陽明学から、事上磨練(じじょうまれん)

思考力トレーナーの永江です。

私が行動規範として勉強している陽明学に関する内容です。

「事上磨練」という言葉をご存知でしょうか。
陽明学という教えの中に出てきます。
陽明学は王陽明という人が説いた儒学(儒教)の一派ですが、
それが日本にも伝わってきて、人の行動の規範や道徳として広まりました。

 

【事上磨練】じじょうまれん

王陽明は、
普段の生活にある実践を通じて「良知」を見い出すことを説きました。
「『事』の『上』で『磨』き『練』る」という記述のこの言葉は、
あれやこれやと頭の中で考えることで理想を求めるのではなく、
日々の暮らしの中にある行動によって修練を重ねていこう
という教えを表したものです。

仏教には「作務(さむ)」という言葉があります。
ことさらに肉体に負荷をかけて修行をするのではなく、
炊事や掃除などの日常の仕事をこそ修行とする考え方です。
そういえば、作務衣(さむえ、または、さむい)は日常の作業着ですよね。

だから、目の前にどんなことが起きたとしても、
それは自分が「良知」に至るための修行だと考えられるので、
起きた出来事に対してひたすらに向かっていけば良いのです。

なぜそのような出来事になってしまったのかと考えることも大切ですが、
考えることで立ち止まってしまうようなことなく、
引き続き行動をしていくようにしましょう。

王陽明の話の中には、事上磨練について注意すべき点も語られています。
それは、修行をすることを目的として事に当たるのではなく、
ただ目の前の事に当たる中に修行があるのだ、というものです。

未来を予見できないことは怖くもなんともないが、
いま起きたことを受け止められないのは畏れるべきことだとも言います。
このあたりの考え方は、
近年になって西洋から入ってきた考え方とは違うように感じています。

頭でっかちにならずに、
起きた出来事を淡々と受け止め、
それに当たって、成すべきことを成す。

なるほど、そう考えると、
人を羨む必要なんて全くないことが改めて分かりますし、
寝ても覚めても感謝でいっぱいです。

事上磨練

 

王陽明について興味を持たれた方には、こちらの書籍がオススメです。

私が勝手に尊敬している吉田和男先生が書かれたもので、
これから陽明学に触れていこうという人には分かりやすい内容だと思います。

また、陽明が提唱したいろいろな言葉についても、知ることができます。
ぜひ、手にとって読んでみてください。


日本人の心を育てた陽明学―現代人は陽明学から何を学ぶべきか (カルチャーフロンティアシリーズ)