点があります。

この件についてかぎらず、人は自分のアタマのなかにあることをきちんと整頓して理解していないことが多いです。だからこそ、よく仕事の仕方の話として「見える化」という言葉が出てくるのです。自己分析の場面でも、討論をする場面での、あらゆるところで文字や図表などにして「見える化」をするのが良いです。そして、その「見える化」によって、社長さんのアタマのなかにある人材要件を明らかにしてください。それがスタッフの育成や教育を考えるスタートです。

人材要件の中で何を伸ばすか

人材要件が明らかになり、その要件にピッタリはまる人が採用できればよいですが、現実にはなかなか難しいと思います。また、当初は満足できていたけれども、日々の仕事の中で「もっと成長していほしい」と考えるようになることもあるはずです。そのときに考えることはどの能力を伸ばしてもらうのが優先されるかということです。

人材要件を明らかにしたら、おそらくそれは複数の項目になっているはずです。そのすべてについて成長してくれるのがいいのですが、まずは「今」どれを優先したいかを考えてください。優先順位は時期によってちがうかもしれないし、外的な要因によって変化する可能性もあります。だから決めたらぜったいに変更しないというものではなくて、「まず、今なら、どれ」と考えてください。

伸ばすものは1時期について1つ

従業員の教育を考えるときに、1つの時期にあれこれといくつもの能力やスキルを伸ばさせようとするのは良くないように思います。たとえば学校の勉強のように数学と英語を同時期に学ぶのはいいです。ただ、実際の現場で役立つスキルというのは、いったんひとつに絞って考えるのがいいです。それはなぜでしょうか。

零細企業の社員教育は、おそらくOJTになることが多いはず。毎日の仕事をしながらその中で何かについて今より良くなることを目指します。通常の仕事をしながらということは、いったんそこまでに覚えたり出来るようになったりしたことをアウトプットしながらということになりますが、これをやりながら新しく自分の成長のたかに意識を持つことは簡単ではないでしょう。ほとんどの場合で「あれもこれも」は失敗します。意識は少なめのことに向けさせて、「まず1つ」という感じで絞って指導すると成長の有無や度合いの確認もしやすいのでお勧めします。

待つことも社長の仕事

せっかちな社長さんは、従業員を教育するための取り組みを始めると、早く結果を欲しがります。気持ちは分かるのですが、内容によってはそう簡単ではない場合も少なくありません。たとえば家電品のような機械を操作するスキルは短時間で身につけられます。しかし、パソコンのタイピングのようなスキルは成長のための時間が非常に長くかかります。そういうときに急いでも無理があるということです。

あるいは同じことを身につけるにしても人によって必要な時間や期間が異なります。社長が思っていたより早いこともあれば遅いこともあります。私は、社長が持つべき覚悟のひとつに、この「成長を待つ」ということも含まれると考えています。どんな人間もあるていどの成長はするのだけれど、それには一定の時間が必要。待つことも社長の仕事だと考えて、慌てることなく、成長を促す施策を実行しましょう。