何かを得ようとするなら、何かについての覚悟が必要になる

思考力トレーナーの永江です。
今日のお話は、「覚悟も持たずに◯◯するな」というテーマでお送りします。
ただし、ほんのひとにぎりの「天才」のある人は該当しないかもしれません。

覚悟という言葉の定義

まず「覚悟」という言葉の定義を確認しておきます。言葉の定義、というか、言葉から感じるニュアンスは人によって異なり、そこにズレがあると話の内容もズレた受け取られ方をしますので。

この記事でいう「覚悟」とは、「もしかしたら不利益または不快であると予想される事柄を、あらかじめ知っておいて、受け入れること」とします。ジュースを買ったらお金が減るけど、今はジュースを飲みたいから、お金が減ることをあらかじめ分かったうえで受け入れる。これは、お金が減るということに対しての覚悟を持っているということです。

ちゃんと努力をする覚悟

ネットの記事で見かけたので真偽は未確認ですが、卓球の水谷選手がおっしゃっていたそうです。「どうしたら卓球がうまくなりますか」という質問をされるのがイヤだと。おそらく、この質問をされるのがイヤになる経緯があったのでしょうね。何度も何度も訊かれたんだと思います。そして、その質問の裏にある真意が「簡単に卓球が上手になるコツを教えてよ」ということにあると気づいたんでしょうね。そして、そんな近道なんて無いということをご自身が知っていらっしゃるので、その質問がイヤになっていったんだと推察します。

私はパソコンのキーボードでのタイピングが人より速いです。もちろん私よりさらに速い人もたくさん居ますが、平均よりは随分と速いという自信があります。だからたまに訊かれるんですね。「どうやったら速くタイピングができるようになりますか?」と。いちおうコツ(?)として指使いを自己流にせずセオリーどおりにやるというのがありますが、それより大切なのは、セオリーを守ったうえですごくたくさん練習することです。簡単にできるようになるコツなんてなくて、とにかくたくさん練習するしかありません。それがイヤなら、タイピングが速くなることは諦めるしかありません。

何かについて上手になるには、そのための努力をたくさんする覚悟が必要です。考え方はシンプルであっても、その道は決してイージーではありません。ちゃんとしっかりと努力する覚悟がないなら、それほど上手にはなれないということを知っておきましょう。

なにかを捨てる覚悟

我々のような凡人=普通の人は、いろいろな制約の中で行きています。時間は有限だし、能力面で出来ることは限られているし、なんでも自由にできるわけではありません。あ、お金も限りありますよね。そうすると、今の生活を変えて新しい何かを得ようと思ったら、捨てる覚悟が必要になります。

たとえば、フルタイムで働くサラリーマン。さらに残業もして忙しいです。でも、その分だけ給料は良いとします。自由に使える時間がほしい。もっと休息をしっかりとりたい。そうするためには、働く時間を減らすことが必要で、残業代が減るとか、転職をして給料が下がるとか、覚悟をしないといけないかもしれません。逆に年収アップの転職をしようと、資格やその他の勉強をするのもいいですが、そのためには一時的にさらに寝る時間を削ってでも勉強するという覚悟が必要だったりもします。ゆっくりした将来の時間を得るために一時的であっても何かを捨てる覚悟ですね。収入を捨てるか、一時的な時間を捨てるか。

たとえば、専業主婦の人。あるときふと参加したセミナーに参加して、素敵な講師の先生にあこがれを持った。私も同じようになりたい!でも、その先生に相談したら、SNSで顔出しをしたほうがいいと言われた。私はネットに顔出しなんてしたくない。今までの平穏な生活を維持したまま、先生のようにあこがれられる存在になりたい……。
ネットにおける顔出し効果の大小は置いておいて、人前に出る仕事がしたいのに、顔が広まるのはイヤだとか、おそらく両立しませんよね。片方を諦めるしかありません。

プロが持つべき責任と覚悟

趣味でやっている卓球やパソコンならば、覚悟がなくて、それで諦めるのもいいと思います。でも、プロとしてお金をもらう以上は諦めたらいけないことがあるはずです。それは、仕事によって違ってくるけど、少なくとも労働集約型のお仕事をしているのであれば、自分の時間を差し出す覚悟は必要ですよね。サラリーマンならなおさらです。たとえば私たちのような仕事であれば対人的な覚悟がいろいろと必要です。100%ではないとしても、相手の都合にあるていどは合わせる覚悟。お伝えすることに関して勉強や学習をする覚悟。場にふさわしい服装を整える覚悟。マルエーで買い物をしているときに「◯◯先生!」と声をかけられる覚悟、とか。

お金をいただいてやる以上は、そこに責任がともないます。少なくともいただくお金と等価の価値を相手に提供する義務が発生します。そのことを受け入れるというのもある意味ではひとつの覚悟といえるでしょう。「わたし、そこまで出来ないわ」というのであれば、お金をいただくのをやめて、プロの舞台には上がらないようにすべきです。

物事には陰陽のバランスがあるのです

タイピングが速くなるために私と同じだけの努力が必要とはかぎりません。顔出しをしなくても人気講師になれる方法もおそらくはあるでしょう。でも、今とちがう自分になるとか、今は持っていない何かを持つようようなるとか、何がしかの変化を求めるのであれば、その分、別のところで何かの変化を生みます。物事には陰と陽があって、それは必ずしも悪いことと良いこととの対比ではないかもしれないけれども、他をまったく変えずに、欲しいところだけ変えるというのは普通は無理なんだと思います。だから、何かがどうかなる覚悟は、それがなければ諦めるしかないということはあるのだろうなと思います。

あっちを立てると、こっちが立たない。もどかしいけど、世の中は、何かのプラスと、別の何かのマイナスで成り立っているのです。