年上の部下との接し方【零細企業の人事】

人事系コンサルタントの永江です。
今日は、年上の部下スタッフとの接し方についてです。

ベンチャー社長はだいたい若い

そうじゃない人ももちろんいらっしゃいますが、ベンチャー社長は比較的にお若い人が多いです。なにせ、法的に必要な書類を作れる年齢になれば理論上は起業ができますから、10代の社長も実際にいらっしゃいます。いろいろと起業の障壁が低くなったという事情もあって、ベンチャー社長はだいたい若い人が多いです。

年下の部下と接するときの心構え

社長が若ければ、雇い入れた部下スタッフ従業員が年下である可能性も高くなります。もちろん、若いメンバーでやっていこうという方針もありますが、年長者の経験値も捨てがたいという場面もあるでしょう。そのときに、年上の人物を部下として扱うのが下手な社長さんがたまにいらっしゃいます。

なにが下手かというよりも、接するときの心構えをお伝えすると端的だと思います。それは、もう本当に単純なことなのですが、年上なのだから、ちゃんと敬って、目上の人として接するようにするということです。「それだと指示や指導がやりにくい」と言われそうですが、「敬う」という心構えから考えるとそのご意見への解答が分かってきます。

年上部下への指示や指導

年上の部下に対しては、指示ではなく「こうしてほしい、ああしてほしい」という自分の希望として、依頼をするという気持ちで伝えるのが良いと思います。また、指導すべき場面においては、「良い変化をうながそう」とするのが良いです。「それはちょっと……」とも言われそうですが、これで対応が分かって接しやすくなったという人は、私がこの件をお伝えした人の大部分を占めます。

 

けっきょく、相手も人間であって、好むと好まざるとにかかわらずプライドのようなものを持っています。そこをいたずらに刺激しても何も良いことは無いし、だからこそ、年上の部下の扱いに困っている人は困っているのです。日本においてはまだやっぱり年齢の序列というものが強く意識されます。だから、「部下に対しては上からものをいう」という感覚は捨てて、「年長者は尊重する」という意識で接しないとうまくいかないことが多いです。

もちろん、部下のほうも年長だからってえばっていたらダメで、つまりは、お互いに尊重しあうような関係であると良いということです。そして、そう書いてしまうと、それは年齢とか序列とか関係ないことになってくるんでしょうね。

 

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年功序列は悪いことなのか?【零細企業の人事】

人事系コンサルタントの永江です。
今日のお話は人事制度について、特に年功序列という日本的な手法についてです。

年功序列の制度とは

いわゆる日本的経営の要素として代表的なものが年功序列という制度です。特に、出世の仕方、いまどきな言い方ならキャリアステップのモデルケースや、賃金制度などに摘要されていました。特に儒教的な教えから年長者を敬うことをよしとする日本人には、とても馴染みやすくて自然に理解できる制度であったと思います。

実力主義や成果主義の導入

しかし、時代の流れとともに年功序列は古い制度であり、仕事における実力や、獲得した成果に応じて序列や報酬を決める制度がしだいに広まりました。いくら歳を重ねても仕事ができなければ出世はできないし、成果をあげれば年少者でも給料アップが可能というものです。理にかなった考え方ではあるのでこちらがしだいに増えていき、それにともなって年功序列の制度は割合を減らしていきました。

年功序列は悪いことなのか?

今日の本題はここからですが、年功序列の制度は悪いものなのでしょうか?だんだん減ってきたとはいえ、今でもあるていどの企業で残っています。それも、数パーセントとかいう微々たるものではなく、けっこう珍しくなく見かけます。もちろん、単純な年功序列ではなく、成果報酬制度との組み合わせであったり、ボーナスにまでは年功序列を適用しなかったりと、多様性をもった運用にはなっています。でも、残ってはいます。

なんとなくの体感覚ですが、年功序列の賃金制度があるていど残っている会社は、組織の雰囲気が穏やかです。おそらく、社員どうしでの無用な競争は少ないだろうし、争いごとなんてまったく起きないかもしれません。そうであれば、年功序列も悪いものではなく、結局は企業風土や経営者の方針に合うか合わないかにすぎません。なんでもかんでも古いものを排除すればいいものではない、という主張のひとつとして考えてみていただければ幸いです。

 

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人事制度の構築はチームでやる【零細企業の人事】

人事系コンサルタントの永江です。
今日は、人事制度の構築に関するお話です。

作業量としては社長ひとりで出来そうに思える

小さな会社の場合は、経営者である社長の目が全体に行き届きやすいです。規模が小さいですから。あるとき人事制度をちゃんと構築しようと考えたとしてもやっぱりそうで、どんな人材要件がって、現にどのような人材がいて、今後はどう成長してほしいのか、ということが分かりやすいです。そして、制度を作っていく過程もあるていど見えるので、社長ひとりで出来そうに思えるとしても不思議なことではないです。

ひとりの視点や考えで作ると……

しかし、社長ひとりの視点や考えで人事制度を構築すると、「意外とわかっていなかった」となることがあります。規模も小さいし部下のことも知っているし、自分がわかっていることで考えていけばいいように思えて、実はそうではなかったということです。人間ひとりの考えにはどうしても限界があるということです。

小さな会社であってもチームで人事制度を構築する

社長がひとりでやるには限界があるから、小さな会社、零細企業であっても、人事制度の構築はチームでやるのがよいです。社員全員と話し合いながらでもいいし、我々のようなコンサルタントを入れてもいいです。その体制はケースバイケースですが、とにかくチームでやるのが良いです。

チームで作っていくといっても、社長とその他の人の権限がフラットでなくてもよいです。むしろ最終決断は社長の仕事ですから、そこは譲らない考えも必要かもしれません。チームでやるメリットは思い込みや偏見を排除しやすいということにあります。他者の意見も耳に入れつつ、チームとしてアイデアを練り上げていって、最後は経営者による判断とする。そんな流れがうまく出来ると良いのではないでしょうか。

OJTのときに考えるOffJT的な考え方【零細企業の人材育成】

人事系コンサルタントの永江です。
小さな会社では、OffJTを行うのが難しくて、育成はOJTのみということも珍しくありません。

OJTとOffJT

OJTとは、On the Job Training の頭文字をとったもので、仕事の現場で行われる訓練=トレーニングのことです。まだ習熟の途中であっても実際にやるべき業務に従事させ、それによって知識や技術を身につけさせます。一方のOffJTとは、Off the Job Training の略で、現場の業務とは別の機会をもうけて教育や訓練を行います。

OJTとOffJTは、どちらが良いというものではありません。理想的な運用としては、その場、そのとき、対象となる従業員のスキルや将来性など、いろいろなことを複合的に考えて適切な手法を使い分けます。比較的に失敗のゆるされる業務ならいきなりOJTで指導するのもアリですが、絶対に失敗してはいけない業務はOffJTでよく練習や訓練をしてから本番に臨みます。また、現場から離れた環境で研修を行うことによって知識面での学習効果を高めるという狙いでOffJTを行うこともあります。

OJTに頼りがちになるときの注意

どちらのトレーニング手法もそれぞれに有効性があるのですが、小さな会社はなかなかOffJTの機会を業務時間中に設定出来ないことが多いです。そのため指導や教育はOJTで行われることが多く、それ自体は良くないということはありません。ただ、OJTを行うときには注意があって、そのひとつが、指導内容の体系的な考えが忘れ去られがちということです。

物事を知って、理解して、練習して、できるようになって、という習熟には、その効率のために体系立てられた理論があったほうが良いです。そして、それにもとづいて効率的な順番も考えられると良いです。でも、現場の仕事というのはその順番どおりに発生するとは限りません。そして、効率の良くないステップでトレーニングが行われてしまうわけです。

体系的にOJTを考える

訓練は効率よく行われるのがよく、そのほうが対象のスタッフは早く成長します。スタッフが早く成長すればそれは会社の利益になるからそれを目指すために、効率よい訓練をするというのは当然といえば当然ですね。実際に現場で発生する業務によって訓練をするわけですが、ただ漫然と仕事を教えるよりも指導内容の体系というものは考えておいたほうが良いでしょう。

指導する内容を体系立てて考えておくということは、身につけてほしい業務の内容を体系立てて整理しておくということでもあります。業務や作業の内容を分類して、必要な知識やスキルも分類して、行き当たりばったりにならないように整理整頓しておきます。実際の現場では理想的な順番で指導できないことも多いと思いますが、教育係にあたる人が体系の意識を持っているのといないのとではちょっとした指導にも違いが出ます。そのとおりにならなくてもいいので、体系的にOJTを考えておくことをお勧めします。

 


 



社長主導の案件では、事前に伝えることが抜けがちになる

人事系コンサルタントの永江です。
小さな会社でも、社長が主導となって進める案件がもちろんあります。
そして、大きな会社とちがって、社長がたったひとりで進めることも珍しくありません。

社長がたったひとりで進める案件

社長主導の案件といっても大企業であれば他に複数の人が関わります。でも、零細企業だと、社長がたったひとりで進める案件があるわけです。たとえば、新しい顧客を獲得する営業があって、関心をもってもらえて、そして契約にいたるまでの進行など。これにかかわるすべてのことを社長がひとりで行います。初期の営業、訪問しての説明、契約の詳細の検討から、実際の契約締結まで。すべてです。

従業員にとっては突然に降ってくる情報

さて、いよいよ契約が結ばれて取引が開始。会社どうしのやりとりがしばしば発生したり、社内の現場で作業が発生したりします。そのとき、いざ、まさにそのときになってようやく新規契約についてスタッフが知らされるというケースをときどき耳にします。従業員スタッフにしたら突然のことで、それまでに抱えていた「つもり」をジャマされることにもなります。もう少しやさしい言い方にしたとしても、驚かされるということはあるでしょう。あまり好ましいことではありません。

社長の考えとしては、常に部下スタッフの働きを見ていて、新しい取引が始まったとしても現場に特に問題はないとなっているのかもしれません。でも、それは社長のアタマの中にだけあって、突然に言われる従業員にとっては、この、突然に言われることそのものが不快の種になるのです。

事前に情報を伝えることを怠らない

社長がたったひとりで進める案件の場合でも、本当に、それこそ墓場まで持っていくくらいのレベルで社長オンリーの案件で済ませられるならかまいません。でも、会社として行う活動で、そういうことは滅多にないですよね。だから、ちゃんと、関係が発生しそうなスタッフには事前にゆるやかに伝えておきましょう。

案件の内容によっては機密として伝えられないこともあると思います。そういうときには、いわゆるオブラートに包んだような言い方を考えましょう。「詳しくは言えないけど、こんど手伝ってもらいたい案件が進行していて、話がまとまったら言うよ。」くらいの言い方でもかまわないと思います。青天の霹靂のように突然であることを避け、社長のアタマの中がブラックボックスだと思われないようにします。

 

私自身がいろいろな人からやられることがあって気になるのですが、「言ってなかったっけ?」とか「言ったつもりだったんだ。」という場合もあります。言ったつもりになっていたから悪気はないのでしょうね。でも、どこか初期の段階で「言っていないはず」と思える場面があるはずで、そのときにすぐに、「やわらかく伝えておく」ことをチェックリストに載せましょう。情報の伝達はこれからの時代のキーポイントのひとつです。

 


 



人の心や感性に気を配る【零細企業の人事】

人事系コンサルタントの永江です。
経営者が自然に陥りがちな思考について、その注意点。

日常の経営は左脳的になりがち

経営者の思考は左脳的になりがちです。未来のことをイメージしたりするのは右脳的な活動なのですが、日々の経営はきわめて左脳的。収支を考えたり、キャッシュフローを考えたりする数字の計算や、経営計画にもとづいたプロジェクトやタスクの管理など、左の脳みそが大活躍です。小さな会社であれば社長はそういうことを日常的に考えていますから、頭の使い方そのものがしだいに左脳的になっていきます。

スタッフは右脳的な感性を持っている

もちろん経営者だって右脳的な感性を持っているのですが、上述のような傾向が出てしまう。それに対して従業員スタッフは、その人の中の割合として社長よりも右脳的な思考が強くなります。本来はこちらがヒトとして一般的なのかもしれませんね。仕事をしながらでも、右脳的な感性や感情、心の部分がバンバン出てきます。

社長に気をつけてほしいのは、その、スタッフがバンバン発揮してしまう感性や感情の部分も大切にするということです。良いことだとは思いませんが、どうしても感情が仕事に影響を及ぼします。イライラしていたら仕事の質が落ちるかもしれません。他のことが気になって仕事に集中できずにミスをするかもしれません。どうしても仕事に影響してしまう要素として心や感性というものを持っているのです。

人の心や感性に気を配る

考えてみたら従業員だけではなく、社長さんはたくさんの他人を交流をします。そしてそのすべての人が心や感性を持っています。社長がいくら左脳的に理性で物事を考えても行動をしても、相手は感情をもった人間です。その人達の心や感性に気を配るのは、ある意味ではマナーだともいえるかもしれません。

そして、従業員スタッフは会社にとっての財産です。その財産を大切に考えるなら、心や感性、感情の部分も大切にしなければいけません。経営者の日常は左脳的なアタマの使い方になりがちなので、バランスをとるために、人の心や感性に気を配ることを強めに意識することをお勧めいたします。

 


 



社長が評価できる範囲は限定的である【零細企業の人事】

人材育成が得意な人事系コンサルタントの永江です。
思考力トレーナーでもあります。

会社の規模にかかわらず人事評価はしっかりしたい

部下スタッフに対しての評価をどうすると良いのかという点において、小さな会社だから曖昧でよいなんてことはありません。会社の規模にかかわらず納得感を得られる評価をすべきです。そして、その評価を伝えるべきです。小さな会社だから、忙しくて時間がないから、というのはすべて言い訳にすぎません。経営者は、しっかりと従業員を評価すべきです。

ふわっとした評価の仕方は問題がある

零細企業の場合は、社長とスタッフの距離が近くなります。場合によっては仕事をしている間ずっと一緒に居ることもあります。そのうえで人事評価をして査定となって報酬の変更があったりします。その際に、評価項目をきちんと定めておくのが理想ですが、なかなかそうはいかずに、あいまいなままフワッと人物の全体を評価するケースもよく見られます。これはあまり良くないです。

なぜ項目を定めておく必要があるかというと、親しい関係での付き合いによって、仕事以外の部分を評価に加えてしまうからです。たとえば、なんとなく声が自分の好みだから、全体的に良い評価をしてしまう。イメージのよくない地域の出身だったから評価を下げてしまう。そんなことあるかと思いそうなことを、人は無意識にやってしまうのです。この点にはよく注意をしなくてはいけません。

限定的であるはずの「社長からの評価」

評価項目を定めるということは、評価する事柄を明確にすることです。一方で、「評価の対象としないもの」を明確にすることでもあります。項目が具体的に定まっていれば、そこに並んだ項目以外で評価することはなくなります。

そもそも経営者がスタッフを見て、仕事に関することで評価できることは限定的です。なぜなら、仕事の間の付き合いしか基本的にはないからです。業務時間外に食事に行ったりするかもしれませんが、そこでもスタッフは完全な素の姿を見せるわけではありません。やはり上司である社長に対しては遠慮もします。だから、仕事に関することしか見えないし、評価できないものなのです。

評価項目を設定していないと、仕事と関係ないことに評価が引っ張られるおそれがある。社長が評価できることはそもそも限定的なので、そこを肝に銘じて評価は項目の設定からしっかり行う。これが零細企業においても必要です。

 


 



言葉の不足が命取りになる?【零細企業の人事】

人事系コンサルタントの永江です。
物事には「過不足なく」という言い方でそれを推奨するこがありますが、今回は、言葉が不足したときの問題についてです。

他人の考えていることなど分からない

先にこういうことを書くと身も蓋もないのですが、誰しも、他人が考えていることなんか分かりません。分からないから言葉を使ってコミュニケートするのだし、ときには質問をしたり、確認をしたりしながら相手の意向を受け取ります。

自分が他人の考えを分かるわけないのだから、相手からしても同じです。相手はあなたの考えを知りません。付き合いが長くなるとなんとなくで通じそうに感じたりしますが、それでも完全なわけはないし、思っている以上に自分の考えは相手に伝わっていない可能性があります。

分かってもらうためには言葉をつかう

人間社会で、自分の考えや思ったことを伝えるためには言葉を中心としたコミュニケーションの手法を使います。図や写真などで伝えることもありますが、ベースになるのは言葉です。だから、言葉をつむいで文章にするときに、ちゃんと伝わるかどうかを考える必要があります。

たったひとつの言葉で思いが伝わることもあります。ただし、それは前後の関係性や経緯があってのことであったり、しっかりと意味をもったビジュアル要素があったりするからだと思います。言葉の単体たったひとつで伝わることは少ないです。だから、そもそも言葉は、不足する可能性があるものなのです。

言葉が不足すると誤解や勘違いが生まれる

言葉が少ない状態は、受け手からすると理解のしかたに多様性というか、相手が本当に伝えたいこととは違う意味で受け取れる可能性のようなものを生み出してしまいます。
「A社あての見積書をつくっておいて」
という指示を部下に出したとして、部下は、パソコンの中のデータとして作っておけばいいと思うかもしれないし、プリントアウトしておくところまでやれということかと考えるかもしれないし、印刷して封筒に入れるところまでやるべきなのだと思うかもしれません。しかも、先へ先へとやっておけばより良いようにも思えますが、パソコンのデータとしての段階で指示者が確認をしたいのかもしれません。それは言わなければ分かりません。だから、「言わなくても分かるだろ」ではなく、ちゃんと具体的で誤解のない指示を出すべきなのです。

誤解や勘違いで生まれることの大小

紙に印刷するかどうかレベルなら、一枚の紙を無駄にするかどうかというていどです。でも、誤解や勘違いによって生まれる事柄の大小はどんなものがあるか分かりません。言葉が足りない人は、事柄が大きかろうが小さかろうが同じように言葉の不足を発生させるからです。

当然ですが、事柄が大きい場合に勘違いがあると、会社にとっての損失や、取引先にかける迷惑度合いも大きくなる可能性があります。場合によってはそれが会社にとっての命取りになるかもしれません。そこまでは大げさだとしても、部下との関係性や、業務の進行などに大きな影響をおよぼすことも考えられなくはありません。誤解や勘違いを生じさせないようなコミュニケーションはとても重要なことなのです。

 

忙しいとき、どうしても言葉を端折りがちになる人がいます。気持ちは分かります。短い言葉でスパッと方向性示すこともリーダーとして必要です。しかし、十分に丁寧な言葉を補って誤解なく考えや意図を伝えることも、社長さんが従業員に接するすべての機会で気をつけなくていけないことなのではないかと思います。言葉の不足があなたの会社にとっての命取りにならないように気をつけましょう。

 


 



仕事が嫌ならやめればいいし……【零細企業の人事】

人事系コンサルタントの永江です。
小さな会社を経営していると、一人の人の言動が会社全体に影響を及ぼすことがあります。良い影響なら大歓迎ですが、それが悪い影響だと困ります。今回は、悪い影響を及ぼす人のお話です。

仕事がイヤだ嫌だという人

ときどきいらっしゃいますね。仕事の愚痴ばかり言っている人。仕事がイヤだとずっと言っている人。誰にだって嫌だと思うことはあるし、それが仕事の中にあることも珍しくないです。私の仕事の中にも、できれば避けたいと思うことはあります。でも、仕事自体がイヤだという人もいて、そういう人は、もう、仕事をやめればいいのに、と思います。

「いや、そういうわけにもいかない」「生きていくために仕事はしなくちゃいけないし」と返ってきそうですね。でも、何もいまやっている仕事だけが仕事じゃありません。世の中には、他にもたくさん仕事があります。イヤじゃない仕事を探せばいいんです。で、他の仕事を探すことを勧めたりしても、「そんな簡単に次の仕事は見つからないよ」と返ってきます。

苦労が美徳? 仕事を楽しんではいけない?

もしかしたら、そういう人の中には、「苦労することが美徳」と思っている人がいるのかもしれません。苦労することは良いことであり、「嫌だと思う仕事も頑張ってやっている自分はえらい」と考えている。そして、その自己アピールを周囲にしている。ものすごく自己肯定感の低い人の行動ですね。

あるいは、仕事というものを楽しむことは良くないと考えているかもしれません。仕事は苦労するものであって、楽しいというのは遊びであり、仕事に楽しいという感情を持ち込んではいけないという思い。大間違いですけどね。仕事は楽しんでいいし、楽しみながらだろうがなんだろうが、誰かの役に立てば報酬がいただけるのが仕事です。楽しいと思えるならそれに越したことはありません。

やめると言う人ほどやめない

会社に勤めていて、積極的に退職しようとする人は、会社にとってはけっこう重要度の高い人材だということがあります。けっこうあります。珍しくありません。一方で、「やめる」「やめたい」と言っている人が、言うほどやめないということもよく耳にします。やめたいならすぐにやめればいいのに、自分の退職を交換条件のようにして上司につきつける人もいるそうです。

やめるという言う人ほどやめないとすれば、これは上司からすると面倒です。おそらく放っておいてもいいのですが、そもそもパフォーマンスが低い可能性が高いです。あるいは、言動によって周囲に悪い影響を与えている可能性も高い。だから、本当は、「やめる」と言い出したら、「わかった。退職届を書いてくれ。」と言って書類を渡すのがいちばんです。そしてとっととやめていただく。そこで、「いや、すぐにやめるとまでは……」と言いながら、けっきょくやめないから困りものなのです。

「嫌だ」「やめる」の連発は指導対象

仕事の愚痴や、嫌であるということ、「やめる」や「やめたい」という発言を繰り返すことは職場の雰囲気を悪くします。だから、その人がどのていどの能力を発揮しているのかに関わらず指導の対象にしましょう。理由は「周囲への悪影響が懸念される」くらいでよいです。そして、指導をしても繰り返されるなら罰則を適用してもいいと思います。

もちろん、一方的に叱るだけというのも好ましくはありません。ちゃんと相手の言い分を聴くということも上司の心構えとして必要です。でも、ちゃんと聴くということを実行しつつも、その言動が指導の対象であるという認識は持っていないといけません。特に小さな会社で仕事への不満をまわりに吹聴するのは問題行動です。仮に本当の意味での不満があるなら、上司や経営者など、ちゃんとした筋を通して主張すべきです。それができない人を大事に扱う必要はありません。

 


 


言葉のニュアンスが人によるからこそ、定義を意識して伝える【零細企業の人事】

人事系コンサルタントの永江です。
幅広く、お子様から職業人のみなさんまで、人材育成のためのお仕事をさせていただいています。

先日、ある企業の社長さんが「一生懸命に話しているつもりなのに、どうも自分の意識や考えが伝わっていないように思う。」とおっしゃっていました。私はその社長さんが会社でどういうことをおっしゃっているのか存じていないのすが、「ひょっとしたら」ということでひとつのアドバイスをさせていただきました。

同じ言葉でも受け取るニュアンスが人によって異なる

それは、同じ言葉を使ったとしても、その言葉に対して受け取るニュアンスが人によって異なる場合がある、ということです。

たとえば、「うちの会社、ピンチだね。」とAさんが言ったとします。Bさんはそれを聞いて、「会社が倒産の危機!どうにかしなきゃ!」と慌てふためくかもしれません。でも、実はAさんが言った「ピンチ」とは、今月の営業成績がライバル会社に負ける可能性が大きいということでした。だから、倒産するほどの危機ではないけれど、「ピンチ」という言葉を使ったということ。

同じ「ピンチ」という言葉を使っているのですが、どのていどの危機が訪れているのか、言葉から受け取る二人のニュアンスが異なるので理解や意識にズレが生じてしまっています。こういうふうに、言葉のニュアンスのズレが意識のズレになってしまうことは意外と多いように思います。

言葉で伝えるなら言葉を大切に

社長がスタッフになにかのメッセージを伝える方法はいろいろあります。実は就業規則などのルールによってもメッセージを伝えられます。でも、ふだん、一番に多いのはやっぱり言葉によるメッセージだと思います。会社の理念、会社をとりまく状況、従業員にどうあってほしいか、などなど、いろいろなメッセージを言葉で発します。

我々、人間は、メッセージを言葉で伝えるとき、同じ言語体系の人どうしならきちんと伝わると勘違いをしがちです。分かってもらえないときにもどかしくて「なぜ分かってくれないの!?」と思うのは、分かってもらえるものだと思いこんでいるからです。でも、それがなかなかそうはいかないから言葉を丁寧にあつかい、ニュアンスレベルで整えていく必要があります。

社長からのメッセージでは言葉の定義を共有する

業界によって、会社によって、文化がちがうので、そこも言葉のニュアンスがズレてしまう要因になります。他業界から転職した人が、ある言葉の意味が思っていたのと違ってとまどうという話はしばしば聞きます。個人レベルでは生活環境などのプライベートな要因も言葉に持つイメージに影響するでしょう。

だから、社長からのメッセージは、その言葉のニュアンスが聞いているスタッフと同じかどうか注意しましょう。できれば、当たり前のように使っている言葉こそ、その定義をしっかり明確にして、定義や意味を共有して、それからメッセージ中の言葉として使ってください。ちょっと面倒な作業になるかもしれませんが、勘違いしたまま進むより良いと思います。