細かな部分のことを考えながら、全体も見る

思考力トレーナーの永江です。
あることについて考えているとき、集中していると、逆にそのことだけしか見えなくなっていないでしょうか。

たとえば自動車を運転しているときに……

たとえば自動車の運転をしていて、少しさきに横断歩道があるとします。とうぜん、横断歩道を誰かが渡ろうとしないかと注意します。でも、横断歩道に注意をしながらも、それ以外の場所にも気を配らなくてはいけません。何かの物陰、交差点、路地がないか、道路標識など視界に入るものすべて、さらにいえば、視界に入っていないものにも「かもしれない運転」で注意するのが理想です。

自動車を運転するときに、想定される危険はさまざまなところにあります。また、窓の外だけでなく、車内にあるメーター類にも目を向けなくてはいけません。つまり、何かひとつのことに集中してしまうのは危険だということです。「運転に集中しよう」という言い方をしたりもしますが、「運転する」ということを全体的にみてみたら、何かに集中するのは良くないです。

アリさんの目、トリさんの目

思考の視点をどう持つかということで、アリさんの目、トリさんの目、というような話をよく聞きます。私も社員研修などを担当させていただくときに話すことがあります。アリさんの目は対象のすぐ近くにあって、細かく詳細に対象のことを捉えます。一方のトリさんの目は遠くから全体を俯瞰して眺めます。アリさんは物事の一部しか見えないけれど細かいことまで分かり、トリさんは細かいことは分からなくても全体の中でその一部がどうであるのかを分かります。

視点のこの話はどちらが良いとかいうことではありません。いずれの持っていて、適宜に使い分けるのが良いということです。考えるべき対象の詳細を知ることも必要だし、全体の中でそれがどうあるのかということも考えなくてはいけないのです。アリさんの目で見る、次の瞬間にトリさんの目に切り替える。行ったり来たりしながら考えられるようにしましょう。

リアルに描かれたウサギの絵

私が高校生くらいのときに、ある新聞の記事があり、その切り抜きを長く財布に入れていました。その記事は、あるリアルなウサギの絵を紹介するものです。とにかくリアルに描かれたウサギは、毛の一本一本に至るまで細かく描写されています。もちろん毛のほかにも、ウサギのまわりの地面などもたいへんリアルに細かく描いてあります。でも、その絵がウサギの絵として成立するには、細かい描写だけではダメで、全体としてしっかりと躍動感あるウサギになっているわけです。細かい部分についてしっかり丁寧に描かれていることと、全体としてバッチリとウサギであるということ、その両方があってリアルなウサギの絵が成立している。「両立が重要」ということを主張した記事であったと記憶しています。

 

細かい部分について考えることも大切です。でも、同時に全体のことも大切です。局所を見ていると、それが素晴らしくうまくいっていると思っても、全体の中では何かバランスが悪いこともあります。私たちがなにか事にあたるとき、細かな部分のことを考えながら、全体も見るという視点を持っているようにしましょうね。