ビジネスの本質を大切にする話

思考力トレーナーですが、
ウェブを中心にビジネスのアドバイザーもしている永江です。

先日、あるクライアントさんのところにうかがって打合せをしていました。
そのクライアントさんは、なかなか本業の売上が伸びてこないので、
プロモーションについてウェブ活用を強化しようとお考えです。

話を分かりやすくするために、仮に飲食店だとしておきましょう。
実際には別の業態です。

 

お店に訪れるお客さんの数が思わしくないので、
ウェブを使って集客に力を入れていこうとお考えです。
お客さんが書いてくれたアンケートでも、
「インターネットで情報発信したらいいのに」
といったご意見がしばしば寄せられるそうです。

オーナーはアンケートをとても重視していて、
お店の内装についてご意見があればすぐに取り入れ、
スタッフの対応について指摘があればすぐに対応し、
同じような流れで、ウェブの集客を強化しようと考えられて、
私にご連絡をくださったのです。

 

アンケートが重要だとお考えなので、
ご承諾をいただいてアンケート内容を見せていただきました。
その中で気になったのが、食べ物の味についてのご意見です。
「○○は美味しくなかった」とか
「△△は少ししょっぱかった」といった味への不満が
少なからずご意見として確認できたのです。

そのことについてオーナーに確認したところ、
「味の改善はなかなか難しい。手間も時間もかかる。
 それよりも、内装やスタッフの事や、ネットなら手が付けられる。
 だから、味についてはゆっくりやるから、ネットをお願いしたい。」
というようなお返事でした。

 

その後も少し打合せは続いたのですが、
結局、とりあえず私がウェブのお手伝いをするのは延期とさせていただきました。
それは、営んでいるビジネスの本質が何かという点において、
少なくとも私とは価値観が違うように思えたからです。

飲食店の命は、お客さんに提供されるお食事。
それ以外の要素もビジネスには大切だけれども、
味に不満を持たれているのに、それを他のことでカバーするとは。

ウェブで情報発信をして集客につながったとして、
ネガティブなご意見を口コミサイトで書かれるのがオチではないか。
私にはそう感じられたのです。

もちろん、すぐに改善できることはすればいいし、
まず出来ることをとっとと済ませてしまうということも大切です。
しかし、本質についての改善は、不断の努力によって常に取り組んでいくべきでしょう。

 

お手伝いはあくまでも延期ということなので、
ひょっとしたら、いずれさせていただくことになるかもしれません。
そのときオーナーのお考えは変わっていないかもしれません。

今の時点で私が考えているのは、
「自分自身は、自分のビジネスの本質を何に置いているのか」ということです。
端的にいえば私のビジネスは「成長のお手伝いをすること」にあり、
そのための手法として「お伝えする」ということを採用しています。
つまり「教える」仕事ですね。

だから、他のことについては未熟な部分が出てしまうかもしれないけれども、
「教える」ということについてだけは、絶対にプロの誇りを忘れてはいけない。
そんなふうに思わされた出来事でした。

 

繰り返しますが、ここで紹介した「飲食店」というのは仮のお話で、
読んでいるあなたには、それこそ「事の本質」をご理解いただければ幸いです。